『空を見上げる古い歌を口ずさむ』"pulp-town fiction" 読了

『国道食堂』がおもしろかったので、その著者の本をもう少し読もうということで借りた本。これがデビュー作で、メフィスト賞受賞作。

読んだのは右記単行本。背表紙がヤケて、二文字ほど読めなくなっています。

装幀は坂川栄治+藤田知子(坂川事務所)

カバーイラストレーション◎荒井良二

あとがき等はありません。単なるジュヴナイルものかと思って読み始めたら、メフィストに投稿しただけあって、ライトホラー作品でした。その辺はちゃんと、狙って賞獲りに来たぎらぎら感がある。応募作を単行本化に際して加筆訂正などしたのかどうかは書いてません。ということはしなかったのか。

口ずさむ歌は、坂本九のスキヤキみたいなのですが、ちゃんと書いてません。小林亜星ジャスラックにお金を納めるのを、メフィスト編集長が嫌がったのか。

主人公の名前は、半分くらい読み進めないと出ません。弟が「凌一」という名前なのは割と初めの部分で明かされていて、次男なのに「一」がつくのはなんでだろ、兄貴はどういう名前なんだと思いながら読みまして、その疑問は最後まで残ります。恭一だったかな、主人公の名前。頁138。

赤いノートも、途中まで意味が分からず、意味が分からないものをそのまま書き続けるテクニックかと思いましたが、最初のほうに赤いノートとは何か普通に明記してあって、そこを私が読み飛ばしてただけと分かりました。頁54。

著者が北海道出身とは聞いていて、その北海道の、製紙工場のある街の、作者の原風景に、ホラーの味付けをしたということみたいです。成長した主人公が、23区でない東京に住んでいて、北海道まで飛行機で来るという展開が、みょうにリアルだと思いました。頁15。

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)
 

 う~ん、これで図書館から借りた本はあと一冊。う~ん。以上