- 作者: ヨーゼフ・ロート,池内紀
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 文庫
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ルトガー・ハウアー主演で映画化されてるんですね。知りませんでした。
人はなんのために酒を飲んでしまうのか。
ツールとして酒を飲むことの危険性はさかんに言われていますが、いますが。
頁385 訳者による解説
一九三三年一月、ヒトラーが政権につくやいなや、ヨーゼフ・ロートはベルリンを発って亡命の途についた。最初がパリ、ついでスペイン、ウィーンを経て再びパリ。最終的に行き着いたのがトゥルノン通りだった。そこにそっと身をひそめていた。銘板の数字が二年きりなのは、それ以上はいられなかったせいである。一九三九年五月、ホテルの玄関を出たところでバッタリ倒れ、四日後に死去。四十四歳だった。
死の前年にパリの亡命者仲間とカフェ・トゥルノンで撮った写真が残されている。髪がうすく、目がたるみ、垂れた鼻ひげがさみしげだ。背広に蝶ネクタイのいでたちはお洒落だが、みるからに服もネクタイもくたびれている。左手にタバコ、テーブルにワイングラス、コップと水差しも写っており、ペルノーなどの強い酒のあいまに水を飲んでいたのではなかろうか。
一八九四年の生まれだから、まだ四十代の前半だが、写真ではどう見ても六十代である。亡命して五年目。三界に身の置きどころのない亡命者として苦労がたえなかった。さらにロートに特有の事情があった。とりわけ深酒が健康をむしばんでいた。酒量を減らすよう友人に忠告されたとき、ロートは手紙で答えている。いかにも酒は命をちぢめるかもしれないが、少なくとも眼前の死は遠ざけてくれる。――「眼前の死」が自殺を意味していたことはあきらかだ。
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%88
道具に支配される末路?苦しまずに死ねたのか。
『居酒屋兆治』*1のヒロインは、とても苦しかったと思います。
作者の死が苦しかったかどうか、ぱっと検索しましたが、よく分からない。
小説の主人公は、苦しまずに死にます。それが作者のファンタジーだからか。
主人公は浮浪者で、わらしべ長者のように次々に彼にカネをめぐむ人物が現れ、
わらしべ長者でなくルンペンなので、そのカネを彼はすぐ散財します。
気が大きくなって、ちょっといいとこ見せたいみたいに、すぐなる。
本当は彼はそのカネを、教会(のマリア様)に返さなくてはならないのです。
このへん、十分の一税*2みたいな考え方だと思いました。
作者はユダヤ人ですが、英語版Wiki*3によると、晩年はカソリックに傾倒していたとか。
散財しても散財しても主人公にカネを貸す奇特な人間は次々に現れ、
浜の真砂は尽きるとも、そして彼はすぐ飲んで記憶をなくし散財し…
最後、彼は自己満足な救済とともに倒れ、そのまま楽になります。
どこまでもファンタジー。酒でこんなに楽に死ねるわけがない。これが晩年の作とのこと。
この本には初期、中期の短編も収められていますが、
これほどご都合主義な作品はありません。オチをつけずに頓挫した作品はありますが…
初期の『蜘蛛の巣』は、カルヴィーノのアレを思い出すタイトルでした。
くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 (ちくま文庫)
- 作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,米川良夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/12
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なんか屈折してるなあ、と思いました。主人公が容姿にコンプレックスがあって、
BLシーンがあるのは、毎度お馴染み島田雅彦のアレ。
- 作者: 島田雅彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/07/30
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『ファルメライヤー駅長』
頁275、
キルツァ=シュビリ
という
コーカサス人が
出てきますが、
スターリンの
もともとの
グルジア語名、
ジュガシビリを
連想しました。
*4
訳者は、
かなり繊細に
個人名地名を
カタカナに
載せています。
訳者も、
酒に関して
本を書いて
いる人です。
*5
どんな思いで
晩年の作者と
その世界を
読み解いたのか、
もう少し
知りたい
気がしました。
*1:読書感想 http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20130821/1377074086
*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%88%86%E3%81%AE%E4%B8%80%E7%A8%8E
*3:http://en.wikipedia.org/wiki/Joseph_Roth#Paris
*4:http://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A1%D1%82%D0%B0%D0%BB%D0%B8%D0%BD,_%D0%98%D0%BE%D1%81%D0%B8%D1%84_%D0%92%D0%B8%D1%81%D1%81%D0%B0%D1%80%D0%B8%D0%BE%D0%BD%D0%BE%D0%B2%D0%B8%D1%87#.D0.A0.D0.B0.D0.BD.D0.BD.D0.B8.D0.B5_.D0.B3.D0.BE.D0.B4.D1.8B.2C_.D1.81.D1.82.D0.B0.D0.BD.D0.BE.D0.B2.D0.BB.D0.B5.D0.BD.D0.B8.D0.B5_.D1.80.D0.B5.D0.B2.D0.BE.D0.BB.D1.8E.D1.86.D0.B8.D0.BE.D0.BD.D0.B5.D1.80.D0.B0
*5:読書感想 http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20130627/1372340198