『枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記 増補新装版』読了

枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記

枕もとに靴 ああ無情の泥酔日記

はまぞうでは出てきませんでしたが、2012年の増補新装版を読みました。以下後報。
【後報】
エンピツ、という公開日記サイトに、ハンドルネームで、
2001年から数年続いたものが元だそうで、それが、続編も出て、
2012年に増補版が出て、文庫本が新潮社から2014年に出る、という、
非常に息の長い、愛される作品になったのは壮絶だと思いました。
キセキみた〜い(棒

元のウェブ版はもうないそうですが、エンピツというのは、下記かな?

『エンピツ』
http://www.enpitu.ne.jp/

はてなの商売敵ですね。紙版作成にあたっては、住人同士の内輪受けや、
縦横のリンクが面白味、といった記事は削ったそうで、それでどうなるかというと、
パラサイト・シングルとか負け組という言葉が2001年既にあったかどうか、
同居する親兄弟とのエピソード、友人や彼氏との電話、猫、それから作者特有の、
架空の行事をでっちあげるなどのオオウソばなし、になりました。

頁17で個人商店でお釣り二重に貰った(結果的に)けど返しません宣言とか、
まだ炎上のない牧歌的なインターネット時代だったのかなあ、いいなあ、
(ブログやトラックバックという言葉が出たばかり)
だから、みんなウェブで長文を我慢して読んだり出来たのかなあ
(面白くなきゃ読まないでしょうが)、情報過多時代前夜だなあ、
と思いました。

ウソ記事については、春洗いは、北海道だとそうなのかなあ、と、
いっしゅん信用しました。この、ウェブごしに覗き見るほかの地方、
という感覚も、信じさせる環境づくりのひとつですね。
害も悪意もないウソであることもじゅうようポイントですし、
北海道はそもそもおおらか。地元のオオウソ行事書かれても、
ほかのウェブユーザーがそんなめくじら立てなかったのでしょう。
頁146の、「凍り玉」もウソだと思うのですが、どうでしょう。
検索しても下記の動画とかしか出て来なかったし、
札幌のようなヒートアイランドでそうそうあるもんじゃないと勝手に思ってます。

頁170、雨宿りに行く図書館はウソだとあとがき対談で分かるのですが、
冬の間は閉鎖されてるというのは、北海道の図書館はそうなのか、
と、いまでも信じたい気持ちです。

もちろんお酒の話も多々あって、
頁190、妹の結婚式の衣装選びに付き合わされたホテルでくたびれて、
喫茶室でビールを一杯だけ飲んで、とか、
頁78みたいに酔ったままアップロードした文章とか、
頁86みたいに、下書段階で止まった文章、

今日、私はまた一つ、人生の真理ともいうべき事柄を発見した。世の中のすべてのアルコールには呪いがかかっている。それはとても恐ろしい呪いで、世界のアルコールの私の

が何を意味するのか二日酔いの頭で考えるシーンとか、
頁115で、子どもが犬に近づいて、母親が、
「そっちにいっちゃダメ。犬がいるから」
と言った話のあとで、銭湯で延々生ビール飲んでる作者のところに子どもが近寄って、
「あ、そっちいっちゃダメだよ。あのおねえちゃん、ずっと酒飲んでるから」
と言われる場面とか、いろいろあります。

でも、お酒にやられたけど、これからはうまく付き合いたい、
とシメたあと、数年後から、ゆくえがようとしてしれない*1とか、
ゆくえは、ブログで突然死の数日前まで追えるし、
検索結果でお亡くなりになられた時の様子も分かるけれど、
生前年齢とか公開されてなかったので今でも享年不詳のまま*2とか、
そういうのじゃないわけだし、気をつけてお過ごしください、です。
取り越し苦労もあるかもだから*3
線引きは専門家でも難しいのでしょう。
止める方向での自己診断なら、鉄板というかマイナスはないのでしょうが…

続編も読みます。以上
(2015/5/29)

*1:『二日酔いクン』読書感想 http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140626/1403796009

*2:伊丹由宇の本読書感想 http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20141022/1413938479

*3:『今日も飲み続けた私 プチ・アルコール依存症からの生還』読了 http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20130302/1362223622