『あしたのジョーに憧れて(1)』 (KCDX)読了

あしたのジョーに憧れて(1) (KCDX)

あしたのジョーに憧れて(1) (KCDX)

衝動買いしたマンガ。川三番地が青森出身とは知りませんでした。
下記の、スペリオールでナニ金インスパイア漫画描いてた人が、
いろんな人の協力で秋田書店で描いた手塚リスペクトマンガのちば版。
作者はかなり大御所、と言ってしまうと、話が始まりません。
元アシスタントで一本立ちした漫画家さんが描いたリスペクト漫画なので、
手塚秘話とは違う、ちょっと違うけれど、強いて言えば、
わたべ淳石坂啓が直接手塚秘話書くイメージ、です。また、コンセプトとしては、デジタル化した現代マンガに対し、
紙とペン、トーンの時代の作画テクを記録しよう、伝えよう。
そういうことなので、職人の、技術解説マンガでもありました。

頁72、ちばてつやの彩色は主人公の目、まぶたの影に薄い水色が入っており、

顔にヨゴシを入れても主人公の清潔感はこの水色で保たれる

この技法は現代の漫画家にも引き継がれているように作者には感じられるが、

だが『のたり松太郎』は違う
大人である彼の目には水色は入っていない

ちばマンガの少年と大人の違いはかねがね論じられているところですが、
具体的な記号の描き分けがあるとは知りませんでした。

頁166、木造建築を描く際に通し柱と管柱を描き分ける、もよかったです。

ちばあきおや七三太郎が今後どこで出てくるかは特に気になりませんが、
先輩アシスタント、大阪出身の仲村さんというのは、中村博文かな、
と思い、そこは今後気になります。

音やん 1 (アクションコミックス)

音やん 1 (アクションコミックス)

マガジンの表紙の復刻ブロマイドが入っていましたが、
よりによって入っていた頁が頁112でした。

この時期ちばプロはその仕事環境が「ぬるま湯」と言われたりした
他の所ではアシの食事がカップ麺とおにぎり
そんな話も聞いたことがあるが
ちばプロでは食事担当の女性のお手伝いが5人もいて栄養管理も万全だった
それはかつて先生が極度の疲労で『あしたのジョー』を3か月休んだり
デビュー2年目に
うわあああ
体中にムカデが走る幻覚におそわれたり
ごそごそごそごそごそ ひいいいっ
自分が「白いロウソク」に見え
とても生きているようには思えなくなったりという経験から
漫画を描き続けるには健康がいちばん大事だと思われていたからだと思う

他のマンガ家、という点でまず思い出すのが、
小林まことの『青春少年マガジン』で、本人含めた同期3人のうち、
一人が自殺一人がガンで死亡、という、
凄絶な時の流れをあくまでカラッと描き切ったあの作品です。

青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス 週刊少年マガジン)

青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス 週刊少年マガジン)

3.11の後、計画停電でPCが使えずマンガが描けないのではないかと、
心配した編集者もいたと何かで読みましたが、そこまではいかなくとも、
頁18の、枠線入り原稿用紙は、コピー誌だと印刷が写ったりするので、
それもまたアカン、というようなことを、ふと思い出しました。

小野耕世でしたかね、おれは鉄兵著作権ウヤムヤ時代の韓国で、
韓国のマンガとして出版され、大人気だったと書いていたのは。
私は、あした天気になあれのたり松太郎は、
かつて逃避先のカプホで読破しましたが、鉄平は未読です。
剣道の世界大会で日本は韓国に紙一重でなんとか勝ってると、
最近報道されてますが、猟奇的な彼女の剣道シーンで、
あちらに剣道が根付いてることを認識した思い出があります。

こういう巨匠リスペクトマンガって、まだ出ますかね。
シュガー佐藤が石ノ森が瞑想するピラミッドにこっそり入ってみた思い出とか、
あるかどうか知りませんが、そういうのを描くとか、
さいとうたかをの銃器専用アシの人に焦点をあてるとか、どうかな。
松本零士コピー機松谷みよ子が書いた白土三平夫妻エピソードは、
連載BNでしか読めません。単行本『じょうちゃん』未収録。以上