『たたり』 (創元推理文庫) 読了

たたり (創元推理文庫)

たたり (創元推理文庫)

シャーリー・ジャクスンの長編も読もうかと思って、読みました。
カバーイラスト=合田ノブヨ
カバーデザイン=柳川貴代
解説 植草昌実

<これまでに読んだシャーリー・ジャクスン>
(1)
ある晴れた日に」シャーリー・ジャクスン 吉田誠一訳
 "One Ordinary Day, with Peanuts" by Shirley Jackson 1955
コニー・ウィリスが短編集カオスホテル序文で触れていた短編。
そこでは「ある晴れた日、ピーナッツを持って」というタイトルです。
ジュディス・メリル編『SFベスト・オブ・ザ・ベスト 下』(創元推理文庫)所収
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170425/1493130848
(2)
くじ』シャーリー・ジャクスン 深町 眞理子訳
"The Lottery" by Shirley Jackson
宮部みゆき編『贈る物語 Terror』所収
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170505/1494002031
(3)
『くじ』(異色作家短編集12)
(2)が収められた著者短編集。ハヤカワ文庫。
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170704/1499150440

で、この作品は、著者の代表作だそうで、二度映画化されています。まず。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/95/Ettington_Park_-_geograph.org.uk_-_1230701.jpg/300px-Ettington_Park_-_geograph.org.uk_-_1230701.jpg

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/b/bd/Thehaunting1963.png
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%B3
上は古典作品、下はその'90年代リメイクで、ウィキペディアによると、
ゴールデンラズベリー賞総ノミネートだったとか。しかし興業成績は良。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

小説も、原題は"The Haunting of Hill House"ですが、

The Haunting of Hill House (Penguin Modern Classics)

The Haunting of Hill House (Penguin Modern Classics)

最初、ハヤカワ文庫から小倉多加志訳『山荘綺談』で出て、
https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51XpLHzZ6wL._SL500_.jpg
https://www.amazon.co.jp/%E5%B1%B1%E8%8D%98%E7%B6%BA%E8%AB%87-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%AB-NV-18-%E3%83%A2%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/dp/4150400180
次が本書、最初のほうの映画の邦題に合わせたタイトルで出て、
そして、それを『丘の屋敷』と改題したものが現在版を重ねています。
丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1)

丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1)

なんか、作品が病んでいると、出版状況まで影響されてくるのか。

解説者は作中に登場する「アン」は誰なのか? という点に、
すごくひっかかってるみたいで、赤毛のアンという解は、
奇策だと自嘲してるんですね。そんなことないと思います。私も単純に、
赤毛のアンだよ、この屋敷をグリーンゲイブルスに見立てて、
と思っていました。部屋が真ん中って、そうじゃなかったかな。違うかな。
解説者もまた、思考がエレーナしている。歪んでしまった。

地獄の家とシャイニングに影響を与えた、という本書の評価自体が、
ネタバレなんですが、
まーそれはそれとして、狂っているのは、
世界(屋敷とそのバックボーン、かつての人々の残留思念とかそんなの)か、
自分(ポルターガイストの場にいた人。
   母の介護人生で独身32才。現在は、
   姉夫婦のアパートの子ども用ベッドに居候)か、
という命題があるですが、どっちも相互に影響しあって、
共同幻想を作ってるんですよ、上部構造ですよ、と思いました。

共同幻想 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E5%B9%BB%E6%83%B3

吉本隆明は、共同幻想の世界では、個人が幽霊としてしか存在できないと主張する。

うまいこと言った感じで、感想終えたいのですが、ダメですか。
お帰りください。以上