『ちはやふる(34)(35)』(BELOVEコミックス)読了

例によって 献血で読んだ漫画。どちらも初刷。

COVER DESIGN:柳川価津夫+辻威行(SPICE)

ちはやふる(35) (BE LOVE KC)

ちはやふる(35) (BE LOVE KC)

 

㉞巻の裏表紙がカレー作り女の子編。㉟巻裏表紙はカレー作り男の子編。激辛だわ寸胴だわなぜかカラー楊枝ぶっさしたハンバーガーの群れはあるわで、かなり女の子編とはふいんきが違います。てゆーか三十数冊読んで来て、まったく裏表紙に注目してなかったです。

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チネチッタ

<㉞巻> 

参考文献にリービ英雄『英語で読む万葉集』(岩波新書

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この前の頁の引用はヨコガキの英文なのですが、フキダシの中ではタテ書きです。噴き出しの中の横書き文は英語ペラペラの奴のセリフの翻訳、みたいなルールを厳守してるのか。田子の浦、うちいでてみれば真白にましろといえばラ川まりもの、これも講談社の、三味線マンガ。

ましろのおと(21) (講談社コミックス月刊マガジン)
 
英語でよむ万葉集 (岩波新書)

英語でよむ万葉集 (岩波新書)

 

 カラオケ大会の場面の各キャラの私服が新鮮でした。カラオケ大会、歌手というかバンド名がひとつ実在のが出るだけで、歌詞は勿論曲名すら出ませんので、JASRACにお金払わんでええし、その手続きを省くことで、編集者はラク出来るので、その辺も漫画家の思いやりというか、貸しなんだろうと思いました。作詞作曲:軽田伊能知という実在しない人物の創作歌ばっか。千早の姉が16歳で出したCDのラップ、「目ヂカラSEARCH」は、上記軽田伊能知が作った歌詞が書かれているので、以下に引き写します。

好きじゃないのよエゴサーチ

でも気になるのよ君にサーチ

ほんとの気持ち知りたいの

キーワード検索もうヤなの

わかっちゃいないよ

最初で最後

わたしの目力受けとめて

 www.youtube.com

話を戻すと、この巻は妙にエロくて、頁37で、クイーンは制服開襟シャツ(サファリ)の上に腹巻で、頁54右下のコマなど、エロティックナントカに載せてもいいくらいでした。カラオケ大会で、それまでツインテだった呉服屋の娘の巨乳の子がボブになって、頁87、懐かしの白山交流館に、今度は主人公がツインテで来襲し、あろうことか、制服スカートでさすがにかるたは出来ないので、男子東大生からジャージ借りるわけですが、その男子東大生は千早のチェックの制服ミニスカ穿いてるんですね。ヘンタイだ。部活会場まで練習着のジャージで来てるわけもないと思うのですが… 交換したら穿かなくてはいけないのだろうか。

頁47で、真島くんが綾瀬邸で夕飯喰うわけですが、千早ママが作った親子丼をスプーンというか、匙で食べてるんですね。箸が使えない子とは思えないので、21世紀はどんぶりものをスプーンで食べる時代なのか(ふわとろ重視なので、スプーンのほうが食べやすい合理主義)はたまた綾瀬邸に客用の箸がないからだろうかと推測しました。誰かの箸貸して冠雪キッス強要とDKに思われたらかなん、ということかもしれない。ここも、メタファーとしてエロい。マンガ・エロティクス・Fを読んだことないのですが、こういうのがあったりするのかなあと。

エロいといえば頁104~106の、京都のかるた会の女子大生も、地味な顔してプロポーションはよくて、で、汗っかきのようで、さかんにTシャツの下の胸とか拭いてるので、心無い全国の文科系女子から、多汗症かよ、みたいに言われてるかもなと思いました。言われてないかもしれません。

頁百の黒富士と、すす病の葉っぱみたいな黒い破片(白地では水玉グラデになる)の1ページブチヌキは、次巻予告にも使われているくらい、たいした絵なのですが、ラストのコマと対をなしていて、ラストのコマ(これも新幹線と富士山)では、浄化されて、キレイなクリスタルになっています。よかったよかった。

kotobank.jp

頁149の、悪魔のクイーンの絵は、この巻の遊び。

あと、どこかのコマで、鼻筋の影がなんかしっくり来てなくて、池上遼一など白黒映画を見て育った漫画家たちが確立した陰影技法を、かたちだけ真似ても、人物の影にはならないと思ったのですが、読み返したらそういうコマは見当たりませんでした。せっかく、ろくでなしBLUESが最後の独創的な陰の付け方だった、それまで青年誌では描かれていたが少年誌では誰もやってなかった高校生の喫煙シーンを、初めて正面から描いてブレイクスルーとなったのもこの漫画だった(その後マガジンのヤンキー漫画がこぞって喫煙シーンを取り入れる)と書こうと思ったのですが、その必然性がなくなりました。でも書いたです。

<㉟巻>

 猪熊遥の猫目を見ると、今コンビニにいっぱいある『ハイキュー!!』の単行本表紙を思い出します。何か関連があるんでしょうか。

ハイキュー!! 35 (ジャンプコミックス)

ハイキュー!! 35 (ジャンプコミックス)

 

 猪熊は、とにかく名前に尽きると思います。漫画家の道を貫くか、編集の嫁の道を取るか、の隠喩が潜んでないか、今回も桜沢先生との絡みを読んで考えてしまった。もちろん才能があれば両者を両立させてもいいのですが、どうなんだろう。さいご、先生が勝ったのかと読み間違えました。

頁26の独白噴き出しが水玉模様で、手描きだとこんないろんな噴き出し試せないな、デジタル原稿だから出来るトライなんだろうと思いました。

頁62あたりの神がかったゾーン描写もうまいですし、頁70、千早がラオウの最期みたく仁王立ちする場面、実際に試合場に足運んでるうちに巡り合えたのか、平面での試合場面から立体へ、二次元から三次元になる瞬間に、と思いました。

須藤を模倣した身体の使い方の場面など、柔道漫画の寝技連続場面かと思った。試合観戦を重ねるうちに分かったからだの使い方なのか、柔道まんがを読んで参考にしたのか、どっちだろうか、それとも両方だろうかと思いました。

書道にやり直しはないの場面。日本の書道はそうなんですが、中国の"书法"は書き足しアリで、止めや跳ねにイキオイがないなと思ったら、どんどん書き足しおk。日本人は学生時代一度は書道の時間があるので、中国で書法の授業に顔出して書き足しに遭遇したりすると、もうアホくさくなって、その授業出なくなります。书法の先生もその辺分かっていて、最初の授業の最初で、我们也知道日本有书道。但是中国也有书法。的な、そんで先生ナニが言いたいのさ、みたいなことを言います。

以上