『秒読み 筒井康隆コレクション』"Countdown and Other Stories"(ボクラノSF 02)読了

 Text by Yasutaka Tsutsui Illustrations by Shinkichi Kato  デザイン 祖父江慎+コズフィッシュ 解説「線の上に」長島有

 白泉社の絵本雑誌「MOE 月刊モエ」2021年9月号怖い絵本特集で、筒井康隆『駝鳥』の絵本が紹介されていて、読んだ記憶がないので読もうと思いましたが、図書館検索で出なかったので、その話が収録されている本ということでこれを読みました。

 しかしまあこの話は、読んでみると、ビジュアル面をどう処理するか、イラストレーターの腕の見せ所みたいなところがキモだと思うので、やっぱ絵本読んでみないとと思ったです。

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この、「ボクラノSF」シリーズは、第一期刊行三冊が、ジョン・ウィンダム『海竜めざめる』とフレドリック・ブラウン短編集と本書で、その後小松左京の短編集一冊、ほかは佐藤哲也という人と北野勇作という人で、方針転換して、続刊が出ずそれっきりという感じに見えます。本書も、ツツイはいいのですが、それぞれの発表年が書かれておらず、ちょっと不満です。国民クイズは特になし。

到着』初出は1968年の『にぎやかな未来』でしょうか。「ペチャッ」をグーグル翻訳で漢語にしたら、〈比差〉になりました。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

『マグロマル』1966年だか1965年だかのSFマガジン掲載だとか。カタカナ語の多くがインドネシア料理なことは私もなんとなく分かり、SF本家のアメリカが、現実社会の人種、民族を銀河宇宙の宇宙人に好き放題投影してた時代の影響ガーというのも、アボン・アボン人などを読んで思いましたが、

頁42 

「お湯使うそれ大変ですわれわれ卵生む卵お湯に入れる煮抜きになるいけません」 

 「煮抜き」が関西弁で、キン肉マンの作者がゆでたまご先生であることは、今読んで初めて思い至りました。関西暮らしをしてなかったら、たぶん一生気づかなかったと思います。

筒井康隆「マグロマル」(1966年)に出てくるインドネシア料理 - Togetter

お助け船戸与一『東京難民戦争・前史』第二話、第三話が掲載された問題小説収蔵館も下記で調べれるのでしょうか。

crd.ndl.go.jp

駝鳥』1975年『笑うな』に入っていて、その前にも入ってるとか。

蟹甲癬』1982年新潮文庫『宇宙衛生博覧会』で、発表は'70年代らしいそうで。異星植民ディストピアもの。

時越半四郎』1967年『ベトナム観光公社』かな? エスパーが遺伝する設定を受け入れられない人は今も昔も存在する気瓦斯。

バブリング創世記』同名1978年単行本。ナンセンスもの。パブリング創世記だと思ってました。昔はあんまし考えないで読み飛ばしましたが、今回読み返して、頁151「メッカ、マホメッドを生み、マホメッド、フイフイを生み」のフイフイ(回回)など、どこからツツイに来た知識だろうと思いました。インドネシア語といい、原点は知りたい気瓦斯。頁152「マタハリマタハリノツンダラハンシャマヨを生み」の安里屋ユンタは、私の耳には「マタハリヌツィンダランシャマヨ」と聞こえ、ウィキペディアでは「マタハリヌ チンダラ カヌシャマヨ」になっています。あと、ミミズクがなぜ覚醒剤を生むのか分かりません。船山馨のエッセーから?

船山馨 - Wikipedia

1948年にヒロポン依存症となってからは執筆活動に支障をきたすようになり、文壇からは半ば見放された状態となる。1955年に依存症から脱したのちは推理小説や時代小説などにも創作の幅を広げたが、なかなか汚名返上出来ずに雌伏の時を過ごす

みみずく散歩 (構想社): 1978|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

睡魔のいる夏』1977年『あるいは酒でいっぱいの海』に入ってるからか、ビールが出て来ます。退社時間が早い(五時前)ので、社会主義国かと思いました。サマータイムかもしれない。ディストピアもの。

笑うな』1970年『馬は土曜日に青ざめる』に入って、1975年『笑うな』が出て、前者の再版からは削除。「人のセックスを笑うな」のほうが、まじめに言ってるぶん、インパクトがある気瓦斯。「死ぬかと思った」は私も使います。

走る取的』1976年『メタモルフォセス群島』これで、「取的」ということばを知りましたが、いまだに正しい読み方を知りません。湯桶読みの「とりてき」でいいのかな。ターミネーター

力士養成員 - Wikipedia

遠い座敷』1980年のオール讀物?もっと最近のかと思いました。お座敷(の仕事)が遠くて餓死する芸人の話ではないです。

関節話法』1979年『宇宙衛生博覧会』蟹甲癬同様、ダジャレから広がる想像の世界。健常者の手話と手話話者の手話は天と地ほども違うという話を思い出したり出さなかったり。

秒読み』表題作。1988年『薬菜飯店』この話は知ってましたが、こういうタイトルだった記憶がないです。続編を作りたくなる誘惑はなかったのでしょうかという(大長編になって他の仕事に手がつけれなくなりそう)読んだのは、野生時代だったかな。

熊の木本線』1974年『俺に関する噂』山本直樹のエロまんがかと思ってました。あれは夢のナントカか。ヨッパ谷への降下とセットで覚えています。熊の子ウーフは神沢利子

初出というか初収録は、「筒井康隆だいたい全部」という個人の方のサイトを参照しました。翻訳のあのサイト同様、どういう方がやっているのかはよく分かりません。とても助かりました。ありがとうございます。以上