石の花

今週のお題「夏に読みたい1冊」
マンガ。第二次世界大戦のユーゴが舞台。
内戦前にユーゴを舞台にした先見の明は今でもすごいと思う。
連載時、当初の高揚(侵攻された〜畜生♪パルチザンだ〜☆)が消耗戦と窮乏生活、
ゲットーの悲惨な描写に切り替わり、延々、延々、どこまで続くぬかるみぞ、
と、読者に先に厭戦気分が横溢し、
打ち切られたように終わってしまった先駆的歴史小品。

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)

石の花(2)抵抗編 (講談社漫画文庫)

石の花(2)抵抗編 (講談社漫画文庫)

石の花(3)内乱編 (講談社漫画文庫)

石の花(3)内乱編 (講談社漫画文庫)

石の花(4)激戦編 (講談社漫画文庫)

石の花(4)激戦編 (講談社漫画文庫)

石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)

石の花(5)解放編 (講談社漫画文庫)

石の花 上 (光文社コミック叢書“シグナル” 11 坂口尚長編作品選集 1)

石の花 上 (光文社コミック叢書“シグナル” 11 坂口尚長編作品選集 1)

潮のコミックトムに連載され、その後、新潮社がマンガに初めて手を出した時の目玉になり、
講談社、光文社と社を変えて、著者が亡くなった後も引き継がれようとしていました。
こういうのが電子出版にいいんじゃないかと思います。kindlekindle。
死んだマンガ家の本を紙で出すより電子版でロングテールでやったほうが効率よくていいと思う。
個人的に、税金でマンガを図書館に置くのには賛同しかねますし。マンガくらい自腹で嫁。

終盤、ナチスとスパイ、ふたりの中二病患者が風と虹について語るシーンなんか、
当時ぞくぞくしながら読みました。
あの頃、ユーゴが解体するなんか、夢にも思わなかったし、
大戦中分断を意図してセルビア人やクロアチア人をまとめたチェトニクやウスタシの亡霊が、
ユーゴ内戦のガソリンとして非常に有効な役割を果たすことも、予見しえなかったのでした。
中二病患者だから。