『陰謀馬券の正体』 (宝島SUGOI文庫)読了

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51U32Nqhr6L._AA240_.jpg

陰謀馬券の正体 (宝島SUGOI文庫)

陰謀馬券の正体 (宝島SUGOI文庫)

福利厚生クオカ活用シリーズ 帯はナイツ土屋。図書館でリクエストし、
何故か忘れさられてるので、ギャンブルと陰謀史観のコンボだし、
公序良俗的にダメなのかなと思って、本屋に注文して買いました。
で、今、検索したら、県内三浦半島の図書館に蔵書ありでしたorz
南喜一の『ガマの聖談』もリクエスト黙殺されてるんですが、
ハマに蔵書ありですし、もっぺん頼みます。それか、直接閲覧に行くか。

もともとは、潰れてしまえ新聞の土曜版beで知った本。

2015年12月19日03時30分
(みちのものがたり)
おけら街道 千葉県船橋市市川市 ハズレ馬券が舞った頃
敗者がトボトボと歩いたおけら街道 有馬記念は「暗号」解読で!?

http://www.asahi.com/articles/DA3S12120948.html

本書冒頭、この事件が紹介されます。

ヒシミラクル ヒシミラクルおじさん Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AB#.E3.83.92.E3.82.B7.E3.83.9F.E3.83.A9.E3.82.AF.E3.83.AB.E3.81.8A.E3.81.98.E3.81.95.E3.82.93

頁9
競馬マニアが集う場末の酒場では「的中男の幸運」に拍手を贈る者はいなかった。むしろ彼らは眉をひそめ、事件の問題点を冷静に語りあった。多くの競馬マニアの脳裏をよぎったのは、以下のような疑惑である。
「的中男は、あらかじめ決まっていた優勝馬を知っていたのではないか?」
 酔っぱらいのゴタクと笑うなかれ。疑惑の根拠はいくつかある。

<疑惑の根拠>
・一千万円以上を単勝一点に賭けられるのか?そこまで度胸の据わった人間存在するか?
・当時最高50万円の投票券24枚以上のマークシート記入して窓口に出すのか?
 他の客や販売員の反応如何?
・自動券売機は一回20万円までしか入金出来ないので、60回以上購入繰り返すなら、
 やはり他の客の反応如何?
・オッズ急落、それをめざとく見つけた他の客の追随投票によるさらなる急落如何?

かくして、陰謀馬券、サイン理論、オカルト戦法、レースデザイナー、番組編成、
といった百家争鳴、百花斉放の書肆を、全体として俯瞰し、各時期、
各氏の論旨の特徴を記述しようと試みたのが、この本です。
場外馬券の登場と興隆、「馬」でなく「馬券」を愛するファンの出現と隆盛、
がアウトラインのバックボーンになっている感じです。
井崎脩五郎、高本公夫、山本広太郎、中山一考、清水成駿、高山雷太、
原田泰夫、椎名信明、立川末広、片岡勁太、岩川隆、etc.

読者を飽きさせないよう、要所要所に、事件、エピソードが挿入されます。

頁86 サルノキング事件 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6
逝去した土田世紀ありゃ馬こりゃ馬』の原作者の名前が出てきて、
懐かしかったです。
田原成貴 文筆・音楽活動 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E5%8E%9F%E6%88%90%E8%B2%B4#.E6.96.87.E7.AD.86.E3.83.BB.E9.9F.B3.E6.A5.BD.E6.B4.BB.E5.8B.95

頁127 ミスターシービーの第50回日本ダービー Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%BC#.E6.98.A5_-_.E3.82.AF.E3.83.A9.E3.82.B7.E3.83.83.E3.82.AF.E4.BA.8C.E5.86.A0
本書には、大橋巨泉がサンスポコラムで行った激烈な批判が引用されてます。

頁105 ファリングボーイ事件 ←検索結果特になし
頁111 タカラテンリュウ電気ムチ事件 ←検索結果割愛
頁255 ディープインパクト禁止薬物検出事件 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E7%A6%81%E6%AD%A2%E8%96%AC%E7%89%A9%E6%A4%9C%E5%87%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

人名も、岸・福田、田中角栄中川一郎河野一郎とぽんぽん出てきます。
流石陰謀マーボー天気予報。麻婆豆腐は頁224に出てきます。

頁66
 年季の入った競馬ファンならばすでに御存知と思う。またオーソドックスな予想をする正統派の競馬ファンでも、一度や二度は酒場で怪しい老紳士から聞いたことがあるはずだ。次のようなジンクスを……。
「出走取消し馬が出た場合、その馬の入っている枠の隣の枠が連対に絡む」
 これは競馬のオカルト的ジンクスの中でもきわめてポピュラーなものだが、
(以下略)

正直私は競馬はさっぱりさっぱりなのですが、お馬さんでめしを食ってる、
と言う人ってホントなのかどうか、ちょっと知りたくて、読みましたが、
やっぱり分かんないです。でも、ホントは傷病手当か年金か行政か、
とかも、考えない知ろうとしない。…孤独死されたらイヤなので、
そこだけつながってようと思います。
そうこっそりもらす人が、バクチめしをオオヤケにしない理由は下記。

メタモル出版というのはサイン馬券本の牙城、梁山泊、総本山だそうで、
本書頁36にそう書いてあります。

競馬の馬券の払戻金に係る課税の取扱い等について 国税庁pdf
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h27/saikosai_hanketsu/01-02.pdf
北海道の天才公務員が“78億円”の払い戻しを受けた馬券購入法
アサ芸plus 2014年4月22日 9:56 AM
http://www.asagei.com/excerpt/22375

国はあんだけ儲けてんのに、この上税金とるなんておかしいでしょう、
という人がネトウヨだったりするから世の中ってしみじみ味がある、なんて。
本書執筆後にネット大量投票の投資家が現われ、国税庁に叩き潰されたわけですが、
作者のコメントが知りたいです。この本、あとがきや解説がないですが、
あってもいいかな、と。「ない」殺伐さも意味がある気がしますが。

頁97、政治家がぽんぽん出てくるあたりで、日本競馬界が、
輸入馬ばかりの世界にならなくて、よかったですね、と思いました。
同頁台韓ロビー系商社by武智鉄二

そういえば職場で「最近ノミ屋って聞かねえな、ネットで買えるからかな」
「いやいや、三連単が出てから、怖くて青天井で受けられないからですよ」
という会話があり、ノミって、上限ストップじゃなかったっけ、と思い、
本書頁187でも、高木公夫の著作がそう書いてあるのを引用してます。
でもそこで、競馬主催者が、中央競馬会が的中馬券に対して払い戻しをしないといったためしはない。ノミ屋はそうはいかない。的中馬券が多いとき、夜逃げがノミ屋の常套手段だ。 かくて、馬券の売上げが増える。正規の馬券の売上げが増える。中央競馬の売上げが増える。(頁187)
の前半は、そんなに夜逃げするのかなあ、事務所とか放棄出来るのかな、と思い、
後半は、万シュウを夢見る客のハートを摑むタイプの馬券(しかも複雑)を次々に出して、
ノミ屋から客を奪う戦略のJRAと、IT技術の進歩が、ノミ屋を衰退へと向かわせたのかな、
と思いました。最近見たヤクザ映画でも、えへへって笑って、高校野球だった。
全然関係ないですけど、下記の記事の涙にゆがんだ顔、新聞一面大見出しで、
プロアスリートがここまで恐怖でメンタル揺すぶられるか、と思いました。
ヤフーなのでそのうち画像消えるでしょうし、ここに画像上げるのも、
どうかなと思ってますので、でも載せたかったな、残念。

巨人・高木京が号泣会見「恐ろしい人」、賭博公表後に家族に電話も
Yahoo!ニュース サンケイスポーツ 3月10日(木)7時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160310-00000011-sanspo-base
サンスポ公式
http://www.sanspo.com/baseball/photos/20160310/gia16031005060008-p1.html

作者はラズウェル細木の知己で、下記の著書もあり〼

『場末の酒場、ひとり飲み』(ちくま新書)読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140524/1400925889

本書頁229の岩川隆『馬券人間学』は読んでみようかと思います。
こっちは図書館にあった。岩川隆は、岸信介を読んだかな。
その岩川隆の、週刊文春1980年1月10日号記事
JARIS計画とは何か レース前に勝負がわかる?80年代中央競馬会の大変革
の紹介が本書でいちばん面白かった。1965年秋、
富士通ファコム230-10」導入で本格運用が開始され、1974年電話投票開始、
1977年全国競馬場場外馬券場を結ぶオンラインシステムが完成、
1979年後楽園に「総合計算センター」設置、1980年日立製作所がJARISシステム納入。

国鉄マルスシステムはプロジェクトエックスになって、
風の中の昴、みんなどこへ行った、ですが、ジャリスもあったんですね。
このジャリスは勿論、ジャパン-ヴァリス、J−ヴァリスの略で、

ヴァリス (創元推理文庫)

ヴァリス (創元推理文庫)

難解なのがスキなので旧訳を出しますが、新訳未読です。
このヴァリスの日本版をJRAが構築しようと目論んだにちがいありません。
しかし、ヴァリスは"VALIS"で、ジャリスは"JARIS"
日本人はエルとアールの区別がつかないって説明だと、さすがに苦しい昨今です。
以上