『多摩川飲み下り』 (ちくま文庫) 読了

多摩川飲み下り (ちくま文庫)

多摩川飲み下り (ちくま文庫)

カバーイラスト・デザイン
         南伸坊

写真撮影 著者

あとがき有。解説はムベンベの高野秀行。学閥つながりでもありますね。
オータケさんの学部は、竹下登が卒業した実学の夜間学部同様、
現在はその使命を終えて、消滅したですが。タモリ吉永小百合を輩出した学部。
その解説頁266によると、解説者がたった一度オータケさんと酒飲んだ時は、
オータケさんはガンマ千超えたとかで医者から断酒を言い渡されて一滴も飲まず、
それでいてほろ酔いのようにみえる感じでおだやかに周囲の人たちと、
談笑していたそうです。で、数値下ったら飲酒再開。危険なので、シロウトは、
真似してはいけないと思いました。

多摩川をカヌーやボートで下るわけではなく、青梅線南武線が沿って走ってるので、
前回終了した駅から二時間ほど歩いて、ちくと飲んで終了、を二十数回繰り返して、
それをまとめた本です。最初の三回は倉嶋紀和子「古典酒場」掲載。第二回で、
東日本大震災に旅の途中遭遇しています。ここは、リアルタイムレポートとして、
読ませた。私も当日は都内にいて、日中はBBCニュースなんかが、
「もっとも大地震への準備対策を講じた国と国民を大地震が襲った」
とか言ってて、備えあれば憂いなし、私たちは冷静に秩序だって行動対処してる、とか、
鼻高々だった気がするのですが、夜、動画ニュースで言葉を失うわけです。
それで、テロとか何も考えてない、外にむき出しの主電源が波でさらわれると、
予備電源とか二系統入力とかまるで仕様にない、原発がスタンピードメルトダウン

「古典酒場」休刊後は、いつかこの企画が日の目を見る日が来ると思ってたのか、
来なくても趣味と実益を兼ねて遊んでることだから続けようと思ったのか、
著者は2016年までえんえん、毎回二時間ほど歩いて飲む、を続けます。五時間かな。
これが相模川だったらコンビニ飲酒率が高まったであろう。中流域に、日本屈指の、
飲み屋街を多数抱える多摩川だから中だるみしなかったんだろうなあ、と私も思います。

スタートは源流でなく奥多摩駅。頁14、焼酎でなくウォッカで割った「樽ハイ」の店。

頁100、ほかの本で既に知っていましたが、著者は痛風持ちでもあり、ここで、
痛風に怯える描写があります。拝島から東中神まで歩く場面。ここで、
チェーンの焼鳥屋「大吉」に飛び込んで、大吉はチェーンだが、仕入れや独自メニュー、
店主の裁量で行えるので、ここの店主は和食店で修業してから店主になったので、
非常に目がきいていい、職人さんだ、みたいな描写があり、ほんとに作者は、
書くのうまいなーと思いました。

多摩川飲み下りなので、競馬場競艇場そして競輪場が出てきます。頁144。
例の稲田堤のアレ、バラックというか、ぬこもいる、アレ、のあたりで、
自分は中毒ではない、やめようと思えばやめられるから、
という文章があります。独白だけだとまったく信用出来ませんが、
解説でも裏付けがあるからなー。でも禁煙とか、なまじ成功体験があると、
また吸い出した後二度目が出来ないって言いますよね。

頁187、本書はシン・ゴジラ前ですが、再開発後の武蔵小杉への違和感が、
書かれています。低層住宅という選択肢を排除して、で、高層住宅の、
上階に住むのがいいか下階に住むのがいいのか。

私、他館本でこの本借りたのですが、ちくま文庫だからか、誤植に、
チェック入れてくれてる方がいるんですね。頁36、玉子丼もカツ丼もあれ
頁196、中原。その人はチェック入れてませんが、頁240、
HNKマイルCも誤植です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/NHK%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97

で、この本は、さいご、川崎の多摩川河口で、夕暮れ、ポケットウイスキー飲んで、
いい感じに〆るかと思いきや、川崎競馬はナイターやってるのでそこに行って、
最初負けて、その後三連単配当13万6千7百9十円とって、その後惨敗し、分倍河原の、
馴染みの酒場を目指すという、サービス精神あふれるオチがついています。
解説も、インダス川飲み下りやったらどうなるかとか、
ダコイトみたいなこと言ってるし。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%80%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%88-849886
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbcrimesituation_011.html
以上