The Difference Engine: A Novel
- 作者: William Gibson,Bruce Sterling
- 出版社/メーカー: Spectra
- 発売日: 2011/07/26
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: William Gibson,Bruce Sterling,Walter Brumm
- 出版社/メーカー: Heyne Taschenbuch
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: ペーパーバック
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原著は1991年刊行。
1993年5月角川文庫刊行の新装版。
アイリーン・ガンの差分事典増補版収録。
上巻解説/伊藤計劃&円城塔
下巻解説/巽孝之
(角川文庫解説、訳者逝去時の追悼文、新装版解説を収録)
ほかの人のついったで見た本。両者の小説は、どうかなあ、
ニューロマンサーくらい、読んだかなあ。どうかな。
ぐらいの人です、私は。
タイトルは、「差分機関」の意味だそうで、
それを私は、妄想料理なみに勘違いして、
namazuやBibliotheca21などの検索エンジン、つまり"search engine"、
それにレファレンスカウンターの"reference"がくっついて、
リファレンスエンジンになって、さらにそれが否定形になって、
「デリファレンスエンジン」なのかと思ってました。
この小説は、蒸気以外に、女性のコルセットと、
パンチカードシステムがしつこく残ってる世界なのですが、
(パラレルな19世紀だから前者は可、後者は時期尚早)
この世界でグーグルが飛躍的に発達させた検索エンジンではなく、
図書カードなどが別方式で発展した世界の話かと思ってました。
で、そこで、「検索外し」がじゅうような意味を持つと…
Library catalog Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Library_catalog
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E7%9B%AE%E9%8C%B2
レファレンスサービス Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9
dereferenceの意味 - 英和辞典 Weblio辞書
http://ejje.weblio.jp/content/dereference
dereferenceの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
https://eow.alc.co.jp/search?q=dereference
間接参照 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%93%E6%8E%A5%E5%8F%82%E7%85%A7
dereference(参照外し) について − Java Solution − @IT
http://www.atmarkit.co.jp/bbs/phpBB/viewtopic.php?topic=30533&forum=12
ようするに、私は、ディファレンスとデリファレンスの違いも分からないと、
そうゆうことなんですが…
全文検索システム Namazu
http://www.namazu.org/index.html.ja
全文検索スウィート 「Bibliotheca21」
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/textsearch/product/component/bib21/index.html
この小説、夭折した翻訳者の腕なのか、第一章、
抹殺された労働者階級の英雄、雄弁家の娘で娼婦のせりふが、
実にはかなげで、三点リーダーの多用とともに、印象に残るのですが、
後半、ケズオ・イシグロ『私たちが孤児だったころ』の、
世界を改変しようとする悪党が世界の何処かにいるはずなので、
それと対峙しようとする主人公に実によく似た、
碩学若手古生物学者兼主人公の弟(軍人)も同じ喋り方なので、
一気にがっくりしました。
はかなげに感じたのは私の一方的な印象で、訳者は何も狙ってなかった。
そういえば、この小説は「章」立てではなく、反復、
"Iteration"が五個と、あと、「モーダス」から成るのですが、
反復というのが分からず、反駁ではないのかと思い、
テーゼなき反駁が延々続く型破り小説(論文)かと思い、
しかし検索すると、やはり反復横飛びなのでした。
そして、モーダス、"modus"の意味はよく分からない。
modusの意味 - 英和辞典 Weblio辞書
http://ejje.weblio.jp/content/modus
modusの意味・用例|英辞郎 on the WEB:アルク
https://eow.alc.co.jp/search?q=modus
modusの意味 - インドネシア語辞書 - Weblioインドネシア語辞典
http://njjn.weblio.jp/content/modus
JOJO第二部では、「流法」と訳されてた、モードのことでしょうか。
輝彩滑刀とか神砂嵐とか。
上巻頁289、《我只走歩兵》《走歩兵》
全然意味が分からなかったです。パブリックハウスの名前とのことでしたが。
中国語にして"我只走步乒"にしてもさっぱり意味がとれない。
下巻頁184、「浅学菲才」
確かに一発変換で出るのですが、ニラでなく、あらずにして、
「浅学非才」と言うほうに慣れてるので、検索しました。
せんがく-ひさい【浅学菲才】の意味 新明解四字熟語辞典 goo辞書
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/idiom/%E6%B5%85%E5%AD%A6%E8%8F%B2%E6%89%8D/m0u/
ニラでなく、カブなんですね。
この小説は、随所に、ロンドンとバビロンを併せた、
バビロンドンという言葉が登場し、魑魅魍魎の跋扈する魔都、
というイメージになるのですが、バビロンは"Babylon"、
ロンドンは"London"ですから、足して、
"Babylondon"で検索すると、ベイビー、ロンドンになってしまい、
まるでダメでした。
また、主人公の碩学な若き古生物学者は、通信教育かなんかで、
カラテを学んでいて、肉体労働者のステゴロより強いのですが、
ダンスが苦手で踊ることが出来ず、娼婦のねーちゃんと何回も、
ゴム付きでセックスする様や、黒い乳首とかを活写していて、
1991年という初出時の世相も鑑みて、当時のSF青年って、
こういうのが身近、あこがれだったのだろかと訝しみました。
下巻頁352、「丁令嬢」、霞村にいた頃かと思いましたが、
全然関係なく、甲乙丙丁の丁でした。甲夫人、乙令嬢、丙夫人、丁令嬢。
下巻頁396、差分事典に、【薩摩好み】"The Satsuma Preference"なる項目があり、
よく知ってるな〜、あちらの日本通、OTAKU連中は、と思いました。
下巻頁436、新版解説、初出邦訳刊行直前に雑誌「GORO」が、
いとうせいこうのキーワードつきでミスリードのパブ記事を出し、
当時の極東SFマニアがこのジャンルに戸惑っていた証左としてます。
キングスレー・エイミスの『去勢』が出てきたので、読むかどうするか。
サイバーパンクというものは日本がかなりカウンターというか、
オルタナ、西洋文明に対するもう一つとして登場するのですが、
(サイバーパンクではないけれど、強力わかもとのブレランが嚆矢)
同446、福沢諭吉が「汽車」という和製漢語を創出するにあたり、
康煕字典を参照したとあり、まー中文世界では汽車はスチームでなく、
モーターカー全部の総称で、レールウェーは火車だなあ、
火車と言うと日本では宮部みゆきが借金苦で別人になりすます小説、
そういう火の車のイメージか、あるいは妖怪ですわなあ。と思いました。
天安門事件さめやらぬ、オリエントといえばまずジャパンの1991年から、
GDP世界第二位の中华人民共和国出现で、チャイナが可視化された現在、
おのずとエスエフにおけるオリエントの勢力構図も、
書き換えられているんではないかいな、と、ちゃんと本書差分事典でも、
阿片戦争が転機として項目立てられているのを読んで、思いました。以上