『恐怖の愉しみ (上) 』 (創元推理文庫) 読了

恐怖の愉しみ (上) (創元推理文庫 (535‐1))

恐怖の愉しみ (上) (創元推理文庫 (535‐1))

たぶん、宮部みゆき編書*1ウェイクフィールド読んで、
ほかのも読もうと思って検索して、個人の方の翻訳集成サイト見て、
これがあったので、それで借りようと思ったのではないかと思います。
もうよく覚えてませんが、たぶん、そうです。

版元公式 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488535018
カバー ひらいたかこ
上巻には解説あとがき等ナシ。
牧神社という出版社から全十巻予定で三巻まで出た、
『こわい話・気味のわるい話』を上下に再編して刊行の由。

訳者平井呈一 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E4%BA%95%E5%91%88%E4%B8%80
平塚生まれで、養子先の日本橋文化資本をはぐくんだ人なんですね。
荷風とのやりとり、倉科遼ケン月影コンビのマンガにも出てたんでしょうが、
まるで記憶にありません。読んで身につく教養なし。じっと手を看る。

牧神社というのは、調べなくてもよいかと思いましたが、
福岡県宗像市長崎県壱岐市に同名の神社があるそうで、
しかしそれとは関係なく、パピルスのひとが書いているはてなブログに、
誰が作った出版社で、その倒産後人がこう流れた、今はどうしてるか、
みたいなことが書いてあるのが検索出来て、はてなも大したビッグデータだな、
と思いました。下はその記事のはてブURL。

http://b.hatena.ne.jp/entry/odamitsuo.hatenablog.com/entry/20110923/1316703652

<収録作品と感想>
タイトルをひとつひとつ打ち込まず、東京創元社と個人のかたのサイトから、
コピーして加工してしまいました。すいません。
あと、ネタばれ御免。

「ミセス・ヴィールの幽霊」ダニエル・デフォー
 "The Apparition of Mrs. Veals" by Daniel Defoe

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC
⇒翻訳は20年経つと古くなると最近何かで読みましたが、
 こういう旧制中学の教養に支えられた文体の訳書は、
 ずっとそのままでいい気がします。そういう先制パンチ。
 悄気返るとか、一伍一什(いちぶしじゅう)とか。

「消えちゃった」A・E・コッパード
 "Gone Away" by A. E. Coppard

https://ja.wikipedia.org/wiki/A%E3%83%BBE%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%89
⇒小粋な話で、いちばん印象に残ります。
 作者短編集『郵便局と🐍』讀んでたのですが、
 忘れてました。

「希望荘」メイ・シンクレア
 "The Villa Desiree" by May Sinclair

https://en.wikipedia.org/wiki/May_Sinclair
⇒デザイアは希望でなく欲望だろう、と中森明菜の名において命じたく。
「エクスペクト・パトローナム(Expecto patronum)(守護霊よ来たれ)」

「防人」H・R・ウェイクフィールド
 "The Frontier Guards" by H. R. Wakefield

https://en.wikipedia.org/wiki/H._Russell_Wakefield
⇒さいごの訳文が最高でした。うまいな〜。

「チャールズ・リンクワースの懺悔」E・F・ベンスン
 "The Confession of Charles Linkworth" by E. F. Benson

https://en.wikipedia.org/wiki/E._F._Benson
⇒霊と通信する話。霊は死刑囚。

「ブライトン街道で」リチャード・ミドルトン
 "On the Brighton Road" by Richard Middleton

https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Barham_Middleton
ボブ・ディラン以前のボブ・ディラン
 日本ではひだる藭とかになると言いますが、英国ではそうではないんですかね。

「見えない眼」エルクマン=シャトリアン
 "The Invisible Eye" by Emile Ercmann & Alexandre Chatrian

https://fr.wikipedia.org/wiki/Erckmann-Chatrian
⇒これだけドイツからの重訳。二人の合作。
 乱歩の目羅博士みたいな話。目羅のほうが後です。

象牙の骨牌」A・M・バレイジ
 "The Ivory Cards" by A. M. Burrage

https://ja.wikipedia.org/wiki/A%E3%83%BBM%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B8
⇒異形の者に勝つとその人に福が訪れる民話。
 と言ってしまうと身も蓋もないので、
「自分の借金を親族が払うのは当然という思考は、典型的な依存症では」
 ギャン鬼。

「クロウル奥方の幽霊」J・S・レ・ファニュ
 "Madame Crowl's Ghost" by J. S. Le Fanu

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8B%E3%83%A5
⇒会話部分が大半スコティッシュ?で書かれているので、
 越後あたりのことばを基盤に訳したとのこと。
 あってるかどうかは知りません。そういう努力大事だなと。

「ラント夫人」ヒュー・ウォルポール
 "Mrs. Lunt" by Hugh Walpole

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB
コーンウォールをコーンワルと書いています。

「慎重な夫婦」ソープ・マックラスキー
 "THe Considerate Hosts" by Thorp McClunsky

https://it.wikipedia.org/wiki/Thorp_McClusky
⇒こわくないゆうれいを読むとほっとする人と、がっかりする人がいて、
 私は前者です。このゆうれいには理性がある。

「手招く美女」オリバー・オニオンズ
 "The Beckoning Fair One" by Oliver Onions

https://en.wikipedia.org/wiki/Oliver_Onions
⇒ぶさいくだけれど気の置けない彼女を袖にして孤独死する中年男の話。
 と言ってしまうと身も蓋もないので「霊のしわざです」
 倍賞どっちかが渥美二郎に「お兄ちゃんにはリリーさんしかいないのよ」
 と言ってしまう気持ち。フランキではなく、フラメンキンではもっとなく。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E7%A0%B2
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC
https://kotobank.jp/word/%E5%AD%B5%E5%8D%B5%E5%99%A8-621074

各作家のウィキペディアURL貼ったのは、わたし自身のクセもありますが、
下から二人目の人が、訳者も全然この人知らん、と書いてるので、
21世紀の今だと少しは明らかにされてるのではないか、と検索してみて、
すると、他の全員もせんければならんという気持ちになってしたです。
以上