「散歩する侵略者」（英語タイトル："Before We Vanish"）劇場鑑賞

公式サイト：http://sanpo-movie.jp/

まず、相鉄海老名駅改札で救急の日とこの映画のタイアップポスターを見て、
http://www.fdma.go.jp/ugoki/h2909/2909_21.pdf
撮り損ね、次にほかの方のブログを読んでこの映画を観ようかと思い、
http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20171023/1508714572
結局年末ぎりぎりになりましたが、厚木でつかまえて、観ました。
http://atsugieiga.com/sanposurusinryakussya/
観客はそれなりでしたが、パンフ購入率が高くて驚きました。
なぜかけっこうみんな並んで買っていた。\900。わりと高めですが、
樋口尚文と佐々木敦と(9)が書いています。

(1)
長澤まさみといえば静岡ですので、この映画も静岡なのかなと思い、
灯台は御前崎なのか、アウトレット？は御殿場なのか、
「アイアムアヒーロー」が原作では御殿場アウトレットなのに、
映画では韓国の閉鎖アウトレットロケだったので、リベンジなのか、
等々思って、ロケ地一覧や協力自治体商工会の記載があるかと思って、
買ったのですが、そういう記述はありませんでした。

パンフ頁59
本作の世界観は「東京ではない。でもすごく田舎でもないどこかの地方都市」ということでロケハンには苦労した。

日明あきらや、天野の親の家の中がすごいリアルで、
このモノの多さ、生活臭さはセットでは出せないだろう、
実際に誰かが住んでる家でロケしたのではないかと思いました。

(2)
おまわりさんのゼッケンみたいのが静岡県警で、長澤まさみのフィットが、
静岡ナンバーなのも、静岡説の根拠です。フィットとアクアの区別が、
途中までつかなかった。ホンダだからフィット。世界のナベアツみたいな人の、
レンタカー放送車は品川だか足立ナンバー。で、私が邦画見て思うのは、
ナンバーみせすぐるということで、「湯を沸かすほどの熱い愛」など、
栃木ナンバーだか宇都宮ナンバーだかが、みえすぎてイライラした。
「探偵はBARにいる3」はそのへんある程度マスクしていて、で、この映画は、
「お」ナンバーやら「ん」ナンバーやら、陸運局にないナンバーばかりで、
フェイクプレートなんだなと分かりました。その姿勢は正しいと思います。

(3)
長澤まさみは綺麗でした。でも前田敦子が最初出た時、香港映画みたいに、
タテヨコがびよよんてなった長澤かと思ったりもしました。
前田敦子って結局アングラなんかな。ジェームス三木のnHＫ八百屋お七が、
コケたのがアカンかったのかと。アングラだったAKBを日の当たる場所で、
堂々とさせるまでに押しあげた立役者が、モラトリアムたま子とか、
そういう世界が性に合ってるんだろう、上に行きたいのはやまやまでしょうが、
という感のある場所に居続けてしまうのも奇妙なことだなと。
さしこみたいに、知事はじめとする大分全県を動員して、秋元に勝負挑む的な、
スケールの大きな戦いが、能力的には出来るんだけれどもそういう世界観がない、
気がします。この映画は、その美人姉妹と、宇宙人みたいなダンナのストーリーと、
美男のアマザンと美女の日明晶と世界のナベアツのストーリーが、
並行して進み、そして交わる映画です。緑と青の縞のラガーシャツが、
どこの大学だろうと思って検索したのですが、分かりませんでした。
http://store.anoluck.com/shopdetail/000000001505/

(5)
この映画の住宅地には必ずペンペン草の生えてるような空き地があって、
それが、浸食感をものっそかもしていて、さらに言うと、
あそこまで長尺はないのですが、タルコフスキーのストーカーへの、
オマージュも感じました。茂みを歩いてゆく。

(4)
カンヌのある視点部門に出品されてるので、英語タイトルは、
これでいいんだと思いますが、（予告編にもパンフにも明記）
なんで、ア・ウォーク・オブ・インベーダーズじゃダメなのか、
バニッシュというと私ではないですが、アフガン内戦花盛りのころ、
パキのバローチスタンのクェッタで、
「ここからさらに北へ行き、（カンダハルなどの）アフガンに入ったら、
　どうなるだろう？」とジモティに聞いた夢見る日本人青年が、
"You will vanish"と回答された話を思い出します。砂にしみこむ。

(6)
私もこのタイトルからウルトラセブン思い出し、あの頃、
宇宙人や侵略者というと、やはり現実の何かが投影されてたので、
（私はある一定の歳から、ウルトラセブンの前説聞いてると、
　わけもなく「大村」と言う字を思い浮かべたりしています）
この映画も現代の未知への想いを投影されてるんでしょうか、と思いました。
それはひとことで言うと、
観たくない現実は直視しない、です。
まさにそういう時代の映画かと。

(7)
なるみは、おかめ納豆の着ぐるみかぶって踊ってたなるみ、
しんちゃんは、侵略者だからしんちゃん、
加瀬は、カメレオンと、ニセたいしゅう。

(8)
無人機の攻撃で地面にヤケコゲがないのはおかしいなと、
思って見てたら、宇宙人の攻撃で地面が炭化してて、
作中、リアルさ考証が進歩深化したのかと思いました。

(9)
パンフで、大森望が本作品のSFジャンルについて、
熱く語ってました。

小説も読んでみようと思いました。以上
【後報】
(10)
上の予告で、世界のナベアツがアマザンに目的を語られる場面、
それまで日の当たる場所にいたのが、ヴァンの裏側に回ると、
急にひんやりする日影になるんですよね。うまいと思いました。
私はこの監督よく知りませんが、この映画は陰の使い方がうまいし、
登場人物ぜんぶ顔に影が入ってるので、マンガにする際は、
ハナスジにそってトーンを貼らなくてはなりません。
今はパソウコンでやれるんでしょうけれど。

(13)
しんちゃんだけ、目的（しんりゃく）を雄弁に語らないんですよね。

(11)
私が長澤まさみ映画を観る時のポイントは、やたら彼女を大根扱いして、
脱がせようとする闇の#MeToo勢力と、祖父から受け継いだ遺産、
ズビロとかいろいろもろもろの、右傾うけい無形の彼女を守ろうとするパワーとの、
ジェダイもかくやの光と闇の暗闘です。
この映画も、ラブホにまで入るのですが、ハリウッドなら絶対、Rナントカ指定で、
ぐんずほぐれつセクースイコール愛、それ、もらった、キューン、
になるはずですが、これは草食時代出生100ﾏｿ人切った切った映画なので、
長澤まさみはまたも守られました。で、キョンキョンが出た。革キョン同。

レイダース失われたアークも、E・Tも、エロがないのでおこちゃま映画、
ダメさ、と酷評して自らの株を下げたオール讀物の映画評子が、
この映画を評したら、やっぱ、脱がないからダメ、と書いたんだろうなあ。
週刊誌メディアがすべてヘアヌード時代の記憶障害で苦しんでるというのに、
（違うか。電子時代への対応に噛みあわないだけかも）
脱がないからダメという時代は終わったと思います。この映画のなるみ、
知りあいのLGBTの同年代女性の見せる表情に、なんか似てました。
まさみは似てないんですが。不思議だ。杉村春子を意識した演技、と、
パンフにありましたが、私は杉村春子は欲望という名の電車しか、
知りません。

(12)
けっきょく、侵略が成功するかしないか、人類がホロン部か否か、
はっきりさせずに終わってほしかったのですが、原作付きなので、
しょうがないのだろうと思いました。芝居は、横内謙介が絡んで、
六角精児が宇宙人役やれば、厚木で見れる気がします。ダメか。
もう劇団善人会議って名前じゃないんですね。今読んでるエッセーで、
夕食後、空いた時間に渋谷ジアンジアンでこしばい見るゆとりライフ、
みたいな文章があるのですが、郊外生活者は終電気にするので無理です。
それは新宿で酒中日記とトークショー見た時も思った。
主催者側は、ホテルとって見るか23区内に住むかどっちかシロよ、
と思ったかどうか。あとは時間にしばられない仕事か遊民生活か。
遊民出来ればよかったですが、みんながそれすると働く奴がいなくなっちまうだろ、
とむかし目の前で嘆かれたことを思い出します。だから残念びんしけん。