『ほろ酔い天国』 (ごきげん文藝) 読了

装丁・デザイン 佐藤亜沙美(サトウサンカイ)
装     画 死後くん

頭山っぽい裏表紙。こんなかわいい絵で「死後くん」

CINRA『クリエイターのヒミツ基地』Volume29「死後くん」公開日時不明(見つけられず)
https://www.cinra.net/column/wacom/himitsukichi29-1

編者 杉田淳子、武藤正人(go passion)

巻末に全著者の略歴。初出も明記。意地でもほかのアンソロジーからもってきてこましたとは書かないぞと。原典、一次資料にあたったぞと(そういうわけでもないでしょうけれど)
カバーや表紙には編者名が書かれておらず、奥付を見ないと編者が分からないのですが、紀伊国屋書店のウェブサイトは編者に敬意を表してか、ばきっと編者名を冒頭に明記してま。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784309026817
もう一冊ごきげん文藝は出ていて、それは「温泉天国」

角田光代の『もう一杯だけ飲んで帰ろう。』を図書館で予約してるのですが、三月から予約して、まだ回ってこないので、それで、著者のほかの本でそれっぽいのないかなーと題名を見てると、これになんか収められてるみたいなので、それで借りました。

「止酒の詩」青木正
既読。「瓶盞病者」の意味を検索したら、Stantsiya_Iriyaさんの2014/03/15の日記、『ナサニエル・抱樽酒話』(岩波文庫)再読 が結果の中に入っていて、赤面しました。

瓶盞病的意思- 漢語詞典 - 漢語網
http://www.chinesewords.org/dict/206294-884.html
[PDF]「アテネ文庫」の研究(その2)・各点調査Ⅰ - 京都光華女子大学学術リポジトリ
https://koka.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=329&item_no=1&page_id=41&block_id=123

「のんびりした話」小沼丹
既読。記憶をなくす話。庄野潤三登場。

「酔余」内田百輭
既読のような気がしますが、何も覚えてません。

平野水(ヒラノスイ)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E6%B0%B4-613927

「「エサ」と酒」中島らも
未読。ひゃっけんのエピソードから書いてるので、編者ウマいと思いました。このワザが次にも続きます。

中島らもさんの酒」大竹聡
既読。確か原書だと、当時マネジャーだった息子さんもその後か前に登場してたような。息子さんのその後は奥さんの本で、その時点までは知りました。

屈辱ポンチ・カクテル」町田康
未読。この人、ライブでは素面じゃなかったろうと思ってるのですが、どないだ。

「嬉しい酒と悲しい酒」椎名誠
未読。この人の行きつけの酒場ほど斯界に有名な店もないです。有名人が通っているのに、で、現代は21世紀なのに、変わらない店って、そうないです。

「ポクポク小馬」田中小実昌
記憶にございませんがたぶん既読。新宿が出たので、じゃゴールデン街。じゃこの人。みたいな流れ。

「ボーイ泣く」山口瞳
既読。開高健はさすがに出ません。

「眠り酒」吉村昭
既読なのか未読なのか。飲むと寝てしまう人の目は、その時焚火にあたりすぎたような目になるので、吉村昭は「たきび眼」と命名してますが、広まらなかったようです。

「ブドー酒・哲学・アイスクリーム」山本周五郎
未読と思うのですが、読んでたらすいません。堀口大學の父親が、赤ワインに砂糖とお湯を入れて飲む人だった、という驚愕のエピソードが披露されています。メドック堀口大學は、渋沢龍彦だったか誰だったかのとこでもあかっぱじかかされてます。

「酒と車と…」安部公房
未読。砂の女のモデル地取材紀行。砂の地だけあって、うまい水でうまくなる地酒もアレだったという。

「ピジャマの一夜─―坂口安吾氏のこと」横山隆一
既読かなあ。だとしたら覚えてません。横光利一でなくフクちゃんなので、未読か。アンゴご本人のエッセーまで、まだいくばくか空けています。そういう構成。

「酒友銘銘録」筒井康隆
未読。サケトモの話なのに、平然と処方薬を入れてくる。時代を超越した人だなあと。あと、永井豪ダイナミックプロが、永井豪の兄たちとは知りませんでした。

「酒友を語る」辰野隆
たぶん未読。量を越すと酒がまずくなってくるという素晴らしい体質の持ち主。天然レグテクト。

「交友雑記」萩原朔太郎
既読。堀口大學の話はここだった。「あなたの都々逸箒の柄だわ。節がないほど品が善い」だそうで。

「酒ぎらい」太宰治
既読。ツスマスーズ。今日は三鷹の銭湯スタンプラリーに行こうかと思ってましたが、この感想文書いてます。

「女の酔い」佐多稲子
既読。正気の歌。

「塩ラッキョーで飲む寝酒」澁澤龍彦
既読と思いますが忘れてます。寝酒をナイトキャップと呼ぶのはおかしいと天下の正論。エシャロットを八百屋は「エシャ」と読んでるとか。高橋義孝エッセーで、アーティチョークをアテチョコと呼んでいる、という話がある、という引用披露もあります。

「酒のあとさき」坂口安吾
既読。個人的には本書のベストワン。中原中也がアンゴを「やいヘゲモニー」と呼びながら、遠く離れた場所でシャドーボクシングで挑発する場面のアホっぷりは秀逸。実は素直な不良娘の末路の悲惨さを、たんたんと書いていながら、最後が、ダンスホールで、舞妓の着物が他を圧倒する存在感を発している描写がまたよいです。

「酒」正岡子規
未読(と思います)岩波文庫でこれ見つけた編者は小躍りしたんじゃいか。収録作品中最古の一編。

「一升びんと帽子」鴨居羊子
未読。この人の本も読んでみようと、借りてきました。

「酒 極彩色の夢を見る」平松洋子
既読。「正しい側」がそこにいて、しかし幼少時の著者は大人を見ながら「だめな側」のほうが居心地がいいと考えている。昼酒の話で。

「酒」池波正太郎
既読。按摩は、酒のあと一時間たってからもむのが一番いいとのことですが、整骨院の施術は酔ってると効果が出ないので、飲酒後の来院はご遠慮くださいとどこかに貼ってあった。

「河童酒宴」佐藤垢石
未読。欧州の河童も中央アジアの河童も支那の河童もなべて馬肉を好むとあり、その前にそれらの地域に河童がいるのかよと思う人は正気です。

「ブドウ酒とぼく」植草甚一
既読か未読か不明。ロアルド・ダールとかキングスレー・エイミスとかの既読本が出てくるので、その点でももやがかかってきてます。

「酒神」田村隆一
既読。焼肉たむら。……とは関係ありません。

「人がいれば酒がある」角田光代
未読。回教国モロッコの酒場ルポが楽しい。その酒場のガイド役になった現地少年の描写も素晴らしい。ジッドの『一粒の麦もし死なずば』のお稚児さん遊びを連想したら、それはけがれたおとなです。

「感情酒」嵐山光三郎
未読。中国なら上海ビールって、あんな、ひところは、醸造過程で雑菌入ってんじゃねーの、ちゃんと殺菌してんのかよ、みたいなビールを持ち上げるなんてどうかしてる。黄河ビールを持ち上げるなら分かるんですが。それから、新発売のウイスキーは発売直後がうまい、評判をあげるために発売直後はモルトを多くしてるから、とのうわさ話は面白かったです。

「甘口馬鹿」埴谷雄高
たぶん既読。「左翼小児病」という言葉が出てきて、ネトウヨ用語かと思ったら、レーニン極左冒険主義を批判して書いた本の題名なんですね。検索して分かりました。

左翼小児病(さよくしょうにびょう)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E5%B7%A6%E7%BF%BC%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%97%85-69890
共産主義における左翼小児病 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B7%A6%E7%BF%BC%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%97%85

「こしかたの酒」森茉莉
既読。結婚生活の時の話がさらっと出てきます。

「酒」吉田健一
既読。以前読んだのとは違う箇所で感心した気がしたのですが、今書きながら見て、どこだかもう分かりません。

「三代の酒品」坂口謹一郎
既読。成分分析表から推測される明治黎明期の酒が、現代なら吞めたもんじゃない味だったというくだりは面白かったです。ぼくもやしもん

「お酒と酒と日本酒」吉行淳之介
既読。アレルギーとの関係の個所は、現代でも生きてるのか。

「下戸の屁理屈」井上ひさし
未読。未亡人の回想録だと井上ひさしのDVはひどかったそうですが、井上ひさし自身が少年期、母親のとこに居ついたオトコの暴力にさらされていたという、なんちゅうか、遺伝とはまた違う負の家庭環境の連鎖を想起します。こういう男はおんなひっかけるのうまいから、次々に寄生先の女の連れ子に感染してゆくんですかねえ。暴力が。ああこわい。そのせいで井上ひさしは、飲めるのに飲まない人になったとか。

「脳髄の乾燥について」立原正秋
未読と思うのですが、既読であってもおかしくないです。アルコール肝炎になっても断酒でなく節酒で過ごしたいという手記。

「酒の讃と苦笑」若山牧水
既読かな。「本当」を「本統」と書いたり、ワープロ登場以前の自由さがうらやましい。

「酒と神様」野呂邦暢
既読かな。飲めない体質の著者。

「酔眠漫語」外村繁
既読かな。地平線の先に黒雲が見えていても、まだ先だと考えている。

「舌を洗う」吉川英治
既読。お酌は自分のペースで飲めないから手酌派。

「身に沁む」永井龍男
既読。酒器の話。

<私がこれまで読んだ酒アンソロジーで、いま、適当にさくっと抽出出来たもの>
2014-03-01『酒場』 (日本の名随筆 別巻4)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140301/1393677853
2014-03-17『酔』(日本の名随筆 66)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140317/1395067953
2014-03-25『肴』(日本の名随筆26)読了、それから今回の『サラリーマン拝!』
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140325/1395752031
2014-03-28『酒』(日本の名随筆11)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140328/1395994480
2014-05-24『酔っぱらい読本』 (講談社文芸文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140524/1400886624
2014-05-30『続・酔っぱらい読本』 (講談社文芸文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140530/1401428920
2015-05-16『アンソロジー  ビール』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20150516/1431793072
2015-12-23『日本文学100年の名作第5巻1954-1963 百万円煎餅』 (新潮文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20151223/1450876524
2016-01-20『酔っぱらい読本・壱 -A BOOZE BOOK 1-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160120/1453243870
2016-01-22『酔っぱらい読本・弐 -A BOOZE BOOK 2-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160122/1453466728
2016-01-29『酔っぱらい読本・参 -A BOOZE BOOK 3-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160129/1454068632
2016-03-05『酔っぱらい読本・肆 -A BOOZE BOOK 4-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160305/1457187484
2016-03-09『酔っぱらい読本・伍 -A BOOZE BOOK 5-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160309/1457530828
2016-04-13『酔っぱらい読本・陸 -A BOOZE BOOK 6-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160413/1460548562
2016-06-20『日本文学全集66 現代名作集4 埴谷雄高安部公房中村真一郎藤枝静男他』(筑摩書房)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160620/1466395596
2016-07-31『酔っぱらい読本・漆 -A BOOZE BOOK 7-』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160731/1469971851
2016-10-22『私の食自慢・味自慢―うどん 大活字 (4)』 (大きな活字で読みやすい本)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20161022/1477092221
2016-11-26『日韓併合期ベストエッセイ集』 (ちくま文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20161126/1480169165
2016-12-06芥川賞全集 第二巻(文芸春秋80周年記念事業/全19巻既刊14巻)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20161206/1481006077

宮部みゆきのホラーアンソロジージュディス・メリルの年刊SFアンソロジーは抜きましたが、それでも一部、違うアンソロジーがここに混ざっています。わざと。