今日は某民族料理店に行こうと思ってましたので、そこの店内で香港の本(香港について書かれた本でなく、香港で出版された中国語の本)を読んでいると、中国語の本なので勘違いされて、ほかの客から妙な秋波を送られないかなあと勘ぐって(西川口のウイグル料理店だと、逆に、ほかの客がほとんど漢族だったりするので、別のことを考えたりしますが)昨日発売の『ゆりあ先生の赤い糸』七巻を買って読もうと思ったのですが、どこにも売ってないので、これを衝動買いしましたが、結局店内では読みませんでした。
今月発売の二巻をまず手に取ったのですが、一巻から読まないと分からないだろうと考え、一巻を買いました。その後、二巻を買おうと思ったのですが、三軒回って何処にもなかった。
全六話収録なのですが、初出は「コミックDAYS」2020年4~5月号だそうで、二冊に六話どうやって掲載するねんと思いました。が、ウェブサイトでした。そこで週刊連載から隔週連載へ。COVER DESIGN YUSUKE KURACHI (ASTRORB)
前の作品ではちがうペンネームだったとか。責められる少女の絵をときどき入れているので、そういう絵をまた別名義で発表してる人かも。下記の連載開始までの打ち明け対談では、描くのがはやいと評されています。
仕上げはデジタルとしても、背景までひとりで描いてるとか。連載中は別名義で副業とか出来ないかな。
満州の運命まで狂わせてしまうとは大きく出たものですが、原作者の人は別に専門家というわけではないようで、そもそも「満洲」のはずが、なんでサンズイのない「満州」なの? みたいなツッコミが多数寄せられているはずですが、すべてご意見無用と言ったところです。上のキャプションでも、「農業義勇軍」という単語がナゾなので検索しましたが、みんな知ってる満蒙開拓青少年義勇軍しか出ませんでした。
私が満蒙開拓青少年義勇軍を知ったのは中公新書ですが、島田一男の戦前中国回想録にも登場し、鏡泊湖のほとりに農場があったが、馬賊に攻められて全滅したと書いてます。
中国大陸横断 : 満州日報時代の思い出 (徳間書店): 1985|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
編集者によると、原作者は歴史の吸収能力がすごいそうなので、上記とか、佐野眞一や西木正明が描いた鮎川義介、否、阿片王里見甫なんかをすくすく自家薬籠中の物として、作品に出して昇華させてくれるといいなと思いました。
アマゾンレビューを見ても、みな同意見な感じで、「召集令状の場面はありえない」「重機かついで訓練してたのに歩兵か」「傷痍軍人を実弾撃ってからかうなんて、弾がもったいないわけなので、二重にありえない」「憲兵が思想犯でもない邦人を拷問するのもおかしい」「あへんはぐでーとなるはずなので、エル食ったみたいにラリラリのハイになるのは完璧にオカシイ」「一度の服用で即常習までいくわけない」etc. ありながら、行く末をほほえましく見守りたい感じが透けて見えました。このジャンルの作品は少ないので、どんなんでも、ありつきたい飢えた連中が、それで商売がなりたつほどの人口キャパはないのですが(だから横山光輝『狼の星座』復刊も収支赤字だった)わーとよってくるのだと思います。韓国をDisると、わー💛と来る人と同じ。
ひとり、ロンゲの憲兵なんているわけないだろ、と突っ込まれるかもしれないが、現地化して攪乱工作するのが主任務の連中のなかには、蓬髪総髪はそりゃいたさ、そういう精鋭ゲリラのほうが八路から恐れられていた、と書いてる人がいて、フーンと思いました。ひとやまいくらの大陸浪人とは違う連中がどれだけいたか。
"MANCHURIAN OPIUM SQUAD" なら分かるのですが、スクワッドだけ英単語で、あとローマ字というのもなんだなと。ぜんぶローマ字にして"MANSHU AHENSUKUWADDO" でもよかったと思います。
カバーをとった裏表紙。やっぱりサンズイのある「満洲」のほうがいいな、と。
頁107のカット。中文で書くなら「阿片」でなく〈鴉片〉ですから、〈满洲鸦片团(團)〉にしないとアカンのやろうな、と。
少年誌なのにさりげなくヒドいエロを入れるのは、私がまあまあ漫画を読んでた頃でも萩原一至や大暮維人がやってたので、この漫画家のひとがやってもいいのですが、花のズボラ飯ではないですが、名前が違うと、ほかのエロ著作があんまし分からないので、同じ名前でやってほしいです。少なくとも、森山塔と山本直樹くらい、誰でも同一人物と知ってるくらいにしてほしい。
原作者の人は、上のアマゾンレビューでは中国人や台湾人からは突っ込まれてませんが、それは中国人や台湾人が日本のマンガのレビューを書かないからです。在満邦人青年の主人公が阿片窟でぺらぺら流暢に青帮と会話したりするのはありえないわけですが、そのへんはいっそいさぎよいと思いました。まちがいだらけの現代漢語のせりふをとりまぜるよりは、いっそぜんぶ横書きのセリフだけで押し通す方が、よほど読んでいて気持ちがいい。
しかし、その態度もそんな貫いてるわけでなく、頁177で《好感人》というセリフをまずだしてきます。これはまだ分かる。
頁187で、これまでのところ登場する唯一の実在人物、杜月笙が、主人公を殺す殺し屋を雇うんですが、その名前が、まず苗字が〈龙〉で、この字が「龍」「竜」の簡体字であることを知らないで使ってる感がありありとあって、その次、名前〈静英〉のルビが「ジェイン」で、「静」はジンで、ジェとは読まないだろーと思いました。そんな暗雲立ち込めるヒキで二巻に続くので、二巻がどんなグダグダになるのか、それとも崩れないのか、乞うご期待だと思います。そんな読み方は誰もしないか。以上