なんしか全員喪服みたいな17巻表紙。上海編完結。
帯。一冊につき、紙、電子版あわせて20万部出てるんですね。16巻刊行時240万部で、18巻刊行時280万部なので。
帯裏 私はチチハルには行ったことはありません。スフナと牡丹江と鶏西と鶏東には行ったことがあるのですが。黒竜江省の東側は、中国語が話せても話せなくても、日本国籍の人間がぶらぶらしてると、残留孤児絡みの日本国籍のにんげんがうろついてると、十中八九思われます。北の人間なのであったかい人も多いのですが(そうでない人やぼったくりも無論いる)私がいちばん衝撃的だった挨拶は、”你卖什么?“(何を売りに来たの?)です。びんぼう書生がドサまわりの行商してると思われた。
カバー裏はケシの実とバラの花束。『【推しの子】』8巻で双子の父がアイの墓前にバラの花束を添える場面を読んだばかりなので、その人がヤンマガに来たのかと思いました。
「必ず真阿片を潰してやるよ」
紅幇最高戦力の双子を破り、ついに上海の女王、蘭玉の喉元へと迫る勇たち。仲間と自由を守るため、勇は絶望と怒りの中でボスとして覚醒!
武器を握り締め、蘭玉に突きつける‥‥。
そして真阿片の大量生産を目論み北の要、斉々哈爾に向かう一向!
待ち受けるは真阿片の失墜を狙う、青幇と関東軍、それぞれの精鋭だった。
蘭玉との闘いは始終ご都合主義で、圧倒的優位な蘭玉がいつも勇に手心をくわえる。途中消えていた上海のユダヤ人(白系ロシア人)が現実とは異なり、豊富な資金を持っていて、それで主人公一行を助ける。工部警察のふたりの名前の"zi"を「ズ」と読ませず「ジ」と読ませてしまうナゾは最後まで解けず。
満州に行くと、ちょうどノモンハン事変が終わったところで、この作品の時代が確定します。甘粕サンと辻正信サンを足して二で割ったような荒いキャラの日本軍参謀が出て、青幇の阿片研究者も出ます。勇が年端もいかない弟と妹を熱河からチチハルに連れてゆくので、またヒドいことになるのかなあという悪寒。
COVER DESIGN YUSUKE KURACHI (ASTRORB) 初出「ヤングマガジン」'23年50号~52号、'24年2・3合併号~6号、8号~11号掲載。はさまってた広告は『大怪獣ゲァーチマ』と『ゴールデンマン』と『レベリオン』
頁168のチチハル駅舎の絵が、これまでの都市より明らかに数ランク落ちる規模で、リアルでした。こんな街なんですが、日本の国策大企業はあるわ、関東軍の立派な建物はあるわなんだそうです。ほんとかどうか知りません。ジャムスの方が面白そうだった気もします。以上