カバーフォト=島田達彦 カバーデザイン=熊沢正人 カバー印刷=真生印刷株式会社解説 結城信孝
男たちのら・ら・ば・い (徳間書店): 1999|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
本書の著者紹介では秋田県生まれとなっていて、それが定説のはずが、ウィキペディアでは2019年の秋田魁新報のインタビューで「ほんとうの出生地は新潟県」と語った件を拾ってます。著者紹介もウィキペディアも探検部絡みのことを書いてないのですが、高野秀行やら船戸与一やら角幡唯介やらの座談会でこの人の名前が出てきたはず。と思ってこの人のアラスカものやカニ族ものや冷えた麦茶を飲むライターものを読むと、情感ガーという感じです。帝京大学で浅田次郎や藤井省三北東の講演を聞いた時、日本ペンクラブの獄中作家委員でこの人も来てて、「もう私も後期高齢者」と、数年前に『お楽しみはこれからだ』という本なぞ書いていたのにさびしいことを語っておられました。入管法とかどうなるんだろう、この人的には。
本作は1984年4月号掲載。『流木』徳間書店収録。絲山秋子のアル中小説『ばかもの』にも事故で片腕になった女性が登場し、映画では内田有紀が演じてましたが(相手はあの成宮で、成宮がDVする妻は白石美帆)(ついでに言うと成宮の親友役で、イップマン一作目で日本軍将校を演じることになる池内博之が出ます)本作の主人公もそうです。そして、女性が絡んで、プロ野球が絡んで、復讐譚。この人の本質のドキュメンタリーライクな作品は、近代史ものが多く、あとは田舎を舞台にしたドタバタな感じがあるのですが、こういうのも書いてたんだなと。読めてよかったです。以上