装画 富安健一郎 装幀:早川書房デザイン室
収録十三作品のうち、じゅうさん個め。『三体』の作中VRゲームの一エピソード(第17章のところだとか)を換骨奪胎、主人公を荊軻に変えて短編に焼き直したそうで、ケン・リウがまず英訳をアンソロジー"Carbide Tipped Pens"tor books2014年1月刊で発表し、中文版も《夢之海:劉慈欣科幻短篇小説集Ⅱ》四川科学技術出版社2015年か2016年刊で出たとのこと。日本では英訳からの重訳がまずアンソロジー『折りたたみ北京』2018年くらいに収められて、それから、本書で漢語訳が出たそうです。
始皇帝の命令で荊軻が人力コンピュータを指揮する話で、なんというか、地中海の海底の古代コンピュータとか、スチームSFとか、そういうの好きな人が多いから好評なのかなあと思いました。私が、この本を読んで、劉サンを北京五輪CG花火監督チャン・イーモウと重ね合わせてしまうのは、それまでの民芸路線やテラコッタ・ウォリアー、台湾海峡緊急指令、《秋菊打官司》,キープ・クールなどから、"HERO"《英雄》"LOVERS"《十面埋伏》みたいな、ハナエ・モリでやたら凝った様式美になってしまったのと、本作を重ね合わせたせいです。
劉サンがこの後どこに行くのか、チャン・イーモウと同じ道を行くとするなら、高倉健をモチーフにした作品を作ってもむろんいいのですが、なんとなく、北京五輪CG花火監督に類するような責任者的立場に立つようになったり、天安門で米国に亡命したゲリン・ヤンサンが祖国の懐に抱かれて~的なわけでもないのでしょうが、原作を書いた南京アトロシティー映画"The Flowers of War"《金陵十三钗》を撮ったように、なんかやることになる可能性もあるかなあ、と思ってます。でもそれは江沢民体制や胡錦濤体制の時のパターンだからなあ。キンペーチャンがどうなのかは知りません。
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いい加減この映画も見なければいけないなあと思うのですが、ちゃんと字幕がついてくれるのか、それすら知らないので、誰かに聞いてみようと思ってます。この人がこの映画を撮ったのは、原点が《红高粱》だからさもありなんという評があり、そういう見方もあるのかと思いました。以上
この人のピンインカタカナ名は、「ツ」と「シ」の書きわけが出来てない人には鬼門。