མི་རོ་རྩེ་སྒྲུང་།『チベットのむかしばなし しかばねの物語』“Tales of the Golden Corpse: Tibetan Folk Tales” “Les Contes facétieux du cadavre ”《说不完的故事》读完

チベットのむかしばなし しかばねの物語|本をさがす|こどもの本の「のら書店」

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Les Contes facétieux du cadavre | L'Asiathèque

図書館のリクエスト順番待ちをしていたのですが、児童書ですので、べつに子どもや親御さんの順番に割り込まなくてもいいやで紀伊国屋で購入し、しかし積ん読に重ねてました。告別式のあと、読書感想に書くものがないので、リクライニングチェアーで読みました。星実千代さんがいつなくなられたのか存じ上げませんで、さらにいうと、巻末の「解説――しかばねと勇者のはるかな旅」で、初めてペマ・ツェテンさんの訃報を知りました。

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健康热搜榜丨著名导演万玛才旦去世,医生建议去高原前做好这些事_海拔_环境_浓度

下は何故か出て来た2016年の記事。

藏族导演万玛才旦遭警方羁押后住院

原題のチベット語は、フランソワーズ・ロバンサンの仏訳表紙にあったのを、例によって手打ちしようと思ったのですが、もう世の中はチベット文字もグーグルレンズで出せるようになったみたいです。

མི་རོ་རྩེ་སྒྲུང་ - Wikipedia

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そしてフランソワーズ・ロバンサンのウィキペディアには、2016年の出来事に対するロバンサンの反応も書いてありました。

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Françoise Robin - Wikipedia

In 2016, she told The Guardian that the allegations of poor treatment of the film-maker Pema Tseden were reflective of the way Tibetans are treated by the Chinese authorities and indicated that China was not a state of law.

私が屍体物語を知ったのは、たぶん、勉誠出版ツェラン・トゥンドゥプ『黒狐の谷』に、「ケサル王伝説と並んでチベットで親しまれている民間伝承」と書いてあって(タクブンジャのハバ犬だったかも)当時ケサルバカ一代の人と女子会の抗争を一方的にメールニュースで送りつけられて泣きっ面に蜂状態でしたので、ケサル王と並ぶ叙事詩ならこっちもドキュメンタリー映画に撮りやがれと思ったのが最初です。

ちなみに、解説に出て来る『チベットのものいう鳥』は、公民館の図書室入ったところにデーンとあるのでとても目立っていて、気にはなっていたのですが、原書が漢語ということで敬して遠ざけていました。原題が《金玉凤凰》で、鳥が語る物語というパターンは、『チベットのものいう鳥』以外採集されていないという話を知ることが出来、よかったです。ただ、鳥が登場すること自体は、本書でもバンバン出ますので、それほど珍しいことではないんだなと思いました。

再話者の田海燕サンや、本書のおおもとの漢訳版を著した王堯サンは、いずれも本書解説ではピンイン読みのルビが振られています。でんかいえんサン、おうぎょうサンでいいと思うのですが、しかし私が「尭」のピンイン"yao"を知らなかったのも事実です。ティエンハイイェン、ワンヤオ。どちらも有気音無気音は清音濁音に非ずルールと無縁。

baike.baidu.com

ワンヤオサンの百度著作リストには、《説不定的故事》、否《説不完的故事》はないかったです。

ワンヤオサンは北京の蔵文木版から漢訳したのですが、原本が紛失したため、漢訳からさらにアムド出身のサムテンという學僧が蔵訳し、それがいちばん現状チベットでポピュラーな版になったため、本書の底本になったそうです。ほかにもう一種類、ラサの蔵文肉筆本を活字にしたバージョンが1980年に出たそうで、そっちは象がいっぱい出るそうです。

チベット伝承前のインドバージョン、平凡社東洋文庫?の『屍鬼二十五話』もそのうち読んでみます。チベットからモンゴルに伝わった説話と、クリソツな説話が東欧にある点を星さんは解説で指摘していて、モンゴルの征西と関連あると考えると面白いかも、と書いてます。ここは、なんしか今袋小路にハマってる宗像教授©星野之宣サンに教えてあげたいです。

あと、関係ないですが、上田信サンは好きな学者なので、チベット族といわずチベット人と書いてほしかったなあと。痛切に思います。

book.asahi.com

蔵西サンのイラストは、児童書のそれというより、文章だけだと頭の整理に時間がかかる部分のビジュアル化と、逆に、アニメ絵で目がキラキラアップをせず、分かりにくい構図で攻めてくるふたつの天丼で、後者の極北が頁54左側の木馬の顔です。

のら書店という会社は知りませんでしたが、1983年からほそぼそと続けられている老舗だそうで、解説では、蔵西サンと並んで、編集佐藤友紀子サン、装丁高橋雅之サンへの謝辞もあります。

チベットで 長く愛されてきた むかしばなし しかばねと旅する主人公に課されたのは、 しかばねが語るお話がどんなにおもしろくても、口をきいてはいけないということ······ チベットの人々に長く愛されてきたむかしばなし 「しかばねの物語』 を、 親しみやすい日本語訳とさし絵で味わえる一冊です。 あい

チベットの「しかばねの物語』 では、物語を語るしかばねを手に 入れることができれば「この世の人々の寿命が何百年ものびて、 みんながゆたかな富をわかちあうことができ、びんぼうな人は一 「人もいなくなる」 と語られています。お話を語る存在 (しかばね)が 宝物である、という考え方には、激動の歴史の中で、 しかばねの 物語を大切に語りついできたチベットの人々の思いがあらわれて いるように思います。 星泉 解説より)

帯裏

本書は24の寓話のうち半分の12しか収められていないのですが、実は内容は同工異曲で(でも読み聞かせ、語り聞かせにはこれくらいを毎晩天丼がいいのかも)毎回金と女と御殿をゲット(方法はとんちもしくは偶然)で、段々飽きて来ます。しかし屍は一枚上手というか、なぜそうなるのかの説明をせずに口を開かせたり、大事な登場人物のその後をわざと語らず片手落ちで話を落としてツッコミを入れさせたり、あの手この手で相手をしゃべらせて、逃げます。私は日本のこの手の話の白眉は雨月物語の「朝だと思ったのかね?」(©その話を下敷きにした『恐怖新聞』で、勝利したポルターガイストのせりふ)と、宮沢賢治貝の火』「たった六日だったな」だと思っていて、いずれも、日本てチベットほど欲望に正直じゃないよね、禁欲的だよね、と思います。

宮沢賢治 貝の火

そして、私も頁116のハオ兵団が気になって気になって、しかたないです。全員漢族の〈好〉兵団が内地から増援にやってくるということなのか。漢語版を読まないと分からないですよね、ここは。王尭サンのが、寄贈中文書を大量に持ってる某図書館(新井一二三サンが香港で出した本も蔵書してる)にないかと思ったのですがないかった。ペマ・ツェテンサン版が入手出来て読めればいいのですが、さて。以上