『中国幻影 開いたパンドラの箱』再読

引っ張り出してめくってみると、楽しい楽しい。
京都新聞に1991年から2007年まで17年掲載したコラムをまとめたものなので、
一杯のかけそばの完パク“一椀陽春麺”の「誤訳」から始まって、
朱鎔基やらSARSやら、懐かしくも色褪せないエピソードが豊年万作。
バクマン、もとい莫言の翻訳者なので、勿論莫言のエピソードもあり。
トミー、ラピッドファイア、ウィズユー。

以下2日前に書いた文章。
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コーリャン*1粥を最初で最後食べたのは、黒竜江省漠河*2の旅館の朝飯です。(朝飯付きだった)
冬で寒かったな。

Amazonで検索していて、吉田富夫先生は学生*3からトミーと呼ばれていたとか、
くだらないことを思い出した。
トミーというと、産霊山秘録*4に出てくるのの人の印象が強い。

中国幻影―開いたパンドラの箱

中国幻影―開いたパンドラの箱

魔術的リアリズム文革を描くとかもうそういうのが全然げんなりみたいに世界経済を振り回す中国になったので、
回顧ばかりでいてもしかたないでしょうよ、という作者の主張かな。
とかそういうことをこの本を当時読んで思ったような感触だけが残っている。感触なので具体的には忘れた。

キープ・クール*5とか初恋のきた道*6とか面白かったのに、その後北京五輪まで魂を売って自分を殺した*7張芸謀は、
昔の芸風に戻ろうとしても、アル中が二度と普通の酒の飲み方に戻れなくなるように、
さんざしとかでもかつての芸風の輝きは取り戻せなかったのでした。覆水盆に還らず。盆は頭がい骨で水は感性。
(魂を売るのが悪いと言っているのではなく、転石苔を生ぜずだから、
 過去の芸風に戻ろうとしても、ぬか漬けのきゅうりが生野菜に戻れない*8のと同じように出来ませんよということ)
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*1:昔、バイト先の上司で、アメリカに住んだことのある人がいて、コリアンエアーをコーリャンエアーと発音していました

*2:http://maps.google.co.jp/maps?aq=&hl=ja&rlz=1T4TSHJ_jaJP276JP277&q=%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%80%80%E9%BB%92%E7%AB%9C%E6%B1%9F%E7%9C%81%E3%80%80%E6%BC%A0%E6%B2%B3&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wl

*3:http://www.bukkyo-u.ac.jp/faculty/literature/chinese/

*4:

産霊山秘録 (集英社文庫)

産霊山秘録 (集英社文庫)

*5:原題:有話好好説

*6:原題:我的父親母親/一個都不能少、幸福時光とあわせて幸福三部作

*7:

*8:http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20120925/1348566463