- 作者: 鹿島茂,松原隆一郎,福田和也
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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地元になくて、これがあったので借りました。以下後報。
【後報】
書評本は、取り上げられてる本を読みたくなるので、敬遠してるのですが、
この本は大半が政治経済絡みの本、ブッシュがどうのソロスがどうの、
ハンチントンがどうの野中広務がどうの成果主義がどうの景気がどうの、
という本でしたので、その心理的負担が少なくてよかったです。
ナンシー関とか電車男とかハルキ訳ライ麦畑とかについて語ってる部分は、
是々非々の感想を逐一持たざるを得ないのですが、政治経済なら、
へー、ほー、ふーん、で済む。すこぶる気が楽です。
出てくる本は、三人が毎回オススメを一冊ずつ提出してるのかと思いましたが、
連載元の月刊文春編集部が出してくる場合もあるそうで、
三者ベタぼめの桐野夏生も、山本七平も櫻井よしこも、
誰が持ち込んだ本か正確には分からない、ということになっています。
後者ふたりに関しては、色眼鏡でカテゴライズされる多数著書でなく、
ハズした、ニヤニヤ的な本が選ばれてるのでニヤニヤしましたが、
別にニヤニヤさせる意図で選んだわけでもなかったようです。
福田和也は、ボーツー先生との対談本でも分かるとおり、
単なるライトを雑読により超越した面がありますので、
ほかのふたりのナイーブさとややちがうかな、と思いましたが、
読者はナイーブをいとしく抱きしめたいでしょうから、
この本のアマゾンレビューがよくてボーツー共著がひどいのも、
むべなるかなって感じです。松原さんが、カラテカで、
柔和な顔立ちの写真で、しかしけっこうビックリ発言が多かったと思います。
グラスが汗をかくのに、写真では、コースターもろくになく、
本や資料を並べてて、滲みないのか心配になりました。
頁16 キャッチャー・イン・ザ・ライ*1
福田 僕は、村上さんの今回の文章は、ある意味で辛かった。先ほど松原さんが「関西の高校生みたい」といわれたけれど、主人公の語りは「関西の漫才師が真似した東京弁」のようなんですよ。
頁17、鹿島さんによると、自意識が抑えられない人の文体だそうです。
頁22、移民と現代フランス*2は、当時読みました、懐かしい。
http://ja.forvo.com/word/je_suis_charlie/
頁33、日本の童貞*3も、読んだかな。小谷野敦。
頁37 シェフ、板長を斬る 悪口雑言集*4
松原 確かに。この著者はクレーマー気質なんでしょうね。普通の人は、いいと思った店には何回か行き、信頼関係を築こうとするものですよね。しかしこの本が想定しているのは、その店に一回しか行かない客。一回限りでも最高のサービスを求めるから、場合によってはわがまますぎる客でもある。グルメライターのように店と癒着するのもおかしいけれど、ある程度は常連になって信頼と緊張感をもって料理を食べるのが大人の常識でもあるので、それが全くないなら、かなり寂しい食べ手かな。
飲み手、に置き換えて読みました。滅亡する罠。
頁61、久世光彦が「むうちゃん」を描いた小説*5は、アマゾンの関連ナントカなどで、
知ってはいましたが、まだ読もうとは思ってませんでした。
久世光彦自身、週刊文春だか新潮だかの森繁久彌の連載を、代筆したり、
もりしげ入院以降もりしげさんの思い出と題して自分で書いてみたり、
獅子奮迅頑張りましたが入院中の森繁より先に逝ってしまうという、
なんだそれは、的なことだった、と、思います。陛下。
頁74、『ねじとねじ回し』は面白そうだと思いました。読みます。
ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ヴィトルトリプチンスキ,Witold Rybczynski,春日井晶子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/30
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2003年時点の書評ですから、好意的です。
この人が湘南ベルマーレと関わり、クリック証券やラ・パルレ*7がユニスポになって、
すべて消失したり*8、人生はまことに夢のようですが、現実です。
頁102、ゾラの居酒屋も、灯台下暗しで、未読です。谷間の百合は読んだ。
頁119、コミさんの本は、いくつか読んだので、またいずれ。
頁121、下記も、読もうと思います。
頁133、『「清明上河図」をよむ』はこの年の業界ベストセラーのひとつでした。
良い本です。それから十年たって、上野ほかで展示されたのも懐かしい思い出です。
今年のチベットフェスティバル同様、観ませんでしたが。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1445
http://www.tibethouse.jp/event/2015/150425-0524festival.html
- 作者: 伊原弘
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2004/10/14
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福富太郎のキャバレーの本はここに感想書きました*9し、
マネーボールはブラピの映画で観ました。のー先生のマンガ*10は未見。
で、頁188の山本七平。1975年野生時代の連載が、なぜか三十年本にならなかった。
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)
- 作者: 山本七平
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2004/03/10
- メディア: 新書
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頁189
松原 同感です。左右双方の戦争論が空しいのは、一方は平和主義だし、他方は日清・日露以来、大国に脅されてやむなく対抗したというロマンチシズムに陥っているからです。山本氏が指摘するように、日中戦争は弱い者イジメだったし、大戦の最後の数年に至っては、戦闘ではない場で兵士を死に追いやりました。
バシー海峡で、制空権も制海権もないのに、兵員満載の輸送船を送り込み続け、
沈められ続けた件を指しているそうです。「死へのベルトコンベア」、
「ヒステリー女が恐怖のために手当たり次第で物を投げつけるように」
「アウシュヴィッツのガス室よりはるかに高能率の、溺殺型大量殺人機構」
左翼嫌いのペンダサンが、上記の如くショッキング描写のテクを用いたなんて、
ちょっとびっくりで、そりゃ三十年お蔵入りだったな、と思いました。
頁191
福田 後の非難に対して「やるだけのことはやった」と言い張るためだけに、惰性で無謀な作戦を続ける日本の指導者の性向を、山本氏は「心理的解決」と読んでいますが、
頁193、上司は思いつきでものを言う*11は、当時勤めていた零細企業の二代目社長が、
三十分で読んでゴミ箱に叩きこんだ本です。
その後、それを掃除のさいに拾った女子社員が神経性胃炎で早退して持ち帰って、
翌日、「面白かった」と笑顔で話してくれました。その人ももう3児の母。
頁208 波乱万丈の映画人生
岡田茂*12
鹿島 非常に合理的な経営者という点で、僕のイメージする岡田茂は、藤原書店という出版社の社長と似ているんですよ。僕が責任編集した「バルザック『人間喜劇』セレクション」など、教養豊かな本を出版しているけれど、藤原社長は出す前はバルザックなんか読んだこともないんだ(笑)。純粋に、経営上の判断で出しているんです。そこが偉い。
藤原書店てそうなのか、と、そっちのほうが面白かったです。
ブルデュー*13の本を出してる出版社、というくらいの認識ですけれども。
頁242、六世笑福亭松鶴はなし*14で、鹿島さんが、
アル中で死んだ春風亭梅橋も、
伊勢丹の屋上で毎日インコに「三越」と鳴くように調教していたとか。
と語っているのは、メモしておきます。
岩波は、たまに不思議な本を出す。コネなのかなんなのか。
下記が出た時は本当に不思議でした。
- 作者: 桂博史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/06/15
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頁247、言論統制*15も読んだかな。
頁267、気分はもう戦争にも同じセリフがありますが、
基地が開放されて千葉や茨城の連中が来るくらいなら、ずっとヤンキーに占領されてたほうがマシだ、
というセリフの原文を読みたいので、下記も借りてみます。
http://www.amazon.co.jp/%E7%A5%9E%E6%A7%98%E3%81%AE%E3%83%94%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%92%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%9F%A2%E4%BD%9C-%E4%BF%8A%E5%BD%A6/dp/4334705154
矢作版ロンググッドバイは、"WRONG GOODBYE"てこと、すぐ忘れてしまう。
頁271、肩をすくめるアトラス、一九五七年に出版されて以来、累計五百万部を超え、
今でも毎年三十万部が新たに売れるアメリカ最大のベストセラー
全米国会図書館の調査では「アメリカ人が聖書に次いで最も影響を受けた小説」
一般読者のアンケートでも「二十世紀の小説ベスト一〇〇」には必ず入る
頁272
松原 ランドは「人間も動物と同じで、快楽を追及することによって、与えられた使命をまっとうできる」と説くアメリカ自由主義の始祖的な人物です。といっても左翼リベラルではない。資本主義は経済的に正しいという人はたくさんいますが、倫理的にも正しい、と言ってのけたのが彼女です。
新保守の元祖
同 松原 この本を好きだという人たちの気分がわからないと、アメリカ人は理解できないんじゃないか。
頁273 松原補助金をもらうくらいなら、人を殺したほうがいいとも言っています(笑)。
Atlas Shrugged (English Edition)
- 作者: Ayn Rand
- 出版社/メーカー: Signet
- 発売日: 2005/04/21
- メディア: Kindle版
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このあたりの文化の違いにも要因があるかもしれないな、と、思いました。
まだ何ものかも分からなかった時代の、マスコミ買収を仕掛ける前の、
プロ野球球団買収を仕掛けた時点のホリエモンについて評しています。
頁291 稼ぐが勝ち*16
松原 目のつけ所は悪くないんですよ。ライブドアはリンドウズという新しいOS(基本ソフト)を開発していますが、ウィンドウズというOSのライセンス料が高いことが、パソコン価格を押し上げているのに注目したわけでしょう。もし安いOSが登場すればパソコン本体の価格も安くなるし、マイクロソフトの独占を食い止めるというIT企業の目下の課題もクリアできる。
それが当時IT企業の喫緊の課題だったのかww
B−TRON、北朝鮮の、リナックスベースといわれる独自OS。
選挙に出て、捕まって、長野県の刑務所に入って、そして。
これがすべての起因だとしたら、イルミナティとか猶太シンジケートですかね。
知りませんが。
頁318 何があっても大丈夫*17
鹿島 実はこの頃日本は、学園紛争の真っただ中だったんです。櫻井さんはハワイにいたおかげで、あの世代の人間としては例外的に、左翼の波をかぶらずにすんだ。一方で、もしアメリカ本土に留学していたとしたら、ベトナム戦争を巡る反戦運動に巻き込まれていたでしょうね。長岡という日本の辺境から、ハワイというアメリカの辺境に行ったことは、彼女のキャリアにとって非常に大きい。
辺境、マージナルという言葉をニュートラルに使っているのか、
ちがうのか知りませんが、ハワイではラオバンの娘として、
毎夜六百人の宴会が出来るような日本料理屋で、
現地従業員を使いまわしながら差配して、午前はハワイ大学に通ってたとか。
なるほどと思いました。
三人は、酒が入って鼎談してるのに、よほど編集者がスクェアだったのか、
馴れ合い的なざれごと発言がほとんど活字になってなかったです。
頁328 赤い長靴*18
松原 そもそも、男がいかにリテラシーがないか、というのがこの小説のテーマですから。我々も、さっきから言葉を濁していますけどね……。
鹿島 うーむ、この三人で語るのは無理だったか……。
福田 そんなことないですよ……(一同、溜め息)。
こういう書評以外の、リラックスムードの会話が出て来たところで連載終了。
竹を割ったように終わります。
福田先生とボーツー先生の本をこれから読もうとする、その肩慣らしの本でしたが、
たぶんだいぶ雰囲気が違うと思います。
ボーツー福田対談は、アマゾンでもヨッパライのタワゴトとして、
ケチョンケチョンですもん。
- 作者: 坪内祐三,福田和也
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
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以上
(2015/7/6)
*1: キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
*2: 移民と現代フランス―フランスは「住めば都」か (集英社新書)
*3:
*4: シェフ、板長を斬る 悪口雑言集―東京のレストラン、料理店の評価
*5:
*6:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E5%89%9B
*7:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%AC
*8:http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/diet/1286882383/
*9:http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20150312/1426169624
*10:http://natalie.mu/comic/news/145314
*11:
*12:映画プロデューサーのひと https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E7%94%B0%E8%8C%82
*13:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BC
*14:
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*17:
*18: