『酔っぱらい読本・壱 -A BOOZE BOOK 1-』読了

酔っぱらい読本〈1〉 (1978年)

酔っぱらい読本〈1〉 (1978年)

講談社文芸文庫のよりぬきは2冊読んでいて、3冊目をリクエストしたのですが、
手違いか、忘れ去られてるので、原本を読み始めた次第です。

『酔っぱらい読本』(講談社文芸文庫)読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140524/1400886624
『続・酔っぱらい読本』 (講談社文芸文庫)読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140530/1401428920
三冊目
 ↓

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「里見とん」かわいい、と思いました。

編者吉行淳之介あとがきによると、もともと講談社の編集者徳島高義さんが、
"The Booze Book"なる洋書アンソロジーの邦訳刊行を目論み、
版権問題が煩雑で頓挫しかけた時、吉行が、バラしてべっこの選集を編んでしまへ、
とけしかけ、後は徳島さんがどんどん作品を集めてしまった、ということです。
だから吉行は、当初のアイデア提供と名義貸し。
「壱」刊行前に既に、「弐」が準備完了だったそうで、結局「漆」まで刊行。

徳島高義 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%B3%B6%E9%AB%98%E7%BE%A9

酒のアンソロジーは、ほかにも作品社の日本の名随筆*1に「酒」*2「肴」*3「酔」*4「酒場」*5
洋酒天国、世界の名酒事典のエッセー集*6鎌倉書房もあった気がします。
最近パルコ出版もアンソロジーを出しました*7
だから、よい短編は重複収録されていて、既読感がありありとあって、
それでも読んでしまいます。第一巻だから、文芸文庫再録率も高いのかなあ。
下記目次を打ちこみます。
作品により、作者紹介文を書いた人の名前を書いてあるものとないものがあり、
だいたい書いてあるのは翻訳ですが、それも書いておきます。

<目次>
もしもグラント将軍がアポマトックスで酔っぱらっていたとしたら、南北戦争はどう終わったか?
ジェイムズ・サーバー(James Thurber) 沼澤洽治訳・作者紹介文
朝酒/ハムレット異聞/バーへゆく時間
丸谷才一
酔いどれとしらふの悪魔の会話
アントン・チェーホフ(Антон Павлович Чехов/ Anton Pavlovich Chekhov) 池田健太郎訳・作者紹介文
春野菜と竹筒の酒/酒少々の私のたのしみ
佐多稲子
酒品
大岡昇平
じいさん酒のんで(詩)
阪田寛夫
シャトー・ラフィット事件
○レナード・S・バーンスタイン(Leonard Bernstein) 常盤新平訳・作者紹介文
「泡はビールなりや」事件
坂口謹一郎
おからでシャムパン
内田百輭
酒と戦後派
埴谷雄高
酒のいろいろ(詩五篇)
堀口大學
緑の物怪
ジェラール・ド・ネルヴァル(Gérard de Nerval) 渡辺一夫訳 紹介文は未記名
酒ぎらい
太宰治
アメリカの酒とビール
阿川弘之
飲む場所
○吉田ケニチ
酒菜のうた
草野心平
替り目(古典落語
古今亭志ん生(五代目)結城昌治作者紹介文
星占いからみた酒の飲み方―占酔学入門
○フィリップ・アリンガム(Philip Allingham?) 中田耕治訳・作者紹介文
或る主治医の記録
大岡信
帰園田居(詩六篇)
陶淵明 青木正児訳 作者紹介文は「編集部」の記名
二日酔い
○キングスレー・エイミス(Kingsley Amis) 吉行淳之介・林節雄訳 作者紹介文は後者

大岡信のは若山牧水臨終時の医師臨床記録。
星占い、天秤座は二日酔いから一日が始まるとか。
頁128、ケニチ先生、
 併しそれよりも何となし酒の海に浮んでいるような感じがするのが冬の炉端で火に見入っているのと同じでいつまでもそうしていたい気持を起させる。
もっと写していたいですが時間がない。名調子。
でも、いつまでもそうしていることは出来ないんですよね、人生。以上