『思川おもいかわ 山谷に生きる女たち』読了

 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000038-I000228492-00

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現在明石書店から再版されているようですが、読んだのは筑摩書房のハードカバー。装画 石川昊子

プロローグ、エピローグ、あとがきあり。

 戸田郁子『ソウル・サランヘ』か『ふだん着のソウル案内』のどっちかで、一時帰国中に読んで考えさせられた本として紹介されてた本。

宮下忠子 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E4%B8%8B%E5%BF%A0%E5%AD%90

キョムサンドのデジョンテジョン生まれ。昭和十七年五歳で家族ぐるみ早期帰国(未来予知?)高校まで九州相良で育つ。就職結婚、三十七歳で専門学校生として城北福祉センターで研修、その後医療相談員として正式に働く中で、出会って来た女性たちを綴った本。

 頁262に、山谷は売春の終着駅ということばがあるとおりだそうで、作者は郷里熊本で見聞きしていた“ぐうらしか女たち”を思い出しています。吉原に隣接し、赤線地帯消滅、昭和三十八年ごろは、買い物かごをさげた普段着姿、エプロン姿の「一見主婦のような」売春婦たちがたくさんいたとか。

作者が山谷の本を書くのはこれが初めてではないそうですが、政治的社会的な問題が堆積した街なので、書くたびにつかれるような反響があるそうです。社会的は分かりますが、政治的問題というのは、なんだろう。

頁252、モガキ(窃盗集団)

頁71、川崎遊郭の供養碑がある宗三寺。碑文には川崎貸座敷組合と刻まれているとか。

頁137、山谷俳句会発足前に、福祉センターが年二回発行する雑誌「なかま」に投稿される季語のない俳句。軒下に夫とアオカン雨の夜

この本は、賭博や覚醒剤を語りません。後者は一ヶ所だけ出るかな。貧者のドラッグのことばどおり、酒ばっかです。アル中。酔って借家に火をつけてその中に飛び込もうとする(頁201)とか、そんなのばっか。

頁172等、恥ずかしい話ですが、私はこの本で初めて、もしくは忘れていて再度、MAC、マックと呼ばれる施設が、ながく書くと「メリノール・アルコール・センター」であることを知りました。スティージョブズマクドナルドとは無関係であることは知ってましたが、それ以上考えてこなかった。本書はミーティングを「ミィーティング」と書くクセがあります。福祉施設職員として、中間施設を知り、自助グループを知る。

また人と話してみますが、けっこうみんなこの人、もしくはこの本知ってるのかな。そんな気がします。以上