ドキュメンタリー映画「ソニータ」(原題:SONITA)(ダリ語:سونیتا)劇場鑑賞

公式 http://unitedpeople.jp/sonita/

さいしょとさいごのエニグマが耳に残ってしまうのがこの動画の難点。

虹彩をいじるCGも手に入れたヒロイン、と云うひねくれた私。
テヘランの難民支援学校の先生と監督を見るに、確かに主人公は、
人との出会いに恵まれたと思います。但しそれを活かしたのは彼女自身。

本厚木アミュー映画com.シネマで三週も連続して上映してるとは、
知りませんでした。なぜそんなに力を入れたかったのか。
けれど厚木は、昭和音大がむかしあったからか、
音楽映画をよく掛けてるイメージがあります。三週もやるとは知らず、
いつ見れるか不安でしたので、昨夜、用事を中途で切り上げ退出して、
夜の回観ました。その後十時過ぎ、沢山お客のいるステーキ屋を眺め、

相模大橋をさーっと走って(旧もぐり橋は通らず)、


相模大橋のたもとのモスクをひさびさに眺め、

アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはその使徒である。

この文句をグーグルでアラビア語に変換すると、壁面よりかなり短いです。なぞ。
لا إله إلا الله ، ومحمد رسوله. ←Googleアラビア語訳。


インベーダーゲームの会社やNHK大道具倉庫の脇を通って、帰宅しました。
ひさびさに仕事以外で、夜の空気吸いました。

ソニータ・アリザデ Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B6%E3%83%87
ロクサレ・ガエム・マガミ Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Rokhsareh_Ghaemmaghami
上のWikipediaソニータで、ペルシャ語表記姓名の前後どちらがソニータか分からず、
アリザデがForvoで発音見つかったので、もうひとつがソニータと判断しました。

علیزاده の発音 ペルシア語 Forvo
https://ja.forvo.com/word/%D8%B9%D9%84%DB%8C%D8%B2%D8%A7%D8%AF%D9%87/#fa

見てしまうとおもしろいのですが、見る前にアタマで考える部分、
色眼鏡をどう処理するかがまず課題と思います。
私の場合、ラップにまず偏見があり、深夜番組で、互いにディスりあって、
ウマいことスラスラ言える奴のほうが勝ち、みたいののイメージから、
どうすればペルシャ語で回教文化の女性地位についてプロテストする、
ツールとしてのラップソングまで繫げられるのかが、事前にはさっぱりでした。
見てしまえば、にんげんがいっしょうけんめいとりくんでることですから、
共感というか、感動しないわけがないわけで、でも観るまでがね。

ベルマーレの試合でちょくちょく見た湘南之風のHAN-KUNも、
場を盛り上げるの毎回頑張ってると思ってましたが、今検索して、
この人はラッパーでなくレゲエだと知りました。私はそんな階層。

あと、下記のポスターは本人の発案の動画メイクが元なのですが、これが、
とっつき悪さをかもしてるといえばかもしてるかな、と。ちょっとコワイ。

沈黙のかわりに私は叫ぶ。

動画で出てくる
殴られメイク*1
も本人のアイデア
十代のアイデア
といえば
納得しますが、
それを情宣の前面に
出さなくてもという。
お肌のにきびは
思春期だか
らでしょう。
髪形が、後ろで
まとめて絶えず
チャドルなので、
盛り上がった後頭部が
エイミーワインハウス
を連想させました。
テヘランで家賃未納
云々で立ち退き
追い立て喰らってる
アパートの自室に、
ホントにジャスティ
・ビーバーの
ポスターがあって、
持参金問題で、
ホントに男兄弟が
ポスター破り捨てて
行きました。
(その場面は流石に
 撮れてない)
最近読んだスウェーデン推理小説の、
クルド人難民少女の部屋とおんなし。

2018-02-24『呼び出された男 スウェーデン・ミステリ傑作集』
(ハヤカワ・ミステリ(ポケミス) 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20180224/1519471907
「瞳の奥にひそむもの」ダグ・エールルンド 吉野弘人訳
"Något i hans blick" by Dag Öhrlund が、それです。
ソニータインド亜大陸の、持参金結納を巡る少女婚の話ですが、
推理小説はその先の、親の決めた結婚相手に処女で嫁がないから、
殺す中東「名誉殺人」の話。

で、途中寝てた個所で、ソニータへ、兄の結納金捻出のため嫁に行って、
結納金ゲットしろー、的な圧力がかかって映画がオジャンの危機があり、
途中から映り始める監督(女性)が、2,000ドル出して、嫁入り阻止します。
集音マイク持ちが監督にやめろと忠告する場面を、カメラがパンして撮ってて最高。
これがこの映画の最大のブレイクスルーと思いました。ネタバレではないと、
思ったので書きます。パンフでシリア難民について書きまくってる人も、
ここが悩みどころ、参与観察、どこまで関わるか、うーんと書いてます。
原一男もパンフにコメント寄せてますがここに関しては書いてません。
ソニータをハグしたいと書いてます。シケベ、あなたエチね)
パンフに、インタビュアーが明記されないインタビューがあり、
監督を突き動かしたものがなにか、分かります。

パンフ Interview with the Director ロクサレ・ガエム・マガミ監督インタビュー
彼女には夢を見る権利がある
―― 一般にドキュメンタリー映画監督は、常に客観的であるべきで、取材対象の人生に介入すべきではないと考えていますか?

介入してもしなくても、そのことを隠さず見せなければならないと思います。嘘をつかず、真実に忠実であることが重要です。誰かを助け、容易に物事を変えられるタイミングがある場合、行動に出るべきだと私は考えます。ソニータのケースでは、ソニータと共にアフガニスタンに戻り、強制結婚を撮影することもできましたが、そうやってソニータを置き去りにすることはできませんでした。彼女のようには助けられないケースもあります。以前、精神分裂症の薬物中毒者を追っていましたが、彼を助けることはできませんでした。

過去に悔やまれるケースがあって、それで、もう同じ過ちは繰り返したくない、
そうした思いが監督の背中を押したのだと分かりました。
埋め合わせという行為と呼べるかは分かりませんが… 私も中国人の“朋友”から、
金子を借用したいと申し入れされることがあり、そういう日本人は沢山いて、
まー結婚式の費用とかくらいならと、さらっと貸す人がいて、彼を見て、
子育て同様、インテリは考えすぎるからダメで、あっけらかんとやったほうが、
うまくいくことも多いんだろなと思いました。

なんちゅうか、これが嚆矢となって、毒を喰らわば皿までで、
例の青タン幼な妻PV*2制作に全面協力、メイクから編集から英語字幕から、
(監督は英語堪能で通訳がこなせるレベル)
つべにうpして動画をコンテストに応募して(賞を獲る)
アメリカの、才能のある世界の子を支援したがる物好きからオファーがあると、
スカイプであいだをとりもって、最終的にはコロラドまで行かせます。いや、ユタかな。
ソルトレークシティでないから末日教会とは別だなと思ったのは覚えてますが…
ソニータは出生時の届け出がちゃんとされてないので、難民に加え無戸籍無国籍。
故郷のアフガニスタンヘラートで代書屋に出生証明申請とか書かせて、
首都カブールでパスポートとヴィザ取る作業はソニータ自身が行いますが、
門衛が完全武装して警戒厳重、なので安全なホテルの宿泊代などは、
監督の援助のように思いました。高そうなホテルです。もう突っ走る突っ走る。
最初のほうの、距離を置いてたころは、ソニータと彼氏が、りゅうちぇるとぺこみたく、
自作ラップを売り込みに行ったり、CD作りたいとプロデューサー訪れて、
からかい半分ボッタ半分で一日千ドルとふっかけられてすごすご退散、
みたいな場面を乾いた感じで撮ってるのですが、後半は完全な伴走者。
(りゅうちぇるとぺこはぺこが金持ちですがソニータらは両方在イランアフガーニー)
参与観察というと、下記みたいな映画も見て、北京語なのに特殊な方言と言って、
字幕つけないのはいかがなものかという点以外、それぞれどっちのやりかたもあり、
と思ってますが、それにしてもソニータの監督は思い切ったものです。

2016-06-29『牡蠣工場』(英名:OYSTER FACTORY)劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160629/1467180138

映画の中で、イランは女性の歌唱を法で認めていないとあり、
ほんとかどうか知りませんが(本当でしょう多分)これは回教の規則かというと、
隣国パキスタン回教共和国はインド亜大陸の気風が強いですから、
酒と大肉はNGですが女性歌手はたくさんいたはずで、イスラム云々の理由で、
女性歌手を認めないわけじゃないんじゃいかと思いました。
こはちょっと、監督がマスクした気もします。アメリカ行きに繋げたいから。
パキスタンに行く、という路線だと、小生意気なソニータへの風当たりも、
パキスタンは米国の比でなく強く、テロ等の危険も高まるので、
そりゃやっぱアメリカが狙えるならアメリカ行ったほうがいいという判断だと。

秋元康がこの映画観たら、イラン坂46作りたくなるだろうと思いましたが、
(それくらいかわいい子やきれいな子がたくさん出る、全員チャドルで)
イランは女性の歌謡活動が認められていないということなので、断念だろう、
たとえおkでも、ペルシャ語の歌詞書けないからうまみないだろうと考えます。
その伝で行くと、上海やインドネシアのナントカ48の歌の歌詞は、
秋元康がどのように絡んでどのようにオカネが入るのかと思いました。

イランにアフガン人が多いことは、下のよしもと芸人のイラン人の本で読んで、
イラク難民も併せて、イランは難民世界一、と書いてありました。
本来比較出来ませんが、イランのアフガン人を、あえて日本に置換するなら、
玄界灘を乗り越えた大村の「みっちゃん」みたいな感じ*3…如何。
ソニータのお姉さん(子持ち)が、いっつも水キセルぶくぶく.。o○やってて、
働いてる場面がないのは、観客に与える印象としてマイナスな気瓦斯。

テヘランは相変わらず大都会で、片側三車線のハイウェイの右横に写る塔は、
なんだろうと思いました。下記かな。でもかたちがちがうかな。

ボルジェ・ミーラード Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89
カブール、今まで見た写真で、平地だと思ってたのですが、
小諸を千曲川が流れてるみたいにまん中に川が流れてて、
その両脇の斜面にへばりつくように段々に建物が作られてて、
ちょっと中央チベットのギャンツェに似てると思いました。
こんなとこで高野秀行は、
中国人のオネーチャンの店まで行って飲酒したのか。

パンフ Interview with the Director ロクサレ・ガエム・マガミ監督インタビュー
彼女には夢を見る権利がある
―― あなたはソニータの人生を完全に変えました。あなた自身も映画制作を通じて人生が変わった点はありますか?

はい。本作で初めて誰かの人生を変える経験をしたのですが、私自身も変わりました。こんなに長期にわたって誰かの人生をサポートしたことはなかったので、子を授かったような気持ちでした。また、夢の力のすごさを知ることになりました。ソニータの夢は最初、非現実的で不可能と思えましたが、彼女には夢を見る権利があるのです。このことは、私の人生に対する態度を変えました。

まあ、誰かが誰かを変えることが出来るなんてのは思い上がりで、
ソニータは勝手に変わったのであって、監督はただ、そのお膳立て、
お手伝いをしたに過ぎない、と思います。監督のことではなくて、
私自身が、日々、そう自分を戒めているだけの話ですが。

<私が見た映画と読んだ本で、イランとパキに関連したもの>
2017-10-03「セールスマン」(英語タイトル:The Salesman)
(原題:فروشنده  ←フルーシャンデ "Forušande"と読むようです)劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20171003/1507027206
イラン映画。厚木で鑑賞。
2017-06-01「娘よ」(原題:دختر / DUKHTAR)(English: Daughter)劇場鑑賞
パキスタン映画。黄金町で鑑賞。
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170601/1496317434
2017-02-06ドキュメンタリー『ソング・オブ・ラホール』(原題:Song of Lahore)劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170206/1486381236
パキスタンに関する映画。厚木鑑賞。
2015-12-16『独裁者と小さな孫』(原題:The President)劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20151216/1450278345
⇒イラン人監督がジョージアで撮影。演者もジョージア人。武蔵野館かな。
2012-10-12ドキュメンタリー『イラン式料理本』劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20121012/1350044099
イラン映画岩波ホール

2014-07-29『シルクロードの謎の民―パターン民族誌』(刀水歴史全書 6)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140729/1406616918
パシュトゥーン人についての本。
2017-11-01『「個人主義」大国イラン: 群れない社会の社交的なひとびと』 (平凡社新書) 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20171101/1509483766
⇒義烏がなぜ成長したか分かる個所も素敵です。
2017-12-13『イラン人は面白すぎる! 』(光文社新書) 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20171213/1513167912
⇒よしもと芸人のイラン人の書いた本。実は面白い。


以上