町田市民文学館ことばらんど「世界の果てで生き延びろ ―芥川賞作家・八木義德 YOSHINORI YAGI 展―」踏破

なんとなくリウグワンフ"刘广福"は読んでいたので、観に行きました。

八木義徳 - Wikipedia

世界の果てで生き延びろ―芥川賞作家・八木義徳展―2019年1月19日(土曜日)から3月17日(日曜日)/町田市ホームページ

山崎団地で余生を過ごされた縁で、町田のことばらんどで企画展、しかも二度目とのことですが、展示タイトルからも分かるように、あるメッセージがまずあって、そのメッセージに向かって八木義徳の人生を当てはめて展示パネルを作っていった、ある種監修者のパフォーマンス芸術的なもよおしです。ボーツー先生の常盤新平展や'90年代以降の町田在住漫画家展?もそうでしたが、今回のは出来栄えが鮮やかなだけに、いっそうその感を強くしました。

要するに各章、それぞれ「〇〇でも生き延びろ」というタイトルになっていて、そのテーマにそってパネルに彼の人生を貼り付けていった、ということです。きちんとメモするのを失念したのですが、生い立ちと父との相克でまず「〇〇でも生き延びろ」(忘れた)、戦前左翼運動に関わるもビビッて逃亡(都内だけかと思いきや大連からハルピンまで逃げて自殺未遂)「恥を抱えて生き延びろ」(たぶんこんな文句)稼ぐために満洲に渡って戦中ホワイトカラーとして働くのですが、妻が外地に馴染めずどんどんこころを病んでゆく。そして召集除隊帰還後、初めて妻子が東京大空襲で焼け死んでいたことを知る。「罪の意識を背負って生き延びろ」(たぶんこんな文句)で、戦後はまなすとか夜汽車とかそういう感じでさまよって、もともと道産子の人ではあるのですが、摩周湖を見てなんか心が洗われて解脱するのですが、その場面で、ドーンと巨大な摩周湖の写真パネルが展示してあるんですね。八木義徳の遺品とか著書とかでなく、摩周湖そのもののパネル。ヤラレタと思いました。お金があればプロジェクションマッピングでやりたかっただろうな。あるいはVR

gendai.ismedia.jp

 監修者は下記の人です。

紅野謙介 - Wikipedia

www.townnews.co.jp

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欲深であさましい凡夫の世界 ―しかし、これこそがつまり「文学」というものの本領なのではないか。 「文学の鬼を志望す」

世界の果てで生き延びろ―芥川賞作家・八木義徳展―2019年1月19日(土曜日)から3月17日(日曜日)/町田市ホームページモバイル

私たちはそれまで見慣れた風景や関係をいっぺんに失ったとき、荒涼とした世界の果てを前にしたように戦慄し、立ち尽くす。襲いかかる数々の苦難、度重なる不幸、抑えようのない怒りと身を苛む自己嫌悪、八木の生涯はその連続であった。生きることに意味はあるのか、生きていていいのか、自問自答のなか八木は文学に救いを求めた。戦前、戦中、戦後の激動の時間を生き抜き、その晩年をここ町田で過ごした最後の文士、八木義徳の文学的闘いを、没後20年目にたどる。とにかく生き延びろ、そこに活路はある。
―展覧会監修者・紅野謙介

1969年から亡くなるまでの30年を町田の地で過ごした作家・八木義徳。八木は自身の経験を通して心の底から湧き上がってくる「肉の声」を作品にすることにこだわり、純文学という芸術に人生をかけた文士でした。北海道室蘭の病院長である父と芸妓をしていた母との婚外子という複雑な生い立ち、学生運動の果ての自殺未遂、出征と妻子の戦災死、スランプ…。本展では、次々と襲いかかる危機を前に悩みながらも目をそらさずに生き抜いた一人の作家の生涯とその「肉の声」を、初公開となる「宿敵」の直筆原稿や当時の日記などでご紹介します。  

 パンフにも上記と同様の文章が書いてありますが、ですますとか語順が多少違います。パンフはアンケートに答えるともらえます。『宿敵』という短編小説がぜんぶ収録されています。

生き延びろ、というメッセージは分かるのですが、高度経済成長の波があったわけだから、選り好みしなければ戦後はじゅうぶん食えたんじゃないですか、実際展示を見てもそんな感じだし、とか、払わなくても年金受給出来た世代ですよね?まあ実際戦地に送られた方なので軍人恩給があるわけで、そんなこと言うのはお門違いですけど、再婚した奥さんとかそうなのでは、とか、余計なやかましいことを言ったらダメかな、と軽く思いました。再婚は前妻を救えなかった罪の意識に対し、再生という物語の鋳型にはめることが出来なかったのか、さらりと流しています。摩周湖の後の再婚です。

北海道にいつか行って白老見てみたいのですが、摩周湖も追加しておきます。白老自体アイヌナントカが出来るそうなので、賑わって、なんか予想と違くなりそうな気はしています。境港のゲゲゲのナントカみたいな感じになるのかな。以上