装丁:竹内亮輔(crazy force) 累計80万部突破だそうで。イブニング2019年9号、11号~15号、17号、18号、20号掲載
安定の、携帯もネットもない時代の高校生漫画。でももう制服はかなりバリエーションに富んでいて(ベビーブーマーに対応して乱立した高校が、差異化により生徒集めに走ったため)頁137で、もうチェックのスカートのブレザーとか登場してるご時世なのですが(でも丈は当たり前ですが長い)頁141のセーラー服とか、所謂「ダサい」もっさい冬服セーラーを背筋を伸ばしてビッと着こなしてるのが、よい時代だったなと。この漫画読んでるのは、そういう人たちメインではないかと。試合のコマ運びの、安定した筆さばき。頁124、立ち姿の後ろ姿で〆る抑えた演出。頁38で、ゾーンに入ったかのように額のチャクラだかなんかが光ったかと思うと次ページでもうそれを作者がテレてブチ壊す。「常識」を大切にする姿勢。市井。
このマンガは原作者の実話をもとにしているわけですが、この巻、登場人物たちは当時流行っていたマンガ『柔道衣物語』小ん林まこと(ヤンキーマガジン連載)を回し読みします。で、ヒロインが鷲尾そっくり、女鷲尾と言われ、カバー折にも「あたしのどこが鷲尾なのさっ!!」と頁154のセリフが明記されてるくらいたぶん本当に実話なんだなというエピソードが挟まれ、そんなに鷲尾鷲尾とこうやって文章で書いても忘れてる人は忘れてるでしょうし、私もカバー折を見た時点ではピンと来ていませんでしたが、頁152にあのセリフ「大船に乗った気持ちでいろ!!俺がおめえらを武道館へつれてってやるぜ!!」のコマが使われていて(「おめえがいちばん心配なんだよ…」と返されてたと思うのですが、合ってるかな。卒業後自動車販売会社に就職する次鋒がそうつぶやくはず)それで、原作:恵本裕子がモデルと言われるヒロインが女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾バカだ女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾女鷲尾。実話なんでしょうね。実話としか思えない。実話であってほしい。前巻の帯に山口香が出ていたのですが、それらをふっとばすインパクト、原作者は女鷲尾。
検索で出たピクシブ百科事典の鷲尾のイラストは、失礼ながらあんまり似てません。
今週のお題「好きな漫画」入れ込んでるわけでなく、要するに安心して読める漫画ということです。何も奇をてらわない。
この巻の帯は、実在する往年の名選手の談話はないのですが、そのかわり、本漫画における「女子柔道界のビッグスリー」(頁176)「教えておくけどな 柔道界には3人悪い女がいるんだ」(まんがでは越乃忠則の名で登場する人の台詞)のコマが使われていて、「皇后杯初代女王九戸かおり」が右、左が「ソウル五輪銅メダル持丸晃菜」真ん中が「全日本体重別3連覇神鳥忍」背景は横に走るスピード線。
https://www.jcss.gr.jp/meetings/JCSS2012/proceedings/pdf/JCSS2012_P3-14.pdf
上にも書いたように実話ベースの漫画ですが、神取って同時代だったのかと改めて思い(ちがうかな)、帯、出て欲しかったけど、だめだったのかなと思いました。
北海道の田舎侍から日本を代表する柔道家へと大きく羽ばたいた大学時代について越野は、
越野選手のウィキペディア記事を書いた人も相当だと思いました。
http://全日本選抜柔道体重別選手権優勝者-女子軽中量級
Template:全日本選抜柔道体重別選手権優勝者-女子中量級 - Wikipedia
それで調子に乗って、今まで誰が誰だか知らないし別にいいやと思ってたのが、べらべら検索したのが上記。でもけっこうすぐ忘れると思います。勝利の塩も知らない。女鷲尾。以上
【後報】
この巻のさいごは、主人公は早朝ランニングが苦手で、何度も柔道をやめようと思ったくらい嫌だったというエピソードで終わります。寿司漫画『音やん』も、何度も寿司職人をやめようと思ったくらい早朝の河岸への買い出しが嫌だったというくだりがあったなと思いました。早朝ランニングは今でもありますが、毎朝早朝河岸に行って直接目利きすることなんか、もうあまりないだろうと思います。築地だ豊洲だ黒門だ、ぬきに。
(同日)