折角厚木で三週弱も上映してくれたので、見ようかと思いました。あと、職場で「翳りゆく部屋」をくちづさんでると「荒井由実ですか」と、一人だけ気づく人がいるのですが、その人がアニメ好きらしく、これも見たそうなので(ただ、ほかのみなと同じく、「君の名は。」は好きだったんですけど…これは…という感想だそうです)それで。
上のポスターは、立体視出来ません。どのみち私は乱視なので出来ませんが。
ジョジョ第六部のウェザーステーションが出るわけではないのですが、まず、見終わって、事前に監督や批評家たちがこぞって、この映画の結末には賛否両論あるだろうと思わせぶりなこと言ってたのが、ウソじゃんと思いました。どんな中二病だよこんなんで議論するなんてと。百歩譲って監督はそれを信じてたのかもしれませんが、批評家や文化欄の記者たちは、ニヤニヤ笑いながらホメ殺しの同調してたと思います。
自分が生きるために世界が大変な損害を受けるのなら、自分はそこまでして生きるに値しないのではないかという命題を、真剣に考えるシチュエーションって、そんなありますか?
そういうふうに考えるよう仕向けられてしまうこと、バイアスを受ける情況なら、まま思いつく気もします。監督が、例として、原発避難者が、避難先から、そもそも賛成してたんでしょとか心無いこと言われることがもしあったら、そういう状況を例として挙げてインタビューに答えるなどしたら、スパっと議論オワリになったと思います。が、よく考えると、原発避難と、それまでの原発依存をコミで考えるほうがおかしいわけです。関係ない。
だから別に、世界がああなっても、しかたないことだしで、自らの後ろ暗い行為にフタして、黙って緘口令敷いて生きてゆくってことは、世の中にいくらでもあると思うので、賛否両論とか、ちゃんちゃらおかしいです。武漢から帰国した邦人の検査拒否を国会で与党議員が質問し、総理が答弁するくらいよくある出来事。でも、この映画は、「自分が」生きてゆくのでなく、「あなたに」生きていてほしい、ですね。自分のことなら考えるまでもないことですが、他者に関しては、どうか。「余計なことしないでよ」とか、「誰があんたにそんなこと頼んだ?」と、当人から反論されたりしないんですかね。ヒロインの感情はいずこに。
だいたい私の見て来たような昭和のアニメだと、そんなひとりよがりな相手にビンタくらわして、「バカッ、この分からず屋めっ!」とか言うと、「ごめなしゃーい」とかになる気がしますが、それもおかしいかな。ヒロインの造型に、苦しんだでしょうけれど、成功したとは言い難い気がします。JKビジネスがこんなに盛んな昨今、マクドのバイトから、いきなりスカウトの口車でかなり危ないレベルのフーゾクにいきなり行くかなあ、とか、田端でありながら中央線沿線青春群像みたいな貧乏かつミニマリストというかささやかな生活の潤い、飾りに熱心な若い女の子って、なんなんだよと。知り合いのアニメーターにモデルがいたのではないだろうか、とか。
そう、「君の名は。」の東京在住者は裕福ですが、本作の東京在住者は、ビンボーです。カフェだかリストランテだかナントカダイニングでバイトして、思いついたらすぐ岐阜まで新幹線で行ける高校生ではない。小栗旬も、よくナンバー見ませんでしたが、あの軽は、レンタカーもしくはカーシェアリングではないでしょうか。車の維持費までねん出出来てるような生活には見えませんでした。
小栗旬なのに、アニメアニメしたセリフのアニメアニメな喋りがピタッとはまっていて、プロだなと思いました。本作は、「少年」と呼びかけたりとか、自問自答のひとりごととか、とにかくセリフがアニメっぽいです。それについていけないのが本田翼で、本質的にこういうセリフ回しが言えないんだと思います。考えてしまうのでしょう。前作の長澤まさみと、だいぶ開いてしまった。前作はそんなにアニメアニメな台詞が気にならなかったのですが、本作は結構気になりました。本編上映前に「この世界の売春廃止前に」予告が流れていて、のんねんれいなの板についたべしゃりが聞こえて、それが残ってるうちに本田翼なので、本田翼残念閔子騫でした。
アニメアニメで思ったのが、聖地巡礼で無茶する奴が出たとしても、それでも、実写ロケだったらとても出来ないような場所でキャラを動かせることが、アニメの利点のひとつであるので、それをゾんぶんにアピールしたと考えます。イノベーション。CGであれロケであれ、歌舞伎町で実写で同じ絵を撮ったら、いくらかかるか分かりません。撮れないかもしれない。でもアニメなら作れる。
ので、線路走るわ、区役所通りは流石に出なくても、歌舞伎町バンバン使うわ、勝手にさらせという感じでした。バーニラ、バニラバーニラ、バニラバーニラバニラで高収入(厚木でも、旭町なんかに宣伝カーが走ってたことがあって笑いました)でも、代々木は、ショーケンへのオマージュ以外、理由が出て来ない。なにもあんな有名なビル使わなくてもと思います。ここはいっちょう、ハウルのようなフィクションの城にすべきでした。フィクションなら、造型センス見せられるのに、残念閔子騫。
代々木を出したいから歌舞伎町なんでしょうか。渋谷でも上野でも池袋でもよかった気がするんですが、代々木に近いということで歌舞伎町なのか。ピストル竹原もなんというか、たけしへのオマージュという解釈で、くさいものにフタ。田端に住んでて新宿のマクドでバイトとか、ないと思う。
この映画も、なんにもないのに泣いてしまう、情緒がアレな人が出ます。世界はもうそういう人ばっかしなのかも知れない。
少年の家族が最後まで出ないのは、どうかと思う。さくっと出せばいいのに。出しても話は拡散しませんよ。でないと、キャッチャーインザライの原書持って家出する意味とか、中途半端なままと思う。リーゼントの髪形はおかしい。これもアニメアニメ。コンビの老刑事は柄本明の声かと思いましたが、違った。
15号19号というメモをとってるのですが、今読んで意味が分かりません。
スタッフ名に一部簡体字があるので、大陸チームがあることが分かりますが、その辺ポリシーは分かりません。ぜんぶ日本漢字に直せばいいのに。
あと、私の周辺では、「初盆(はつぼん)」とは言わず、「新盆(にいぼん)」と言います。以上