これもビッグコミックオリジナルの『前科者』に出て来る本。ファミレス開催の女子会で、相手に見せる本。相手が持ってきた本は長嶋祐成という魚譜画家の絵本『きりみ』
アマゾンのkindle版画像は帯付き。まんがを読んだ時は特になんも思いませんでしたが、キャディーのアルバイトで生計を立てている身よりのない女性が、自分の趣味でもないのに、本体2,200JPYもする新刊をぽんと相手に手渡すだろか。しかも帯なし。相手が渡す河出の絵本は、2018年出版ですので、古書店で五百円くらいで入手してるかもしれません。
中味はマニアックな電柱の各部詳細図解や、さまざまなタイプの電柱画像で埋め尽くされています。下記、アマゾンの宣材にも使われてる画像の、海に向かう電柱の行進は、その趣味のない私でも気になりました。モンゴルやチベットで、草原の中をのびる、コールタールを塗られた木製電柱の列を思い出します。頁132には木更津のホテル三日月先の同様の電柱が紹介されていますが、そちらは本書刊行時点では既に撤去されているとか。
また、さらに、宮沢賢治の、『月夜のでんしん柱」を思い出しました。
宮沢賢治「月夜のでんしんばしら」とシベリア出兵 岩手県立大学総合政策学部
http://file:///C:/Users/10438196/Downloads/KJ00008529799.pdf
本書の作者もこういう人になりたいのだろう。本書は、画像を勝手に使われてアフィ目当ての盗作サイトを作られたらかなんとの思いからか、複写複製の許諾に関して口酸っぱく注意喚起してますので、味のあるコンピュータ作画の中表紙や、椋尾詩(ムクオウタ写真事務所)という人が撮った、作者自宅の畳二室を占拠した、五百本にも上る紙製電柱模型の写真などを、ここにも置きたいのですが、出来るかどうか、使用許諾の伺いをたててみます。図書館に複写申し込みして了としてしまうと、作者の青年に仁義を欠く気がします。
こういう世界は、タモリクラブで碍子の話なんか見た気がしますが、作者はマツコの知らない世界に出たそうで、そのまとめサイトなどにばんばんキャプチャーで抜かれた画像が使われています。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏(念仏の鉄・談)上記自宅の部屋を占拠した自作電柱模型に囲まれてにやにやしてる作者の画像もグーグルの画像検索では見つかるのですが、そのサイトは、作者から申し立てをくらったのか、当該画像消してます。お母さんかヨメか知りませんが、否、保護者かツレか知りませんが、よく二部屋もそんなことに使うのを許すものだ。とは思わず、キレイな畳部屋ですので、貸家でこういうことやってるオッサンや、子供部屋おじさんが実家に貯め込んだガラクタ私蔵品部屋にくらべると、まだまだ前途洋洋、未来は果てなく年金払ってる? って感じです。大人になったジャイアンが乗り込んできてすべて蹴散らして叩き壊したらどうなるだろうかと思わないでもない。血をみるだろうか。
カバーデザイン:アーク印刷 表紙のカバー写真は作者、裏は上記 校正:山田陽子 巻末に参考一覧
私は、日本碍子と、ごまめの弟さんが社長やってるベルマーレのスポンサーのひとつ、日本端子をよくごっちゃにします。本書は、電柱の各部やその目的について、いちマニアの手の届く範囲で詳しく記載してるのですが、そも電柱とは、誰がなんの目的で、誰の土地に建てているのか、というアウトラインが、実は抜けてる気がします。頁142によると、電柱には、電力会社が管理してるものと、通信会社が管理してるものそれぞれにネームプレートがつけられていて、一本に両方ついてるものもあるとのことですが、じゃあそれ以外もあるのか、教えてよ、地上の星を。
所謂電柱とは、昭和の時代には、電線と、電話線を通すもの、と認識されていて、そのふたつを通すもので、だいたいは一本の電柱に両方の線が通っているのですが、なかには電話線だけを先に通したため、丈の低い別の電柱と太いコンクリの電柱が二本そばに立っているような例もあったものです。で、下記のような例もあった。
ケーブル敷設に伴う問題
創業者で現USEN会長の宇野康秀の父・宇野元忠(中国名:于元忠)は、大阪有線通信社(USEN)の事業拡大において、電柱の無断使用を行ったことで知られる。本来、電柱およびこれに添架される電線は空間としての道路を占有しているため、道路法に基づいて道路管理者に対して所定の手続きを踏む必要があるが、無許可であっても一旦設置してしまえば撤去するには膨大な費用がかかるため行政も簡単には撤去できないという隙間を突いたやり方で勢力を拡大。その一方で堂々と放送に関する免許を行政へ申請するという厚顔ぶりから政府の怒りを買うが、現実問題として解決するには宇野側の同意が必要な点や大阪がやるならと無法な工事が全国で発生する有様に「大阪有線」は1970年代の歴代内閣の申し送り事項となった。
現在はケーブルテレビや光ファイバーなど、既設の電柱に増設して配線する線が増えたので、なぜ電柱なのか、電線と電話線だから電柱なんだよ、というそもそも論が見えにくくなっていると思います。また、施行業者も下請けが多くなり、電力会社も電柱管理はグループ会社に切り分けて委託受注、派遣請負などの世界になったため、複雑化して見えにくくなっていると思います。電柱の立っている土地も、頁88や頁118の、ふつうの市街地では市道に立っていて、それが当たり前のように見えますが、頁120の歩道の狭い場所では当たり前のように隣接する民家の私有地の上に立ってますし、頁33のように、本柱は市道、支柱は民家に立っている例もあります。頁16の水田のど真ん中の電柱も私有地の電柱でしょうし、頁17のように、私有地の古い電柱がそのまま写っている写真も、頁136のように、民家の敷地内に、撤去されない廃電柱と新設の電柱がそのまま並んでいる例も載っています。作者は電柱マニアの好青年であって、シロサギや正直不動産の原作者のような海千山千のいかちいおっさんではないので、そっちにつっこんでやけどしたくもないだろうしつっこみたくもないでしょうけれど、こういうことであらぬいいがかりでトラブルに巻き込まれたりする私のような人間からすると(未解決)まったくもってこまったものであります。敷設に責任を負う電力会社が子会社に丸投げしてる状態だと、誰も責任を負おうとせず、わかっていることを名言してもらうだけで一苦労。
そもそも、電力会社って、今いくつあるんでしょうか。
頁122 鉄柱セレクション
昭和初期に、鉄柱が普及したことが一時期あったようですが、現在は、関西電力と東北電力、中国電力、東京電力管内くらいでしか見かけません。
売電の、小田急でIKKOさんが「どんだけ~」とかやってるやつとか、東急パワーサプライとか、エネゴリくんのやつとか、そういう、自前の電柱のないとこは置いといて(基地局のないSIMフリーだけのスマホベンダーも同じようなものでしょうか)
2018年1月16日現在、新規参入の登録会社は450社あるそうです。でもそれではなくて。確か、東北大震災の計画停電の時、その辺調べたことがあり、かんでんと東北電力、中国電力、東電以外に、北海道電力、北陸電力、中部電力、四国電力、九州電力があったはずです。沖縄も九州だったか独立してたかは、忘れました。
電柱もそういう各施設団体との営みのなかで様々な変容を遂げていたであろうわけですし、電柱とスナックとか、電柱と依存症とか、電柱とその陰に立っている売人とか、さまざまな角度からの考察もまた、今後の喫緊ではぜんぜんない課題であると思いますので、慢慢やりよし、というところでいったん了とします。あとで、中扉画像の使用許諾の問い合わせして、返事を後報で追記するか、問い合わせじたいをめんどくさがってしないことを報告するか、どちらかします。
以上
【後報】
自作電柱模型は、赤ちゃんがはいはい始めたら、片付けざるを得なくなると思います。
(2020/12/21)