こういう帯がついてますが、刊行は1996年。9.11よりだいぶ前です。
Chung Kuo (novel series) - Wikipedia
Jacket Illustration by Jim Burns デザイン・坂田政則
神樹というのは、訳者あとがきの付記によると、和名をニワウルシというそうです。
しかし国立環境研究所の侵入生物DBには一応載ってます。
確かこんなタイトルの中国現代小説あったなーと思って調べると、未読ですが、大江健三郎の朋友で、「グロテスクリアリズム」という作風で、天安門で指導的立場にあったので米国に亡命した作家,郑义の、亡命後の作品,《神树》がズバリでした。しかしこれも、チョンクオより後の1996年一月脱稿だそうで("Beneath the Tree of Heaven"原書は1993年刊)じゃーチョンクオが9.11や鄭義の小説に影響を与えたかというと、激しくはてなです。
『古井戸』の原作者としても知られた人。『中国の地の底で』なんてあざとい邦題の本があったり、黄文雄センセイが訳した『食人宴席』があったりして、なんとなく石平太郎ちゃんを連想しますた、否、します。
内容説明
中国山西省の山村で、樹齢数千年の「神樹」が突然開花した。神樹がよみがえらせた親、子、兄弟や八路軍の亡霊たちは、過去を再現し、語りはじめる。抗日村長を斬り殺した日本軍、神樹に守られた八路軍、土地改革で虐殺された地主、国家規模の“大躍進”・製鉄運動のために餓死し、あるいは生き延びた村人、文革時に失脚した村の書記、宗教結社弾圧に巻き込まれ処刑される娘…、神樹は歴史のすべてを見てきたのだ。開花の奇蹟に御利益を求め人々が押し寄せたため、共産党政府は危機感を覚え、迷信を根絶すると称し、神樹伐採に中央から戦車の大部隊を出動させる。神樹を守るため、村人は亡霊の八路軍に加勢し、戦車隊に立ち向うが…。
人民解放軍vs八路軍というメチャクチャなクライマックスは、ちょっと読んでみたい気もしますが、痛快!布マスク新聞社は品切れにしてますし、近隣の図書館に蔵書はありません。放出しちゃったんだろうな。リクエストするか、古書で入手するか、少し考えます。で、私は、下記と混同してる気もします。
あと、鄧小平の息子さんで、文革で紅衛兵から暴行受けて脊髄損傷して車椅子の人の小説かエッセーとも混同してる気がするのですが、こっちは検索でぱっと出ませんでした。探す気がないだけな気もします。
VOA中文版に登場した2016年の鄭義。ヴォイスオブアメリカ、何度聞いてもナイスな響きですが、漢語にすると〈美国之音〉
あと、付記には、あのニーダムと、アラン・ワッツというカウンターカルチャーの人が出ます。
あと、ディックの初期の長篇『いたずらの問題』に出てくる、枯れるリンゴの木、というモチーフからの借用があるそうです。
間違えてペーパーバックのキンドルのほうを上に貼ってしまいました。
あと、王質。
以上