ブックデザイン ツノッチデザイン 月刊コミックビーム 2020年1~6月号連載 読んだのは2021年3月の三刷
阿佐ヶ谷の、零時まで開いてる駅前書店の品揃えを見て、何か買おうと思って買ったマンガ。下高井戸の書店でもこのマンガは推してたんですが、巡り合わせというか。今日小田急線の中で全三巻さくっと読んでまいました。
作者はこれがデビュー作で、ロンドンは短期間しか住んでないそうです。海外ドラマは見てるとはいえ、こうやって、行ったこともない国の人たちをリアルに描ける系譜というのは、この人の好きな作家で出て来る萩尾望都や吉田秋生もそうで、たいしたものだと思います。その国の人が読むと、邦人が"SAYURI"を読むようなもんで、おかしなところがあるのかもしれませんが…
イギリス黒人の刑事がリアルな造型なのは、海外ドラマや映画に負うところが大きいとして、そうなったのは、一定の比率で各人種を登場させねばならない法律の効果だなあ、と思ったのですが、そんな法律が検索で出ませんでした。「多様性」やら「ウォッシング」は出るんですが… 白昼夢なのかなあ。とまれ、この刑事さんの眉毛の描き方は面白いです。
青年の方は、南アジア系と説明セリフで言われても、色が白いので、あまりそういうふうには思いませんでした。どっちかというと、中東系の、エジルみたいなかんじ。冒頭のカラーページでは色がついてますが、白黒になると、アミカケしてないので。バングラディシュとロシアのダブルのローラも、テレビ番組かなんかから拡散した幼少期の動画だと色黒ですが、今のビジュアルはそうでないので、そういう感じなのかもしれません。頁155のおばさんは網かけで、下のコマの台詞は好きです。これで、買ってよかったと思った。
カラムという名前の方がエキゾチックと思ったのですが、スコティッシュのゲール語の名前だそうで、この人の直前のSNSの記録とか、スマホが見当たらなくてもプロバイダー通して調べるんでない、とは思いました。調べないのかな、スコットランドヤードのIT警察は。ここや、写真投函のあたりまでは、組織に狙われてる感がひしひしとあり(尾行は複数いないと出来ないと思いますし)それが匿名通報みたいなケチな手使うかなあというところで以下次巻です。
絵は、デジタル時代の作画で、アミカケを薄墨のように使いこなすなーと思いました。オノ・ナツメに似てるという印象があるので、店員さんにも訊いたのですが、太い線を使いこなすからかもしれませんね、と、言ってくれました。関連検索ワードで出るくらい、みなもオノ・ナツメに似てると思ってるようです。でもコマ割りが全然違うと思いますし、より論理的で、エモーショナルでない線を描くと思います。オノ・ナツメほとんど読んでませんが。
帯。ラッドは若者を意味するイギリス英語の俗語だそうですが、それがロストして、で、ロンドンを前置詞抜きでつなげて、どういう意味になるのさ、が分かりませんでした。ところが、誰も「題名はどういう意味なんですか?」って聞いてない。誰も疑問に思わないのか。というか、私の英語力だけが取り残されてるのか。ロスト・ラッド・ロンドンってどういう意味なんですか? 教えてよ、地上の星を。
帯裏。以上