『ルワンダでタイ料理屋をひらく』"Opening a Thai restaurant in Rwanda" by Karato Chisa 読了

桜ヶ丘の書店で、何か一冊買おうと思って買った本。店主の本買ってサインもらおうかと思ったのですが、カドカワから出てるので、ぜったい図書館本あるだろうと思い(以前検索した時は出ませんでしたが、打ち込みミスしたかと思って)別の本、この本買いました。でも店主の本はやっぱり図書館蔵書ないかったので、次機会があれば買ってサイン貰おうと思ってます(してくれればの話)

ルワンダでタイ料理屋をひらく | 左右社

読んだのは今年八月の二刷。編集ー立原亜矢子 編集協力ー大洞敦史 装幀ー松田行正+杉本聖士

英語タイトルは、グーグル翻訳だと動詞が原形で、これで命令形以外にとってもらえるのだろうかと悩み、アイエヌジー形にしました。私はその程度の語学力。そして、主語をぬかす邦題の本は、著者がじぶんで英題を作ってどこかに置いてほしい。"A Japanese Single Mother has opened a Thai Restaurant in Rwanda"なんてふうに他人がおぎなってよいものかどうか考えて、よしにしました。

chisakarato.com

表紙の集合写真の息子さんは眼鏡っ子なので、なんとなく駐在子弟のひとつのタイプのイメージを持ちましたが、ほかの写真はそうではないです。人は見ためが九割。

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日本人シングルマザー、アフリカで人生を変える! EVERYTHING WILL BE ALRIGHT  エブリシング ウィル ビー オーライ(きっと大丈夫!)左右社 電子レンジを水洗いするスタッフ 施工代を返さないまま逮捕されたエリック 初めてのお客さんは泥棒!?

ここも、帯にボブ・マーレイの歌の歌詞が書いてあるので、ラスタでアフリカのミヨコ・アキヤマなのだろうかと思いましたが、職場の孤児青年(ルワンダ虐殺による)がそう言っていたので使ってるみたいで、レゲエ界隈で有名な文句であることも知ってはいるでしょうが、触れてません。

そんな本です。けっこうあちこち、実は、「説明がほしい…」と思いながら読み、しかしまあ、すべてが分かる便利さというのも危険ですし、ほっときます。メニューだけ、少し知りたい感じです。

私は「ホテル・ルワンダ」を見た程度で、ルワンダは知らないけどツチとフツという人工的な民族区分に起因する大虐殺があったのはかろうじて分かるが、どっちがどっちをということは覚えられない人なので、なぜに虐殺のあったような国へ行くのだろうと、まずそれがふしぎでした。さらにその国で、なんでまた日本料理や現地料理でなくタイ料理なのかと、それがさらにふしぎでした。その二つの疑問は、讀み始めてすぐ、ペアで解消されます。

職場の先輩と同期(義務教育の同級生でもある)が結婚して先にルワンダに移住して自営でビジネスを始めていて、彼らに会いに旅行に行って、いごこちのよさに即決。アントレプレナーとして何を起業するかについても、彼らのアドバイスに沿ってです。店舗の場所も彼らのアテンド。

後半、何にも自分で決めてないのに、これでインカ帝国と悩んでますが、三枚くらい入ってるスタッフ集合写真を見ると、十人から二十人弱くらいの間をうろうろしてて、このスタッフ数をひとりでまとめるのは実に至難の技ではないか、それをやりつつ育児出産を並立させるというのは(恋愛もいち項目としてはさむべきでしょうが、書いてないイチャイチャを知る必要もなし)、こりゃもう大事業だよと思いました。実務の遂行能力はものすごく高い人なのだろうと思います。タスクやらスキームに関して、ぜったいに甘い顔をしない、妥協しないキャラを、大企業の組織内でなく、新天地でいちからスタッフと作っていくのと比べたら、そりゃ後者だろうなと。

ルワンダの治安は近隣国と比べると雲泥の差で、帯にある、新規開店時に早速物色というか偵察に来た泥棒も、強盗でないところがミソ。夜間の行動も、女性の歩行も、安全度は周辺国に比べダンチだそうです。

先輩と同期がルワンダで何やってるか知りませんが(本書はプライバシー保護の観点から一部仮名を使用してるそうですが、作者のツイッターやお店のFBのフォロワー見れば分かってしまう気瓦斯)「復興」の名目で国際的に注目が集まってる土地は、それで資金も人もうねるように入ってくるものなのかもしれないと、コンストラクションや顧客となる外国人層富裕層を読んで思いました。カンボジアは虐殺があって、平和になってUNTAC時代以降旅行者等バンバカ入ってきたら幼児売春のメッカになってしまって、げんなりもいいとこでしたが、ルワンダは、本書を読む限りでは、そういうことはないんだろうなと思いました。また、アフガンも、干ばつ時にNPOが井戸を掘りまくったけど、PSMの本を読むと、ペシャワール会ともう一つのNPO以外のはカネ目当てのその場しのぎですぐ枯れたとか、その後の灌漑まで含めて、ずっと現地によりそって伴走してるのはPSMだけとか、それでまあ米国撤退タリバンフカーツで、カーブルの脱回入欧層が阿鼻叫喚の生き地獄とか、そういうこともあるなあと思います。

www.newsweekjapan.jp

www.sankei.com

国と国の関係以前に、豚喰いで回教に無知な漢族が横柄な態度かましたら、そりゃ軋轢は生じるだろうなと。あと、金銭トラブルや信義にもとる背信行為不履行詐欺まがいがないはずもなく。

ルワンダ虐殺についての記述は頁106。すばらしく簡潔に要諦がまとめられています。有能な人材はそつがない、と言ったら激怒するかも。

ルワンダは、アフリカではめずらしく、高地で、冷涼な気候ですごしやすいそうで、メニューに契約農家のイチゴメニューがあるのもそれでだろうと思いました。南ベトナムのダラトのようだ。しかしマラリアは深刻だそうで、コロナカの記述にも、マラリアのほうが通常営業で死者数が多いままとなってます。ただでさえ貧弱な医療にコロナ関連の負荷がかかって、他の病気の患者が、平常運行なら助かるものも… という例もあったとか(そりゃあるでしょう)話を戻すと、玉村豊男の東信エッセーでも、年々温暖化で、蚊が出る標高が上がってるとあったのを思い出しました。ルワンダは、以前は蚊がいなかったというレベルの標高ではないんだろうな。

現地語のルワンダ語は、わりと母音をハッキリ喋る言語のようで、頻出用語一覧のページに、カタカナでそのまま通じる、英語もジャパニーズイングリッシュのほうが通じやすい、とあります。そんなこと書かれたら、コロナカ解けたら、渡航者と起業家急増するんちゃうんと思いました。

アフリカで、邦人の女の子が欧米人含めた顧客をターゲットにカフェめし感覚でやるなら、タイ料理をやるしかない、という炯眼も、読むと納得ですが、じゃあほかに誰かやったかという。日本で開業するならロコモコでもハンバーガーでもいいんでしょうが、海外だとすると、白人のロコモコ屋やベーグルパンが横に出来たら、オリエンタルの店は見劣りするかしないか。かといって、ヘタに日本料理で、韓国人の日式料理店やベトナム人のスシと競合しつつ、わざわざ呼んだ板前を抑えられず逃げられたり横暴振るわれたりするのもなんでしょうし。インド人も中国人もしれっとタイ料理出す時代なので、タイ料理が吉なのでしょう。

前に南林間のタイ料理店店主の本にあった、街のめし屋成功条件、・わかもの ・ばかもの ・よそもの も全部満たしてると思いました。施工代前払いしたら何もせず全額使い込まれて返ってこないとか、冷蔵庫も上からホースで水かけて洗うとか(私もやったことあるのですが…)勝手に店のトイレを雑居ビル共用トイレだと内見で説明する大家とか(のちに脱税でつかまって、ビルの所有権は中国人に移る)ばかもの全開。

作者はバーミヤンのバイト以外飲食業未経験なので、日本やタイでそこそこ料理教室を体験しています。現地スタッフの素地と顧客の質を考えると、かえってそれでよかったのかも。出産の一時帰国時に、強迫観念的におびえながら接客する邦人ホールスタッフを見て、ルワンダの、ライスがないのにオーダ―受けて、二十分後料理が出来てから、客に「ライスないからこれから炊くけどいい?」と平然と聞けるスタッフの強さを目をつむって黙想します。話をもどすと、タイで一番感動したという、海老と春雨の蒸し物「グンオップウンセン」(頁013)は、けっきょくカフェ的なプレート中心のお店にそぐわないディナーメニューなのでルワンダでは出してないみたいですが、私が食べたことなさげなので、食べてみたいです。今度タイレストラン行ったら探してみます。

recipe.suntory.co.jp

調味料や食材の多くは、印僑と華僑の店に頼るか、タイから直販だそうです。パッタイがよく出るので、パッタイの麺は直送することにしたという記述が、ロックアウト、否、ロックダウン初期の記述にあります。書き忘れてますが、開業五年だそうで。継続は力なり。ルワンダの中国人進出についての簡便な記載は、頁086。スーパーで、管理系の業務はすべて中国人が握っていて、ローカルスタッフが名前でなくナンバーで呼ばれてるという描写があります。頁101に、バイクタクシーを現地で「モト」と呼ぶとあり、漢語の〈摩托〉由来かなあと思いましたが、さすがにそりゃないだろう、仏語由来で揺らがないだろうと自分に言い聞かせています。

息子さんは、インターナショナルスクールは目が飛び出るくらい高いので、現地の坊ちゃん嬢ちゃん向け幼稚園と学校に通ったそうで、一割くらいは外国人と書いてますが、アフリカ諸国の人間かなという感じで(ケニア人の施工業者がさんざん詐欺を働いてケニアに逃げてチャラになる場面あり。犯罪者の相互ナントカ条約ないんでしょうか)あるいは白人子弟はまた別のカテなのか、オリエンタルの子がひとりふたりだけクラスにいて、その子たちと息子さんとは、初対面からもうずっと親友状態、という感じになったそうです。で、その子たちは国籍は書いてないのですが、名前を見ると、漢族でなく、即ハングルと分かるので、韓国人の駐在は邦人の駐在よりワンランク下の学校に子どもを通わせる時代がまだあるのだろうか(そのほうがヤワにならずガッツがつく)と思いましたが、人口の九割がキリスト教徒の国だそうなので、韓国教会の宣教師の子どもかもな、と思いました。クリスチャンだから日本に厳しくないかというとそういうこともないわけですが(私が大久保で同時通訳で説教聞いた時も、そういう部分は日本語に訳してなかった)宣教師ならルワンダにいてもおかしないとは思います。あるいは北朝鮮外交官子弟だったりして。

頁112に、子どもは、夜シャワーをあびると制服を着て寝るという「ライフハック」を開発したとあり、また同じページに、持たせる軽食の弁当はバナナが多いとあります。

日本では手抜きと後ろ指を指されそうだが、ここでは全く問題ない。

最近ヤフーで読んだ森泉の回想記(母親は米国人)の弁当の個所を思い出しました。

b.hatena.ne.jp

話を戻すと、作者はプロフでは東京出身となってますが、わりと義務教育の一定期間神戸にいたそうで、そのあたりのエピソードが唐突にはさまると、あれ、と読んでて思って、少し脳内を整理してから読み直しました。前職が丸の内の高層ビルの高給取りとあxtuたので、勝手に広告屋と思ってましたが、ちゃんとプロフに、リクルート、人材事業と明記されてました。さぞやプレゼン資料やパワポの扱いはゴイスーなんだろうなと、読んでて思います。文章も非常に達者です。

頁097、アフリカの日々の悪戦苦闘で、唯一の救いは、それをホーレンソーして理解しないであろう「本国の上司」がいないこと、としてます。「OKY」を出していて、「お前が来てやってみろ」と書いてますが、私は「お前が来てやれ」と脳内で改変してました。ウェブで検索しますと、「お前がここに来てやってみろ」と、さらにマイルドになってます。

cancam.jp

作者はシングルマザーで、さらにまたルワンダでつきあい始めたスペイン人エンジニアの子どもを産んで、親権とって離婚した子どもに兄弟はほしいが、結婚はもういいという自身ののぞみをかなえたのですが、現地のまわりはシングルマザーばっかりで、結婚は結納等男性に負担がかかる社会のしきたりに対し、女性が妊娠すると男性が逃げる慣習がかなり普遍化されていて、生まれた子どもは地域社会みんなで育てるんだとか。それはそれでいいけど、①どこがキリスト教徒が九割やねん、一夫一妻ちゃうんけ、②医療や社会保障が貧困なので、それありきの共同体による育児で、逆に日本のように福祉が高度になると、みんなでもたれあいはなくなって、自己責任大国化するんだろうなあと思いました。頁192に日本のファミレスと出産の、ルワンダとの対比があります。ルワンダ帝王切開が実は多くて、会陰切開よりそっちを望むけれど、器具などの感染症対策が貧困で術後感染症に悩まされることも多いとか。という記述は別の個所ですが、どこか忘れました。乳幼児の死亡率の高さは、スタッフにも及びます。頁130。作者のお店は、ちょっと私の働いた飲食店でも一軒もそんな店ないかったですが(もっとも私は時間給のバイトでしか働きませんでしたが)有休休暇制度があって、活用される反面、ウソ休暇も多くて、作者は当初「子どもの具合が悪い」もそれなんだろうかと疑った… とここまで書いて、子どもに不幸があったのはナニーで、店のホールスタッフではなくて、だから有休もなくて、疑ったとかそういう記述は1㍉もないことを読み返して確認しました。なんでそう思ってしまったんだろう?

「アイム……アイム、ソーリー。アイム・ソー・ソーリー……(本当に、気の毒に思います)」

 それ以外の言葉が出てこない。ルースは、しばらく私の次の言葉を待っているようだったが、電話はそこでプツリ、と切れた。

ここを読んで、なんで自分が悪くないのに謝るんだろう、と、ルースはふしぎに思ったのにちがいないよ。なぐさめのことばがほしかったのだろうな(でも出てこない)と思ったところから、私の脳内妄想が暴走してたようです。

高給取りだったと自分で書いているので、いかに現地でボッタされようとも、それなりに資金はあるんだろうけど、それにしても…(実家の援助有無は記載なし) アジアンという名前からして、海空花子なのか? なにか自己啓発とか宗教とかクラファンとかの資金元があるんだろうかと勘繰るでもないかったのですが、頁167に、日本企業・経済人が立ち上げた「アフリカ起業支援コンソーシアム」の若手邦人支援一期生として選出されていたという記述があり、多少納得しました。

http://entre-africa.jp/

でもこの箇所は、お店ヤメだ、もう日本に帰ろう、と視野狭窄になって辞退のメールを送って受理される個所ですので、えっ、えっ、えっ、と、目がテンになりました(作者の文体の影響を受けると多少こういう形容が増えるかと思います)辞退を取消したという文章はないのですが、じっさい営業続けたわけですし、取り消してくれてたらいいなあ、と。

続けることに決めたあと、何から何までひとりで切り盛りせず、ある程度スタッフを選抜して彼らに権限委譲して、自分は一歩引いた後、或る晩店を見たら、満席で、言われるまで何もしない病の気が利かない人間しかいないと思われてたのに、どんどん動いて、パルリパルリはハングルですが、ルワンダ語で「ブバブバ」「ブバブバ」とせかして回してるさまを見て、誇らしく思った、という個所があり、感動的でした。むろんそこでチャンチャン、"Fin"とはならず、頁173、さらにテコ入れで、東京のインテリアデザイン事務所からひとが来て、内装全面リニューアルとあり、さすがリクルート、スゲーと最初は思いましたが、よく読むと、別の仕事で定期的にルワンダに来てる女社長で、シングルマザーの先輩ということでした。この人が、鉢植えの植物の手入れから天井のペンキの剥げまでチェックがいちいち厳しくて、

「ほんっとに、アンタ、こんな調子でやってたら、店なんてすぐに潰れるわよ!」

小姑か、というツッコミは入らず、逆に、売り上げ報告でも、経費を計上したうえでの黒字なのかつっこまれ、

次頁

「すみません、漏れておりました。でもそれも含めても大丈夫なはずです」という私の返信に対し、「忘れてた? 軽く言うけど、相変わらず、どこまで経営感覚ないんだ!?」

作者曰く、経営者というのは叱ってくれる上司がいなくて、それが独立の一番のデメリットかもしれず、一線でバリバリ仕事してる実務のプロがこうした苦言を呈してくれるのは金言でもあって、余人に代えがたいとしています。占い師でも肩書コンサルタントでも家族でもない、一等地に看板出し続ける会社の敏腕社長の的確なアドバイスだからこそ、真摯に耳を傾けられるのだろうとも思いました。まあ、へんなスピリチュアルな人なんかは、もっと叱って、みたいなパターンでなく、ホメ殺して来そうな気もしますが。実務関係者が、社会に出る女性として、シンママとして、敵にならず心強い助言者であってくれたというのは、人の縁でもあり、その縁は努力しないひと、性格的にどうこうな人には来ないんだろうなと思いました。

ただ、私はここを讀んだあと、並行して読んでた『テヘランからきた男 西田厚聰東芝壊滅』頁171に出てくる、元ホテルオークラ副社長橋本保雄『感動を創る』(PHP文庫)から西田厚聰が抜き出して部下に渡していた「仕事十訓」

  1. バイタリティを持て
  2. 常に頭脳を酷使せよ
  3. 周囲の変化に挑戦せよ
  4. 他から信頼される人になろうと努めよ
  5. ルールはルールとして重んじよ
  6. 一度計画したものは、万難を排して完成させろ
  7. 失敗を恐れるな、失敗は次への成功の足がかりだ
  8. 今日のことは今日やっておけ、明日は明日の仕事がある
  9. おのれの時間を大切にせよ
  10. 生きがいのある職場で価値ある人生の創造を

を、この女社長から唐渡サンが受けたものと思い込んでいて、そうだよなあ、ひろゆきみたいに、明日できることは今日やるな明日やれとか、どんな下心があって吹聴するんだろうと思ったわけですが、見事に混同してました。

あと、そんなインテリアプランナーがいるんなら、これどやさと思ったのが、三章と四章のあいだにカラーグラビアというか、写真が載ってる数ページがあって、スタッフ集合写真やルワンダのひとびと、育児といっしょに載ってる、店舗設営時に大工とモメた件の写真。頁046、厨房とレジのあいだの壁に、小窓をつけて、お互いの様子が見えたり、ものの受け渡しが出来るようにしようとしたが、上下左右全てセンチ単位でキッチリ位置を指定したのに、明らかに上の高すぎる場所に穴を開けられて、やり直しを命じた箇所。これ、作者の身長だといいけど、スタッフに長身が多いと、かがまなければならず、それでいろいろ受け渡しやると、腰痛めないかと思いました。ただ、飲料や汁物の受け渡しをやるなら、大工が開けた穴だと上すぎてこぼれる危険性があり、ようするに街中の飲食店でどうやってるかというと、もっとタテ長な小窓をつけてると思います。そんで、スダレか暖簾で上を覆う。女社長も同じ視点だと思うのですが、どうでしょうか。ここは女社長があの低い位置の小窓を指定したのでしょうか。だとしたら、厨房から店内を覗かせず、店内から厨房を覗かせないようにして、分断した方が営業としてよいという判断なのかなあ。こんな小さいと、店員に負荷を強いるだけのようにも見えるんですが。銭湯の番台の後ろにある、脱衣所からシャンプ―等の注文と受け取りが出来る小窓じゃないねんから。

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一見ハチャメチャな彼らが教えてくれた ルワンダフル・ライフ! 戸惑いながらも働くうちに見えてきたのは、 どんな過酷な状況も生き抜く彼らのたくましさだった。 人生という「旅」の醍醐味を味わう傑作ノンフィクション!

左右社という出版社は知りませんでした。石川九楊が名付け親だとか。南極探検家との関係は知りません。

会社案内 | 左右社

さいごの章は、コロナカの話。頁200、マスクを買いに薬局に行くと、中国人がすべて買い占めた直後で、まったく買えず、うーんとうなってます。世界同時多発買い占めだったのか。消毒液は数時間が価格が三倍に高騰したそうで、やっと見つけたハンドサニタイザーのラベルが、今さっき貼ったみたいなので剥がすと、100%グリセリンだったとか。そう書かれても、グリセリン? なんだっけ? 浣腸? と思ったら、保湿剤と後ろに書いてありました。よかった書いてくれて。

でまあ、ルワンダもまた、アフリカ的な〈严打〉タイプの国ですので、政府が即座に価格の違法な不当吊り上げを罰する旨声明を出し、開発庁長官の女性も、ニセ消毒液について「許しませんわよ!」(頁200。ママ)とツィートしたとか。集合写真の中に、邦人女性がふたり写ってるのがあり、どっちかは作者だけど、もうひとりは誰だろう、と思っていた女性が、大学生の「インターン」であることが分かり、コロナカで空港閉鎖になる前日に、タッチの差で帰路についたとか。インターンて、この場合なんでしょうか。やっぱなんかオーガニゼーション的なバックがあるのかなあと思ってみたり。それにしても、海外バックパック旅行含め、化粧とかオサレとか、ほんとみんな似た感じになるなあと思いました。白人マジョリティー地域のワーホリだと、また化粧とか違うんでしょうけれど。

頁210、「ラウンドアバウト」という単語久しぶりに見ました。が、旧ベルギー領なら、フラ語的に、「ブールヴァール」ではないかと思いました。が、「ブールヴァール」はアメリカ的なのかもしれない。アメリカの小説でよく読む単語なので。

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頁219、サブサハラ地域という言い方、前にも聞いたのに忘れてました。どうしてもサハラ以南と言ってしまう。

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「下ビルマ」はロウワービルマで、サブビルマじゃないです。分からない。

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あと、頁238に、BLMが唐突に出てきて、最初意味が分かりませんでしたが、ロックダウン中に夜間外出して捕まった人たちが見せしめのために報道陣の前に整列させられたニュースを見て、黒人国家による黒人受刑者への措置画像と、そうでない国の黒人受刑者への措置画像はどちらも似たようなもんだけど、違うと言えば違うはずで、でも見わけがつかん、とかそういう話かなあと思いました。

本書はルワンダの隣国について、エボラの時はコンゴからの流入を挙国一致で強権で防いだとほこらしげに書いてますが、内陸国であるだけに、物流の生命線はタンザニアダルエスサラームに握られているのではないかと私は思っていて、そのタンザニアがコロナ陰謀説の大統領だった件(私は偶然在日タンザニア人のオバチャンから聞いた)について、本書が1㍉も書いてないのは、ちょっとさびしかったです。

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www.afpbb.com

www.bbc.com

私がゴルゴ13シナリオライターなら、まっさきにゴルゴに狙撃されたことにする事件。

www.jiji.com

コロナカは以上です。

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作者のお店はアジアンキッチンといい、タイに特化した名前をつけてないのは、ある程度汎用性を持たせたかったから、だったかな。アシアナキッチンは海老名にあるスリランカ人経営の南インド料理店ですが、近くにモスクがあるので、ムスリム客の比率が高く、外見はどちらもインド亜大陸の風貌ですが、言語が異なるので、日本語や英語でオーダーのやりとりしています。アジアンキッチンも当初イチバンえらかったシェフはムスリムとか。略称「アジキチ」

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4.1☆ 口コミ181件・お手頃・☑イートイン☑店先受け取り☑非接触デリバリー 健康、安全 スタッフはマスク着用、スタッフの検温あり ♀女性が活躍、経営するビジネスと確認された 初めて、グーグルマップのコメントの自動翻訳ありがたいと思いました。

http://asiankitchenkigali.com/index.php/menu/

上は公式のメニュー。タイなのにクイティオでなくベトナムのフォーなのがふしぎその一。トムカースープと本文で言ってるので、ふつうトムカーガイで鶏肉スープだけど、トムカーまでしか言ってないってことは、ルワンダでは食材の関係で鶏ではないのだろうか、トムカーヌァとかトムカームゥなのだろうかと邪推しましたが、メニューで鶏肉を確認しました。本文で豆腐があってよかったみたいなことがあった気がしましたが(ページ忘れました)メニュー見ると、ヴィーガン向けのチキンナゲットの代用品、トーフナゲットでしたので、業食かなと思いました。メニューに"Green Tea Cake"とあるのは、本文の抹茶ロールケーキでしょうが、グリーンティーだと緑茶の意味なので、ちゃんと"Matcha"と書いたほうがいいと思います。これも冷凍業食なのかなあ。

英語で抹茶! | 西尾抹茶の株式会社あいや

baike.baidu.com

上は、さすがにパッケージまでは修正されてませんが、htmlはキャストから主演女優のヴィッキー・チャオが見事に消されている、キョーブン先生主演男優の中国映画《绿茶》

メニューと本文の「タイ・ミルク・ティー」がよく分からず、検索で出たものを見て、ああ、これかと分かりました。オーバルティンなんかといっしょに、よく屋台で売ってて、どっちかというとマレーシアでよく飲んでた気瓦斯。

www.thailandtravel.or.jp

ja.wikipedia.org

以上

【後報】

谷恒生の'70年代初期作『喜望峰』でしたか、『ホーン岬』でしたか、アフリカにはチャイナタウンがないので、邦人犯罪者の逃げ込み先がないという記述があり、いま21世紀アフリカのどこもかしこも一攫千金を夢見る中国人で溢れる現状を読むと、感慨深いです。

谷晃生 - Wikipedia

谷恒生 - Wikipedia

(2021/9/21)

【後報】

クンオップウンセン。外かな、とにかく集まれてよかったです。

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(2021/9/25)