『こちら葛飾区亀有公園前派出所』53巻 "KochiKame: Tokyo Beat Cops" vol.53 published in 1988. by Akimoto Osamu (Former Pen-Name is Yamadome Tatsuhiko) (ジャンプコミックス)"JUMP COMICS" 読了

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KochiKame: Tokyo Beat Cops - Wikipedia

蕎麦屋で雨宿りがてら読んだ1988年刊行のマンガ。バブル全盛期。翌年昭和が終わる予感もなく、昭和なのに「レトロ昭和」ネタ(昭和元禄のころを懐かしむ)を謳歌していたころ(下血は秋からだったかと)

左)こう書かれている通り、下町のスケッチが各所に挿入されていますが、実はこれらの風景は探せばまだ残っているのです… という気もしなくもなく。葛飾は耕地がまだまだ残ってますからね。この頃はバブルの地上げがあったので、景観保全に関する危機感はあったのかもしれない。人は不安が尽きない生き物なので、令和は今後、タワマンと狭小住宅の《鬼城化》が焦点になる気がします。スラムと言う勿れ。

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中)53巻でもまだ平気で拳銃をぶっぱなしてた。知らない間に両さんは発砲しなくなったわけですが、いつごろからでしょうか。

右)1988年のコミックスにもまだ巻末にアイドルの読書感想が載ってました。しかもけっこうな大物。さすがこち亀。下記は2013年のニュース。

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しかし、例えば、この頃もう出ていたはずの『JOJO』二巻、炎に崩れ落ちる屋敷を背景にスピードワゴン「この人は勝ったんだッ!!」そしてツェペリ登場、の後ろのページに、知らないアイドルの読書感想、「ジョジョに熱く愛されるエリナがうらやましいッ!」みたいな文章が載ってた記憶がないので、どのまんがにもアイドルの読書感想載せてたわけではないと思います。集英社はプレイボーイを出しているので、グラドルとは切れない仕事の縁があるわけですが、たまには、彼女たちに、脱がない仕事も融通したい気持ちがあって、こうした読書感想が載ってたのかも。

ジャンプスーパーコミックスにはこうしたアイドルとのメディアミックスはないので、諸星大二郎のまんがで唯一アイドルが読書感想を書いてるのはヤンジャンコミックスの『地獄の戦士』ということになるのですが、誰だか忘れてるのが残念です。諸星先生の書く男性は男らしくてステキ、みたいな作文だったはずで、「ちがうだろー、諸星マンガは成人男性でなく、半ズボンのショタだろー、お前が私を狂わせるー」と突っ込みたくはなりませんでした。

上は、この時代の銀行利率を考えるとヒドい搾取ではないかと考え、感想に入れることにしました。しかしこの時代、世界にイスラム教国のような利息を取らない銀行の存在を知る者も少なく、いわんや、未来に現れるマイナス金利を予測出来たものはひとりもいなかったかと(多分)

上は、ブラウン管モニターのコンピュータにアラレちゃんとヒョウタンツギが映し出される場面。鳥山明の絵ではないと思います。手塚治虫の絵でもない。実は遊びに来ていたるみ子が描いたという事実もありません。このように穏健な絵が描かれた背景には、

その少し前の話に、そのまんまのロリコンカット(上)が載っていた反動かと。雑誌掲載時はこのアシが随所に暴走していたのを、単行本で可能な限り修正したのだが、上のコサキンカットは直し残しなのかもしれません。両津勘吉の父親が鑑賞するAVもセーラー服ものでした(ただし穏健な絵なので、差し替えが疑われる)熟女とか美魔女が社会に登場するのはまだまだなのだなあと思いました。でも熟女はあと十年もすると現れます。コマダムみたいな単語もそのうち出てくる。このまんがには出ないかもしれませんが。

こち亀というのは、基本的に、ネタをとりあえずじゅんばんに並べて描いていって、ページ数が尽きたところで、その時点で出来る範囲の大ごまオチで終わる、のだと思いました。オチるようなネタがなければ部長登場でおとす。この頃は、読んでいて、もっとストーリーテリングとして練って、必然性のある落とし方をしてくれないので物足りなさを覚えていたはずですが、そんなもの週刊連載出来るかということなのでしょう。じっさいこの頃(少し後かもしれない)ジョージ秋山が毒薬仁を作り出すとともに、アホみたいなコピー芸をはじめ、柳沢きみおもヒドいマンネリ芸をはじめる。それらを、ジャンプ特製の作画協力と、友情努力勝利の生地でくるむとこち亀なのかもしれません。以上