今回は実質的な巻末掲載。ゴルゴスピノフが巻末に来る慣例なので、この作品が実質巻末です。もう33回も掲載して、単行本も四冊出てるので、そろそろめんどくさくなった可能性も。第一回が2016年6月増刊号掲載ですので、今年で八年目。あと二年頑張れば十年ですが、そこに執着はしてないだろうな。西遊妖猿伝を続けてほしい気持ちはありますが、印旛沼で遊んでばかりだった白土三平と違って、切れ目なく作品を発表してますし、ユリイカでの中野美代子との約束も守って、中央アジアの伝承や民話などを調べた上で、イスラム教化する前のユーラシアステップロード、特にゾロアスター教の世界を生き生きと描いてくれたので、もう感謝しかないです。白雲洞で竜児女と見たんだかなんだかの、インドの洞窟寺院で、ハヌマーン信仰に熱狂するインド人の群衆の未来予知が、実際に悟空が現地到達したのち、どう実現するのか描かれなくても、だいじょうぶです。正直インドはそんなに描かなくてもというか、取経の旅で持ち帰った原典はもちろん、中国に漢訳仏典以外の、サンスクリット語やパーリ語の仏典が一部も現存してない謎に比べれば、たいしたことない気がします。貝葉経というように、葉っぱに書かれたお経だったので、猪八戒がぜんぶ食べてしまったんだ、と饕餮的な解釈されていたのは、原始仏教がご専門で足利学校庠主も務められた中村元先生でしたか。
閑話休題。そんなこんなで、今回の話はドタバタしてる気がします。ふたコマ目で、ギルウッド氏がヒゲのおやじなのか中村梅雀みたいな人なのか分からず、最初梅雀がギルウッドで、ヒゲのおやじは主治医かと思ってました。「私より神父を呼んだ方がいいような状態です」と言うからには医師だろうと。しかしよく考えたら弁護士を呼ぶケースもあるだろうので、ヒゲの親父がギルウッド、梅雀が執事かもなと思いました。
「ああっ 旦那様……!」*1と呼びかける相手もギルウッドに見えて、ギルウッドが旦那様なのか、あれ、なんか変だなと思ったり。というか、それまで「グレッグ氏」と言っていたのが「グレッグ様」になったので、やっぱりこの人執事なのかな?梅雀がギルウッド弁護士で、と思ったり。絵コンテの段階ではひとりしか描いてなかったのに、若手編集が巻末爆走漫画担当になってイケズしてもうひとり描かせて、結果このような混乱が起こったわけではないと思います。
アリスが関係や参加を断り続けたので話が広がらなかったわけですが、今回ほとんど活躍しなかったシェエラザードが「虎穴にいらずんば虎児を得ずよ」とアリスをたきつけて積極的に関与させると、収拾がつかなかったのかもしれません。「地獄のサタンの前で判定して貰おうかい!」とグレッグは見栄を切りますが、閻魔様じゃあるまいし、サタンは死者を裁いたりしないだろうと思いました。審判の日に、死者が地上に復活して、最後の審判を受けるんじゃいかったでしょうか。
このように至る所に混乱が見られ、どうせロイヤルストレートフラッシュだろうとよく見ないでいたら、エース・ハイ・ストレート、またの名をブロードウェイという手で、その意味するところがよく分かりませんでした。ファネットのようにモールス信号に置き換えたりするのだろうか。ロイヤルストレートフラッシュをジョーカー入れたファイブカードで破るオチが、ほかにも使われてるオチじゃないデスカと、巻末爆走漫画担当の若手編集に嫌味言われて、急遽変更したわけでもないと思いますが…
以下ほかのまんが。
表紙:ビッグコミックオリジナルはカラフル表紙、ビッグコミックは白、という思い込みがあったので、増刊号とはいえ、濃い色の表紙に驚きました。
厚み:電子版がうまくいってるのか、えっ、こんな厚いの、という厚みでした。驚いた。
伊能忠敬まんが:「関宿宿堀屋」って、宿を二回書くので、ややこしいと思いました。左は2009年に撮った写真。三県鷄鳴の地なので、この辺もつぶやきシローやU字工事のように「だっぺ」「だっぺ」ということでしょうか。神奈川はだんべ。関東べえの大阪さかい。
ハートカクテルまんが:熊鍋… 食べれるんですね、本州で。
自虐の詩まんが:心無い親切と、心あるシカト。という寓話。
その次に波津彬子読み切りがあって、驚きました。この人は体に比べて顔デカな絵で、しかも左向きの顔ばっか(たぶん本人も気にしてて、右向きの顔を意識的に入れて構図を作ってるのですが、猫背ぎみの姿勢が多いせいか、左向きの顔デカの印象が強烈すぎる)のまま時が過ぎ、特にその絵柄に変化もなく、何も足さず、何も引かずベテランになって、という人と認識しています。読者がついて作品の受けもいいのなら、何も名香智子や木原敏江のようでなくともだいじょうぶ、ということなのですが、どういった縁でビッグコミックに殴り込んだのか。
ギャラリーフェイクまんが:カラー表紙のミニスカの女の子は、岩谷テンホーのまんがの最初のとコラボしてるということでしょうか。フジタがわざと雪道で転ぶ。あるいは、この女の子は、作中出て来る、食えない、ウッシッシの、大橋巨泉には似てないオッサンの心の中のもうひとりの自分なのか。
「新刊五月発売!」と言われてもですが、「恋と変」重版は、『恋とゲバルト』のことなのか、マスターキートンリマスター重版を指してるのか。マスターキートンは、初期にブレーンとして参加してた、特殊部隊やらテロ対策などに詳しい人がいなくなってから内容ガーという説に私も賛同する者です。賞金稼ぎの話のようなものを作れなくなった。
爆音列島まんが:ワーゲンビートルまんがが次回暴走族の時代を取り上げるそうですが、80年代がそうだった気がしません。1982年? いや、どうだろう… 大阪の日韓連合の時代は60年代だそうで、さすがに違うでしょうが、どうなんでしょう。戸井十月にでも聞いた方が。西小泉のビジネスホテルの名前はエンペラー。
話を戻すと、最初の三ページの展開が、まったくその後に絡まないので、①読者に、5月17日まで覚えとき、続き描くんで、という、読者を試す試み。②このキャラを描くのが面倒だったので、所払いで消した。のどちらでしょう。そしてロリコン。でも五歳じゃないと思います。その倍の、十歳くらいではないでしょうか、頭身的にも(もう少し上かも)
剣豪もせんエロ(せんないエロ)も面白かったです。団地ともおまんがは、肥満児化が進んでるような。大人を描くのもうまいので、もう子ども成長させてもいいのかも(責任取れませんが)
今号は、アイドルの娘を持つ漫画家の父親まんががまた載っています。次女大人だな。
ジャギまんがも、混乱してます。アヘンって、古くなってだめになったりしないんでしょうか。沖縄育ちなら、ハブは見つけたら殺すはず。生かしておいて誰かが咬まれたらいけないので、必ず責任を果たす(と私は理解してます)
スピノフまんが:「イランはジョージア観光の上得意」とのことで、モフセン・マフマルバフ監督が「独裁者と小さな孫」をジョージアで撮ってもイランはかめへんかめへんやったんやろうかと思いました。
巻末に、福島原発避難まんがのカラー広告。このまんがは、もう少し続いてもよかったと、今でも思います。
以上
*1:エッチなセリフではないようです。