鶴間の本屋に立ち寄った時、目についたので買ったマンガ。千三百円くらいしましたが、開けてみたらオールカラーで、このご時世ですし、そういうものかと。
装丁 名和田耕平デザイン事務所 「ヤンマガWeb」2021年6月~2023年4月に掲載された作品を収録とのこと。
帯裏
帯
私には作者の事情は分かりませんので、永遠のシスコンなどとかんたんに言ってしまっていいのかとも迷いますが、でもまあそういう感情をたんたんと読むマンガに仕上がってると思います。
考えてみれば私はこの人の『キラキラ!』にはかなりやられたクチで、その後の長い年月は、ただただ長かったと思います。
『ホワイトアルバム』は、その後「スクールカースト」なんて便利なことばが出て来た後からすると、それぞれのキャラが、本来釣り合いがつかないので、下駄を履かせてる感が、なんというか、わたし自身の屈辱感を煽ってるようで、距離を置きたいと思っていました。やはりその後の『キラキラ!』かな。バカ姉弟を読むと、豪農的な旧家の長男であるがゆえに、男根主義から逃れるのが難しかったのではないかなどとも分析出来るのですが、そういう人のためのマンガ。江口寿史のような、かわいい女の子を描いてそれで終わりにならないもやもやを常に持つ。
ヤンマガ移籍後の『さくらの唄』は、現在のこのシリーズと重ね合わせてはいけないまんがではあるのでしょうけれど、誰もが簡単に答え合わせをしたくなるわけで、そういう意味で、私は読んでてつらかったです。愛着のある読者が多いと、再版のどれかで作者が語っていたのを読んで、世の中には屈折した人間が多いけれど、みんな平穏で幸せになってほし、と、素直に思います。
『お天気お姉さん』ですべて出し尽くして、この人は燃え尽きたわけですが、エロ衝動の炎を鎮めるために山にこもってみたり座禅してみたり滝にうたれたわけでもないのだろうなとは思います。『お天気お姉さん』は、作者的にあれだけパトスを傾けたわけですが、21世紀からあえて言及するとすれば「お囃子氏」くらいしかないかもしれないマンガ。
私もむかしはこの人に、この漫画、バカきょうだいで当面リハビリするにしても、いつかまた別のスリリングなマンガにトライしてほし、と思ったりしましたが、もう今はマンガ自体がこういうご時世なので、変顔の大ゴマ出せばそれでよしみたいな異世界ものばっかの中であえて創作のグチなんかしなくてもよいんじゃいかと考えてます。高校生バージョンを読んだことがなかったので、パーツがはまってしっくり來るのもそうですが、時グスリが効いてきて、スーパー姉への鬱屈した思いを持つ弟ネタを客観的に描くんだなあという、メンタル面の安定に脱帽したいほっとしたいです。台風など、絵がいいですし、ハルカというキャラはしらなかったので、中央線沿線や山手線外側の微妙なところにいると、いろんなのがいて大変だなあとも思いました。最初小金井国立だったのが、巣鴨にシフトした理由は知りません。作者がこの後ドバイに移住したかも知りません。
いいマンガでした。老人と和服が緻密すぎるので、実は作者の隠れた(?)才能なのかも。
以下、このマンガに挟まってた講談社コミックスの広告。
(1) ジジイ向けマンガ下記四点盛り。
(2)エロガキ童貞含む若年層向けマンガ四点盛り。
以上