伊那市駅に行くと、駅前の本屋で何か買おうと思うので、それで買ったマンガ。
ヤングチャンピオン1998年8号、1999年新年1号・週刊少年チャンピオン2022年40~41号、47号掲載。
Book design:HONAGRAPHICS
巻末にスペシャルサンクスでいたがきぐみ10名(浜崎あゆみ以下略や、ガンダムと読む漢字名などを含む)
取材協力/岸本肇(第一空挺団基本降下過程134期生)
帯はいいんですよ。板垣センセイは1977年入隊ということで、現在の、安定の公務員として人気の自衛官とは別世界の話、昭和元禄時代の日陰の花時代の、すっごい昔の自衛隊の話と読むことも可能ではないかと。『右向け左!』の史村翔とどっちが先か知りません。ジャギ先生が先だとふつう思うのですが、それでいいかの確認をするのがめんどう。
この帯裏をグーグルレンズが読み込んでくれなくて、なんでだべと思っていたのですが、どうもこの、エムスラッシュエムを一文字にした記号がIMEにないようで、それでかなり広範囲に読者が苦戦してるさまが伺えたです。
またこの記号が、出そうな気がするんですよ、「㏟」や「㏞」といった、一生に一度も使うことがなさそうな記号がふつうに記号一覧に入ってますし。
しかし、注意深く見ていくと、秋田書店公式はじめ、各ウェブサイトが、目次、各話タイトル一覧を載せていないことに気づきます。活字では打ち出せても、IME非対応だからウェブ上では出せないのではないかと。
さいごにナタリーで、プロのウェブライターが、観念して「m/m」と書いてるのを確認して、そうだよなあ、やっぱない字は書けないよなあ、と思いました。
単行本には1998年にヤングチャンピオン(秋田書店)に掲載された「200000歩2夜3日」、1999年に同じくヤングチャンピオンに掲載された「340メートル60秒」、2022年に週刊少年チャンピオン(秋田書店)に掲載された「210日900m/m以上?」「70分600cc以上?」の4本が収録された。そのほか単行本の発売を記念して、元自衛隊員のエッセイスト・ぱやぱやくんとの対談インタビューも掲載されている。
ちなみに、私は習志野空挺団を、習志野空挺師団と間違えておぼえてるくらいのひとです。狭き門の最精鋭部隊・習志野空挺師団に入れなくて、ナンバーツーの長野スキー部隊に入ったが、ケガで除隊した人に新宿のバニーガールのお店、エスカイヤを教えてもらいました。この漫画を読んで、オナクラクンに、自衛隊は夜泊まらないので、一泊二日、二泊二日と言わず、一夜二日、二夜三日というそうだよと話してると、職場の元自衛官のひとが聞いて、そうです、そのとおりですとニコニコしてました。ポッカも、そのとおりだったかな。
自衛隊時代の写真も載ってますし、執筆時、対談時の写真も載ってて、写したい欲望にとらわれますが、しかししない。対談相手のぱやぱやくんは、やはりレピッシュが好きだったのでしょうか。自衛隊車両はシートベルトがなくてもよいことは、最近ネットニュースで知りました。頁64の乳酸の定義は、どうも近年の科学の発展では、古いものになってるかもしれません。でも初出も前世紀ですから、仕方ない。
いつも秋田書店って、どこかがスゲエと思うのですが、この本も、作者名の真ん中に「少年チャンピオンコミックス」のアルファベット表記を入れる意味が分かりません。しかもオーは伸ばしてるし。
私のように極限まで自分を追い込んだことのない人間と、追い込んだことがあって、その経験から、いつもある程度追い込める人間との違いは歴然だと思います。部活の延長のとんでもないこととして自衛隊が描かれているようにも見えますし、それが勉強だったら、東大合格者の中の、ガリ勉組にもこうした人はいるでしょう。それとは別の意味で、頁98から頁103がこの本の真骨頂だと思います。乾いたはずのパンツをわざわざ穴掘って捨てんでもええやんとかに比べ、此の過去の回想はよかった。とかくエヴァンゲリオン以降、「逃げちゃダメだ」は軽くなったので。
作者が少林寺拳法黒帯だから、この漫画、否、刃牙もまた、烈海王だけ特別扱いというか、人気が高いのかしらと思ってみたり。前にも書きましたが、ヤンジャンの『押忍!空手部』最終回に、それまでの全キャラを編集がまとめたページがあって、それを見ると、話が詰まると必ず中国拳法の刺客が出るんですね。で、コリアンと分かるキャラは、一人も出ない(不良まんがでは、『BE BOP HIGH-SCHOOL』に朴というキャラが出たくらいではないでしょうか)とまれ、作者が少林寺拳法黒帯で、しかし黒帯であっても、頁103は、吉野源三郎版『君たちはどう生きるか』とイコールな、裏切りのワルツですので、そこを直視して描き切ったのは素晴らしいと思います。
本書は初出時の巻末柱文句がそのままついていて、ヤンチャンの編集者はひょっとしたらエラい人でまじめ、週チャンの編集者は、大家相手でも突っ込むことを恐れないチャレンジャーだと思いました。
富士一周完全装備徒歩行軍「◇限界を見ることは、その先を知ること。その時、一つの体験は”原点〟となる!!」
放尿「◇44年の時間ときを経て、やっと排泄された秘話ッッ!!」
初降下「◇ひとつの決断がまたひとつ人間を大きくする。」
スペルマティック・クライシス前編「◇押し寄せる衝動リビドーッッ!!」
後編「◇アンタが異状だよッッ!!」
素晴らしい。以上