『ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)読了

マット・スカダーシリーズの第一短編が収められているので、借りました。*1
1977年発表とのことなので、スカダーさん、まだ、さして酒の影響が深刻でない。
普通の推理もので、初期スカダーシリーズのほかの作品同様、(後期は未読)
警察にはどうしようも出来ない(証拠が揃わない)事件を、
スカダーさんが加害者に納得も得心もさせて警察に出頭させ、自首自白させる話です。
依頼者もさることながら、スカダーさんはそうしないと自分がダメな人。

スカダーさんは一編だけで、ほかは関係ない短編。
作者のスカダーシリーズ以外の作品は読んだことがなかったので、
興味深く読みました。犯罪ものばかりで、あっという驚くオチばかり。
特にひねりはないが、抒情的な余韻を残すとか、そういうのはないです。
(ひねりがあって余韻を残すのは、ある)
作者のまえがきによると、アメリカでは、
短編の原稿料はインフレ以前の価格に据え置きで、ひともじいくら。
発表先の雑誌市場が枯れ果てているため、ボランティアというか、
愛とか自己満足でなければ短編小説を書けないそうです。大変ですね。

Sometimes They Bite

Sometimes They Bite

原書と邦訳で、タイトルに使った短編が異なります。
原書のタイトルは、『食いついた魚』から。
邦訳のタイトルは、〝Funny You Should Ask”から取っています。
で、邦訳タイトルの小説の雑誌掲載時のタイトルは、ネタばらししてしまっているという。
アメリカ小説界の当時の状況が伺えなくもないと思いました。