『下戸の酒癖―玉村サロン大盛会』 (酒文ライブラリー)読了

作者: 玉村豊男
出版社/メーカー: TaKaRa酒生活文化研究所
発売日: 1999/11
メディア: 単行本
クリック: 2回
この商品を含むブログ (2件) を見る

TaKaRa酒生活文化研究所の活動記録第一弾。
TaKaRa酒生活文化研究所はGoogle検索で電脳空間に公式が見つかりませんし、
Wikipediaにも項目がないので、存続してるかどうか知りません。
この本を見ると、所長の玉村豊男が、
山口瞳開高健が為した酒文化の仕事に敬意を払って、
及ばずながら衆知の力を集めて酒と生活やらいろいろ考えてゆこう、
ということで始まったそうです。でも玉村豊男のWikipediaにその肩書はない。
版元の世界文化社の刊行物リストに酒文ライブラリーずらずら載ってますが、
順不同で体系的に整理されているとはいえない。
シリーズの一冊、麻井ウスケ『酒・戦後・青春』は非常に面白かったのですが、
一体この研究所に何が起こったのか。ＳＴＡＰ細胞みたいな話なのか、
これからいろいろ読めば分かるのかな、と思います。

『酒・戦後・青春』の読書感想（一部我ながら意味不明）
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20130827/1377539552

以下後報。
【後報】
この本は月イチで各界の人士を招いて座談会を行なう「玉村サロン」の、
第一回活動報告（1999年時点）ということで、以下の講師の回が収録されています。

大河内昭爾（この人が下戸で、タイトルはこの人の回から）
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E5%86%85%E6%98%AD%E7%88%BE
田中優子（法政大学のアレや、カムイ伝豪華版関連でもお名前みました）
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%84%AA%E5%AD%90
松永真
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%B0%B8%E7%9C%9F
水上勉
（この作家さんは、ウィキペディアのURL省略してもいいと思うので、そうします）
網野善彦
（この歴史家さんは以下同文）
如月小春
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A6%82%E6%9C%88%E5%B0%8F%E6%98%A5
妹島和世（この人の回は、未成年女性労働者の寮の話で、お酒との関連が？でした）
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A6%B9%E5%B3%B6%E5%92%8C%E4%B8%96
四方善朗
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E6%96%B9%E7%BE%A9%E6%9C%97

で、玉村豊男以外に、以下の聞き手がいるそうなのですが、
その回の参加者一覧がないので、
発言がないと、その回参加してるか否か全然分からないです。

＜ザ・サポーターズ＞
吉永みち子/南伸坊/村松友視/関川夏央（この巻で発言なし）/
柏木博/渡辺武信/麻井宇介/細見吉郎

水上勉が京都の仏門で小僧として育てられてる途中逃げた話で、下記が面白かったです。

頁101
左翼の小説家、宮嶋資夫（一八八六〜一九五一）や右翼の錦織大宗こと大輝丸は、監獄に行くのがいやで、雲水に化けてるんですよ。戦争中に左翼や右翼を巻き込んだのが禅宗でした。昭和十年代、その頃私は小僧だったわけですが、宮嶋資夫さんがしょっちゅう焚火にあたりにくるんです。托鉢に出ると等持院で休みます。なぜこの人のために火を焚かないといかんのかと思って……。ふんどしが見えるし、酒も飲むし。宮嶋蓬州は酒で死んだ人です。『禅に生くる』という本が創元社から出て、ロングセラーになって、酒が飲めた。それで飲み歩いて東京で亡くなってますよ。

宮嶋資夫　Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B6%8B%E8%B3%87%E5%A4%AB

頁125、網野善彦が出した1333年備中国新見荘の年貢決算書で、
豆腐が「唐布」と書かれているのも面白かったです。
布に例えられているのは、日持ちがするように干し豆腐にしていたからなのか、
など、想像を広げられたので。日本の干し豆腐というと、
高野豆腐のような凍み豆腐を連想しますが、中国のだとぴらぴらなので。