『酔っぱらい読本・弐 -A BOOZE BOOK 2-』読了

*1
前巻に比べ、記名紹介文が
少ないです。

<目次>
飲みっぷり、お国柄
○アレック・ウォー(Alec Waugh) 
 豊田昌倫訳・紹介文
勧酒(詩六篇)
井伏鱒二
酒ならダン!
檀一雄
うしなわれた混合酒
○オー・ヘンリ(O. Henry) 
 大久保康雄訳
葡萄畑の精霊
安岡章太郎
マジック酒場の一夜
江國滋
人殺しの酒(詩三篇)
シャルル・ボードレール
 (Charles-Pierre Baudelaire) 
 堀口大學
禁酒法はどのようにしてニューヨークで失敗したか
○ジョン・コブラー(John Kobler) 
 中田耕治
あの頃
志賀直哉 阿川弘之紹介文
街裏(詩三篇)
室生犀星
国民的勝利
○ブリア・サヴァラン(Jean Anthelme Brillat-Savarin) 
 関根秀雄訳
杜甫の酒
武田泰淳
ドライ・マルチニ論争/オン・ザ・ロックス/炎天のビール
山口瞳
飲み過ぎないための方法
キングズレー・エイミス(Kingsley Amis) 
 吉行淳之介・林節雄訳 後者紹介文
つるつる(古典落語
桂文楽 結城昌治紹介文
酒飲み月
田辺聖子
コネティカットのひょこひょこウサギ
J・D・サリンジャー(Jerome David Salinger) 
 沼澤洽治訳・紹介文

ウォー、最初はイーヴリンかと思いましたが、そのお兄さんでした。

頁14 飲みっぷり、お国柄
ヘンリー八世がローマ法王と反目する前には、田舎で宿屋が存在する理由はなかった。旅行者は修道院に宿泊すればよかったのだから。しかしながら、エリザベス朝期に入ると、旅行者は安全で快適な宿を必要とした。宿屋がその本来の性格を保ち、危険で異端の思想を広める人達の隠れ場にならぬように、と国をあげて気づかった時代でもあった。チャールズ二世は『飲酒法』で、「イン宿屋とは旅行者をうけ入れて憩いを与え、一夜の宿を供する所だ。野卑で怠惰な人々を歓待してかくまい、野卑で怠惰な方法で時と金を浪費することを奨励する場所であってはならない」と命を下している。しかし、酒を飲む場所としての宿屋は存続し、今日までイギリス人の性格の本質的な要求をみたしてきた。

頁102、禁酒法失敗についてで、酒が禁じられた=酒税がない、
ということで逆に異業種からの参入が相次いだ、と読める箇所は目からウロコでした。
頁105、禁酒法下で、加州葡萄作付面積が97,000エーカーから681,000エーカーまで拡大し、
グレープジュースには、「注意、発酵すればワインになります」とラベルがあったのも、
今なら、ワインは酵母を必要とせず自然発酵すると理解しているので、
読んでにやっと出来ます。

頁162 つるつる
「エッヘッヘエ。なンですよ、いいお乳ですなア。あアたのお乳てエものは。むぎまんじゅうへ、このオ、隠元いんぎん豆をのせたようですナ。エヘヘッ」
「おっ師匠しょさんに言いつけてヨッ!」

全然関係ありませんが、池上遼一描く女性の乳房、乳房自体は女性のですが、
乳輪とか乳首とかは、男性のそれを描いているのではないか、と、
さっきここを読んでいてふと思いました。授乳もあるし、女性はいんぎん豆卒業しやしないか。

頁189、サリンジャーの小説に出てくる、メリット高速道路が分かりませんでした。
ニューヨーク北東部からコネティカット州ニューヘイヴンに至る有料道路だそうですが。
下記の、I-95*2だと、ボストンからフロリダまであるので…

この小説が発表されたのが1948年ですから、2016年現在大幅に延伸したってこと?

『酔っぱらい読本』(講談社文芸文庫)読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140524/1400886624
『続・酔っぱらい読本』 (講談社文芸文庫)読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140530/1401428920
三冊目
 ↓

『酔っぱらい読本・壱 -A BOOZE BOOK 1-』読書感想
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160120/1453243870

奥付にない共同編集者_徳島高義 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%B3%B6%E9%AB%98%E7%BE%A9
イラスト:佐々木侃司*3
以上