『ブリッジ・オブ・スパイ』(原題:Bridge of Spies)劇場鑑賞


公式 http://www.foxmovies-jp.com/bridgeofspy/

Wikipedia 歴史考証(史実からの映画の変更点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4#.E6.AD.B4.E5.8F.B2.E8.80.83.E8.A8.BC

本郷台だ、下高井戸だ、と、思いつくたびネットで上映館を検索しては、
電車賃やほかの用事でぐるぐる回ってましたが、本厚木にかかることが分かってからは、
滞りなく(忘れず)映画鑑賞することがミッションだったので、完遂出来てよかったです。

平日朝でしたが、十人ほど観客がいたので、よかったです。
映画コムシネマの定番、係員による前説がなかったので、少しさびしかったでした。
トム・ハンクスは下記のプロモビデオで卓球する場面がありますが、
ピンポン外交はフォレスト・ガンプで、この映画ではありません、とか、
ブルックリンでもベルリンでも、このコートは映画では使用されませんでした、とか。

結局あれだ、スピルバーグは、ミュンヘン以降ぬけがらなんじゃないかって、
思うんです。シンドラーのリストで、出し切って、それまで、
1941から太陽の帝国まで、ずっとユダヤ人の現代の受難の歴史に向き合えず、
日本軍とか、未知との遭遇とか、エクストラテレストリアルとか、カラーパープルとか、
目をそむけてそういうものばかり見ていた自分と、やっとシンドラーのリストで向き合って、
そしてプライベートライアンを撮って、そしてしかし、宇宙戦争とかでも、
ディアスポラの不安、エクソダスデラシネ、みたいなものがどうしても覆ってしまう。
大阪なら…大阪ならやってくれる、とついついまたオルタナな存在として日本を出してしまう。
ギズモ。そんな彼がミュンヘンで、復讐は何も生まない、自分はアメリカ人だ、
アメリカで生きていく。そう割り切った。そしてそれ以後彼は抜け殻になった。

だからこの映画も、彼が幼少期に映画で観た世界、彼の幼少期は既に、
人種のセパレートがなくなっていたはずなので、白人だけのブルックリン、
白人だけのニューヨークの地下鉄、白人だけの小学校なんて、
映画でしか追体験出来ない世界、それを構築することに熱中した、そんな気がします。
安全剃刀の刃に、わざわざメイドインユーエスエーの焼きを入れてみたり、
食事の前にキリスト教のお祈りをするキリスト教徒の家庭の場面を入れてみたり。
長女と長男二女の年齢に少しタイムラグがあるのは、サザエとカツオみたく、
波平なみにトム・ハンクス演じるドノヴァンが兵役で不在の時期があると思いました。

U2、なんで超高高度飛行なのに撃ち落とされたんですかね。
硫黄島落とすまでなんだかんだ言って、そこそこB29も落とされてたみたいな話かな。
ジャポニカ学習帳に、モンゴル上空を飛ぶU2があった気がします。
ビルの屋上で演奏するバンドもU2ですが、それは余談。

あとトム・ハンクス、テキトーにドイツ語喋ってますが(ダンケとか)、
下記の本で、作者が、ドイツ系なのにビルコメンくらいしか言えない、
と苦笑してたのを思い出しました。
http://ecx.images-amazon.com/images/I/511Z603taOL.jpg
いい映画なのですが、スピルバーグが抜け殻であることをはっきりさせた、
そんな映画だと思います。それだけミュンヘンを撮ったことは、意味があった。
その後どうなろうとも。以上