神奈川近代文学館「生誕120年 宇野千代展 ―華麗なる女の物語」

http://www.kanabun.or.jp/exhibition/6121/

やっと見れました。明日最終日は月曜ですが、休日開館との由。
でも明日はダメなので、今日見れてよかったです。
ギャラリートークの日でもありましたが、その時間までいなかった。
奥泉光いとうせいこうの文藝漫談が天安門事件の前日あったそうですが、
それはもっと見る必要なかった。次々回は山周没後50周年だそうですが、
そこの講演会はもっと固い人が多いです。講談師もいますが。あと、
最近嵐山光三郎がエッセーで、末井昭*1を語る際、『おはん』を出してました。

屋外から文学館の、映像展示と展示入口を写したら、
心霊写真みたくなってしまいました。こうしても作れるのか。

ハルピン滞在メモを読んでいたら、「田村さん」という人が出て来て、
田村俊子かなあ、でも中国では主に上海のはずだし、時系列もあってないかも。
と思いました。誰でしょう、この田村さん。田村隆一ではもっとないし。

で、メモが読めたということは、私は彼女の直筆が読めるということで、
宇野千代さんの直筆は、まるっこいよい字で、ほんと、読みやすいです。
戦後も一貫して旧かな遣い旧漢字で書いておられますが、字体は不変。
追悼の丸谷才一とか、書簡のやりとりの小林秀雄とか、
跋文で、「東京」を"东京"と書いた三島由紀夫とか、とかく男は読みにくく、
私もそうですが、年をとるごとに殴り書きになる悪癖が共通なのに、
宇野千代さんのこの、数十年一貫して読みやすい字を書き続けたこと、
これは凄いと思います。女性はけっこう相手を考慮して、読めるように書くと、
ほかでも聞きましたが、でも宇野千代は別格な気がします。
かといって達筆ってわけでもないんですよ。宇野千代の字、としか言えない。

この本の単行本は、そのまま彼女の直筆使ってるので、それがよく分かるのですが、
残念ながら文庫本では題字が活字になってしまった。もったいない。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51BF3XJ80QL.jpg
アマゾンに単行本の表紙が転がってました。こういう字です。

で、彼女に比肩する読みやすい字の持ち主が、今回の展覧会中、
ひとりだけいて、それが青山二郎だったという…
人たらしの基本を見た思いです。私も手書きの字を再度見直します。以上