『フリーメイスンとモーツァルト』 (講談社現代新書) 読了

フリーメイスンとモーツァルト (講談社現代新書)

フリーメイスンとモーツァルト (講談社現代新書)

眠いので後報します。
【後報】
これも、橋爪大三郎フリーメーソン本読んだ後、
トンデモ本が多いということだったけど、本当かな? と思い、
まとめて借りたうちの一冊。「〜が世界を動かす」とか、
そういうタイトルの本は借りませんでした。また、橋爪大三郎が、
参考に挙げてる本も、一冊は日本のフリーメーソンの中の人が、
書いた本なので、キッチリしてるだろうとは思ったのですが、
橋爪大三郎が要約して引用してくれてるだろうからいいや、
と思い借りませんでした。あと、文庫クセジュのあちらの人の書いた本の、
邦訳も、読んだ気がするので借りませんでした。

本書のデザインが誰かは、ちょっと見当たりませんでした。
作者の茅田俊一さんについては、何故かはてなキーワードがあるので、
ここからそこに飛べると思います。一橋の經濟出て大阪商船という、
経歴のどこに音楽家の履歴が潜んでいるのか分かりませんが、
そういう人らしく、で、この本と同じテーマで講演したのを、
講談社新書担当副部長(当時)の鈴木理という人が知ってオファーを出して、
それでこの本が成立したそうです。フリーメーソンについては、
グランドロッジ成立とアンダースンの憲章のあたりをざっくり書き、
モーツァルトはハプスブルグ家統治下のオーストリアの人なので、
オーストリアフリーメーソンにフォーカスして、
細かく書いてます。どうもこの後、オーストリアのメーソンは、
弾圧だかなんだかで第一次大戦までおもてむき断絶があったとか。
まあ欧州諸国家は地続きなので、なんやかや縁はあったと思いますが。
参考文献はきちっと書かなければいけないという考えを明言され、
細かく書いてますが、だいたいあちらの文献です。
で、伝記の性質上、いちぶモーツァルトの心情等、推測を混ぜていると、
冒頭で正直に告白されています。そらーまー、
「ボクにはモーツァルトの気持ちが分かるんです間違いない」
とかグイグイ押してこられたら、鼻白みますので、
こういう方の方が好感持てるかと。

下記は本書の理神論の説明。

頁12
理神論とは、創造主としての神は認めるが、神が創った世界は、神とは離れてそれ自身の法則で動き、しかもその法則は人間の理性で確認出来るという考え方である。ニュートンの理論が確認したと同じように、それまで無条件に信じられていた「神の御業」が排除されたのである。

ロンドンのグランドロッジが設けられた居酒屋の名前が面白かったです。

頁30
ロンドンのセントポールズ・チャーチャードにあった「グース・アンド・グリドアイアン」(鵞鳥と焼網亭)と呼ぶエイルハウス、即ち居酒屋の二階で初集会を持ったのであった。

鉄網のことをグリッドアイアンと呼ぶとは知りませんでした。

頁46
 フリーメイスンリーの定義として、「フリーメイスンリーは倫理の美しいシステムであり、アレゴリーによっておおわれ、シンボルによって語られる」という表現がよく引用される。

頁47
 では、なぜフリーメイスンリーではシンボルによる表現を行うのだろうか。それは、言葉による定義を使うと、意味が限定されてしまうからである。シンボルの解釈は個々人に任され、個々人が能力に応じて解釈することが出来る――その方が深い意味が伝わると考えるのである。また、シンボルの使用には記憶をより鮮明にするという効果が期待されているはずである。

で、モーツァルトが所属したロッジとか、自筆の加入サインとか、
逸文化人なので、イルミナティの影響もあっただろうとか、
音楽と言う記号でフリーメイソンを表現しようとし続けたとか、
まあそういうことが書いてあります。そうなのかーという感じで、
しかし現代に直接つながる話でないので、それで感想は終わりました。以上

2017-08-27
フリーメイソン 秘密結社の社会学』 (小学館新書) 橋爪大三郎 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170827/1503844174
(2017/9/11)