『木曜日ラビは外出した』(ハヤカワポケミス)読了

Thursday the Rabbi Walked Out (The Rabbi Small Mysteries Book 7) (English Edition)

Thursday the Rabbi Walked Out (The Rabbi Small Mysteries Book 7) (English Edition)

木曜日ラビは外出したとは - コトバンク
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装幀:勝呂忠
ハリイ・ケメルマン
青木久恵
昭和54年8月25日印刷
昭和54年8月31日発行
<ラビ・シリーズ>
ラビ・シリーズの
邦訳もこれで
最終巻。
正確には、
この後のスピンオフ
までが訳されていて、
七年後の1985年から
再開される残り
四冊は未訳です。
読みたいけれど、
致し方なし。

裏表紙の文句
一人暮しの孤独な老人、エルスワース・ジョーダンは寝椅子に仰向けになって眉間を撃たれていた。血が鼻の両側に分かれて流れ口もとに達している。六発の弾丸が部屋のあちこちに命中して犯人の激情ぶりを物語っていた。
ラビの住むバーナード・クロシングに秋の気配が訪れた。人口の多数をユダヤ人が占めるこの小さな町で、老人は公然とユダヤ人嫌いを表明し、ことさら反感をあおりたてていた。有数の地主・資産家で通る
以下ビニルカバーの但し書きで読めません。

訳者あとがきによると、
都築道夫が、

「日曜日、月曜日とあとになるにしたがって、推理小説の部分がすくなくなる感じがあるので、ユダヤ風俗小説のなかに、本格短編をはめこむのが、ケメルマンの作風だ、ということも出来る」

と言ったそうで。
それがいいんじゃないですか、
と思います。
今回は、ユダヤ人コミュに
訪れたウーマン・リブ
風の中、女性にも
ミンヤン礼拝の門戸を
開放せよという圧力に、
ラビがどう対応するか、
などが書かれます。

頁47
「ところで罪悪が何たるかごぞんじですか。では罪の反対は? 罪の反対語は何ですか」
「徳ですか」とフローリック夫人が言った。
「善行でしょ」とアラン夫人。
 ラビはうなずいた。「英語ではその二つともそうですね。しかしヘブライ語では一つの言葉で表されます。ミツヴァです。この言葉は掟という意味です。掟で命じられたことを行えば、ミツヴァをしたことになります。ここで忘れてはならない重要な点は、掟には普通自発的にはしないものという意味が含まれているということです。命じられているからするわけですね。掟の中にはその理由が明らかなのもあります。安息日を守る掟は容易に理解できますね。週に一日休む――もっともなことです。掟がなくともそうするかもしれません。しかしその特権を自分の召使いにまで拡げるとなったら、なかなかやろうとはしないでしょう。その点では掟なんですね。衣類に麻と羊毛を混ぜてはいけないという掟シャトネスは、理由が判然としない。しかし信仰心の厚いユダヤ人は理由がわからなくとも従う。掟として命じられているからです」
 ラビはそこで言葉を切り、三人を順ぐりに見てから、再び続けた。「忘れてはならないのは、命じられたことをする義務がある一方、命じられてないことをやっても点数がふえるわけではないということですよ。私たちは一日三回お祈りを唱えるよう命じられてはいるが、日に六回唱えたとしても徳が高くなるわけではない。キリスト教ではそういうことはあります、司祭が悔悟のしるしとしてアベ・マリアを十二回唱えるよう命じることもあるでしょうし、一日中礼拝に明け暮れる僧侶や尼僧の宗教集団もある。信心深いキリスト教徒はお祈りに時間をかけるようですが、われわれの宗教では違う。研究には時間をかけるが、お祈りには時間をかけません。
以下略


https://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Kemelman#The_Rabbi_Small_Novels
上記によると、邦訳未訳は下記の四冊。
Someday the Rabbi Will Leave – 1985
One Fine Day the Rabbi Bought a Cross – 1987
The Day the Rabbi Resigned – 1992
That Day the Rabbi Left Town – 1996
読みたかったなあ。以上