映画「マンハント」(原題:追捕)(英語タイトル:Manhunt)劇場鑑賞

公式 http://gaga.ne.jp/manhunt/ イオンシネマつきみ野で観ました。

セリフは北京語と日本語と英語です。広東語はありません。
冒頭で「君よ憤怒の河を渡れ」のBGMをくちづさむのは分かるのですが、
セリフまでそらんじて覚えてませんでしたので、しかも北京語となると、
なんでそんなに覚えてるんだと思いました。要するにあちらではそこまで、
この映画は衝撃的だったということでしょうか。関川夏央が書いてましたが、
文革の、江青が指定した無味乾燥映画ばかりの後に、改革開放後、
何故か輸入されたこの映画が、問答無用否応なしに中国十億の心に、
つきささっちゃったんだな〜と思います。おっぱいとかセスナとか。

関川夏央のどの本にその話があったか、著書一覧見ても、
思い出せません。そういえばこの人の『東京から来たナグネ』
だけは読んでおこうと決めたのに、まだだった。おぼこい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E5%B7%9D%E5%A4%8F%E5%A4%AE#%E8%91%97%E4%BD%9C

でも、文革後の大陸が如何にアレでも、ジョン・ウーは香港育ちだから、
とりたててラオディェンインの荒唐無稽に対し感傷ないと思うのですが、違うかな。
誰か出資者、黒幕が、もうほんと死ぬほどジュイブー好きだったのかな。
それは誰でしょう。シージンピンかな。ジョンウーというと、
ナイキのシーエムで、ブラジル代表が空港ゲートでボール蹴り合うの撮って、
ロナウジーニョとかから「あいつはサッカー何も知らない」と言われた、
人ですが、特有の演出は今回もそればっかです。

ジョン・ウー・アクション Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%BC#%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

なので、福山雅治目当てで間違ってこの映画観てしまうと、大変なことになります。
この映画は、文革で娯楽にかつえた十三億人民に深圳深刻なトラウマを残した、
ダイビャオガオツァンジエン代表作が、ガオツァンジエン没後、
リーベンで正当に評価されない状況に、
腹を立てたどっかの十五億が、憤怒の河を渡って作った映画だと思います。
もうまったくそれしかないですね。劇中、製薬会社のバカ息子が、
「ぜんぶおれのもんだ」
とわめく場面がありますが、そんな心境ではないかと。
いま、中国版ランボー*1がバカ受けのご時世なら、
この映画がチンプで荒唐無稽って、俺だって分かるよ、
だけど、あの時代に、あの状況下で観たんだ、ほかの選択肢はなかったんだ、
ハマらずにいられるわけがなかったんだ、そうだったんだよ。
日本がジュイブーを評価しないなら、俺がぜんぶ咀嚼して嚥下して、
自家薬籠中のものとして骨肉と化してやる、畜生マーダ、みたいな。

福山雅治は、容疑者エックスも、龍馬もあんまり見てないので、
巨乳の嫁さんの家政婦が嫉妬からストーカー行為したとか、
深夜ラジオのエロトークとか、歌は好きとか、そんな感じですが、
原田芳雄とはやっぱり明らかに違うタイプですので、
アジア的にプロデューサーが暗躍するとしたら、
浅野忠信とか永瀬正敏でもよかったのではないかという気もします。
でも予算的に大盤振る舞いしたかったのかな。黒幕の娘が好きとかかな。
英語のセリフの抑揚がぜんぶ福山節で、耳に甘いです。大変だ。
原田芳雄の矢村は煙草吸いまくりですが、21世紀なので喫煙シーンないです。

部下の女の子は、なにわ48のなんとか姉の人かと思いましたが、違いました。
よくタブロイド新聞のお店の広告とかでしゅうせ以下略。名前「ひゃくた」

で、咀嚼とか書きましたが、新宿のガード下を馬の群れが疾走する場面とか、
娘さんがパイオツポロリで潮騒、飛びこんできて!みたいな場面はないです。
後者は、下放青年に深刻な影響を残したと思いますし、そうでなくても、
エロはバンコク共通の合言葉ですので、なんでないのかな、当局のさじ加減で、
きびしく取り締まってる時代になったのかな、と思いました。
チェン・カイコーの、張愛怜原作ラスト、コーションなんか、
原作にさして濡場ないのに、トニー・レオンと女優さんがぐんずほぐれつで、
この女優さんさして経歴ないけどビーチク黒いな、苦労するのかな、
大陸で成功するということは、と思ったりしました。

ヒロイン、日本語のセリフが別人のアテレコなのはいいのですが、
少し前の沢尻エリカみたいな顔の女優さんと思い、ならモノホン使えば、
と思いましたが、今のエリカ様の人は顔が大人になっていました。

寿
https://www.cyurica.jp/erika/

老电影は東京と北海道が舞台なのですが、マンハントはオサカとトヤマで、
なんで牧場が富山やねんと思いました。カノンでも観たのか。
で、牧場の場面が、なんか、カリ城で、クラリスの旧宅で、
負傷したルパンが気づく場面みたいで、そっちとかも入れてるのかな、
と思いましたが、うがちすぎでしょう。私は老電影の、セスナで北海道から、
東京に逆襲かける主人公が、山梨の山中から徒歩、とほ、とほで、
何故か八王子をスルーして立川に出現する展開がすごく好きなのですが、
(立川にもまだ横田絡みの娼婦アパートがあるという設定)
中国ではまるでその八王子スルーが理解されなかったようで、
そんな場面はありません。富田林スルーで柳生に出現、みたいな。

私は浅草で高倉健の黄身よ憤怒の河を渡れ、を見たのですが、
ほんとそれを見なければこの映画の感想なんてぜんぜん書けないところでした。
シートの、頭をもたれるところに、観客がみな持参のタオルかけて、
頭がちょくにシートに触れないようにして映画観たりする映画館。

殺し屋の女の子が冒頭すっごくヘタクソな、私よりマシな程度の中国語、
喋るのですが、この辺も、香港や日本や、後天的に北京語学ぶ人たちの、
悲哀を表現した場面かと思いました。というかこの女の子、ペラペラなのに、
主人公を油断させるために、わざとたどたどしい中国語しゃべる。
手がこんでると思いました。(いや、韓国女角なので、流暢は吹替かな)

で、私が聞いて、いちばん分かったのが、カマの初老のオッサンの独白。
スースー中国語なのですが、日本人の、たぶん中国語知らない人に、
わざわざスースー中国語たんねんにゆっくり話させるとか、これも、
ものっそ手がこんでると思いました。この人のがいちばん分かりやすかった。
日本人が、漢字の名詞を、頭で中国語に変換しながらさべる、あの感じ。
あれをさらにスースーでやる。ノー倦舌音。

で、この映画、手放しの映画でなく、ちゃんと主張がこめられていて、
主人公は「杜丘」という名前で、「ときゅう」と呼ばれるべきなのですが、
映画ではドゥーチュードゥーチューと呼ばれていて、英語のワク内なら、
それでいいでしょうが、日本語なら、「ときゅう」と呼ぶべきです。
北京語で呼ぶべきではないです。日本語の文中では。最後の場面にあえて、
日本語で自己紹介して、「ドゥーチューダ」
と言わせるとか、あざといです。主人公はチンタオ出身という設定なので、
中国のどの方言かという話なら、北京語読みでいいですけど。
まあ、山東訛りで、チャオズがギョーザになるあの法則が発動したら、
ドゥーキウになるんでしょうけれど、そんな古い世代でもないし、
東山彰良がこの映画を評したらそんなことを言うかも知れません。
ピンインにひきずられると、ドゥーチウと書きそうになりますが、
映画で耳で聞くはっちょんを素直にカタカナにすると、ドゥーチュー。
でも、日本語の音波で話をする中でこの人名を入れるなら、やはり、
「ときゅう」でしょう。
天神製薬を漢語会話で「てんし"んジーヤオ」とは言ってないし、
やむらをシーツンと北京語読みで言ってるのに、
こっちにはドゥーチュー攻撃。ニーメン、ブー、ゴンピンダラ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E3%82%88%E6%86%A4%E6%80%92%E3%81%AE%E6%B2%B3%E3%82%92%E6%B8%89%E3%82%8C
以上

*1: