『竜女戦記 2 』読了

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あらすじを忘れていて、さいわい前巻をブッコフに売り飛ばしていなかったので(コロナであんまりいろいろ忘れてました)本の山から出したら、こないだ崩れた時に角がへしゃげてました。こうなるともう古書店では買ってくれないのですが、新古書店だとどうなんでしょう。

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天下取りの修法を授かった「たか」。 人を操ることができるという、 その能力とは一体――。 一方、青竜蛇家と黒蛇家は互いの 子女を政略結婚させることに同意。 冷戦下における〈蛇国〉の勢力図は 変化を遂げつつあった……。

カバー裏。もうほんと忘れてたのですが、前巻に出てきたぬたうなぎとか、本巻ではぬたの「ぬ」の字も出ないので、何がなにやらでした。殿様と「たか」の夫の関係だけ分からなかったので、その点では読み返せてよかったです。このカバー裏の煽り文句は、カギカッコと山カッコのふたつを使ってるのですが、日本語ですので、両方カギカッコでいいと思うのに、なぜそれではダメなのか🙅、どう山カッコと使い分けてるか知りたいです。それでいうと、最近ネットで日本語が横書きされるようになったからかやたら目につく、カギカッコのかわりにダブルクォーテーションマーク、“” を使って、中の単語が日本語な腰砕け用法もやめてほしい。ダブルクォーテーションマークを使うなら中の字はアルファベットにするべきです。私はこの日記で新華字典の感想を書く際にその付録ページの中文の約物一覧を読むまで、漢語の単語にもダブルクォーテーションマークを使ってましたが、誤りです。

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約物 - Wikipedia

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竜女戦記 この国を統べる者は誰か!? 予測不能の歴史ファンタジー、新たな展開へ!! コミック・歴史ファンタジー 平凡社 各氏絶賛!!! 怪傑作『ムシヌユン』に 続く本作が怒濤の 怪進撃を始めた! 超面白い展開に胸騒ぐ! 夏目房之助(漫画批評家) 奇想の奔逸! だが、確かな骨格とスケールの大きさで、 架空歴史マンガに新次元を開く。 中条省平(フランス文学者) わからないことだらけで続きが気になる。 本当にこれ、どう なるんだろう(笑) 岡田利規(演劇作家、小説家、チェルフィッシュ主宰) 二〇二一年春、第3巻刊行予定!!

帯。いや、これなあ、という人たちの煽り文章。京都精華大パワーなのか、ウェブでなく、事前の連載もなく、いきなり書き下ろしで複数巻出してしまおうという前代未聞の試みで、これをやると、連載の毎回の原稿料が出ず、単行本の印税だけだと、漫画家が苦しいので、それで普通は出来ないのですが、副業のある漫画家がまんがを普段取り扱わない出版不況の出版社に企画を持ち込んでなんとか抱き込んだと仮定するなら、この帯の方々の顔ぶれに意味を求めるのもまたいとおかしと思います。かつてのガロも原稿料は出ませんでしたが、それはまた別の話。

中条省平という人は、ビッグコミックオリジナルのコラムで時どきお目にかかり、「ティエリ・トグルドーの憂鬱」という映画のコラムを読んでおもしろそうだと思って見に行ってヤラレタと思ったことがあります。いい意味でやられたのか、悪い意味でパブ記事にひっかかったのかは秘密。

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デキゴトロジー夏目房之助は、大御所というか、この年の人が「面白い」と云う時代が不確実性の21世紀なのだと思いました。後期高齢ギャル。まんが評論家というと、小野耕世米澤嘉博、この人、ゴチエイ、いしかわじゅんなんかがひとつの世代だと思います。関川夏央も、初期には『知的大衆諸君、これもマンガだ』とか書いて、この列に叙していたのですが、『坊ちゃんの時代』で堂々谷口ジローの原作者やってから、まんが原作書きながらまんが評論するというような、創作と批評の二足の草鞋はおかしいだろと、マンガ評論のほうをやめたのかと勝手に思ってます。で、これ以降の世代も漫画批評家は陸続と生まれて、それで食ってる人もいるかもしれませんが、私は全然知りません。大月隆寛とかそうなのかな。BSマンガ夜話とか毎回見てればおのずと分かるのですが、そんなヒマなかった。

あと、私はチェルフィッシュとチンポムの違いも分かりません。ほんとうはたぶん分かるのですが、そう書いてしまううそつき。この本は、別の本を紀伊国屋ウェブサイトで注文する際、値段を積み上げるために付け加えたら、発売前だったので、別梱包別送になって、梱包材資源無駄にしたと思ったです。近所の大型書店ではまあまあ平積みなので、そこで買うべきでした。でも書店購入だとウェブ決済でないので、クレカのポイントが4倍になりません(私のカードは紀伊国屋の場合ポイント4倍なので、2倍のアマゾンから乗り換えてます)そこが悩ましいところ。

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竜女戦記 2

竜女戦記 2

 

 ブックデザイン 鯉沼恵一(ピュープ)https://pyup.net/

この巻の感想を書くにあたって、前巻の感想を見て、このデザインのひとの所属を書き忘れてたのに気がつき、それは、ちいさい字が読めなくなっているので、「ビューブ」なのか「ビュープ」なのか「ピューブ」なのか「ピュープ」なのか分からなかったからなのですが、この人の名前で検索して、四つ目が正解と分かりました。コズフィッシュって、祖父江慎のしとの会社でしたでしょうか。

本巻は、前巻がひとつの国のひとつの領地の領主の話だったのに対し、ひとつレイヤーをあげて、ひとつの国の君主たちの話(みっつの地方に分かれているので複数形)になっています。前巻よりエロいと思いますが、何がエロいかというと、女性の描き方がいやらしいので、前巻が出た後何処かのインタビューで作者が、娘たちは『鬼滅の刃』に夢中と言っていたその娘さんたちがこれをどう読むか気になります。父親は童貞の感覚を忘れたくないおとななのだ、と思うのか、自分たちはこう見られてるんじゃいかと思うのか。山本直樹の娘さんは編集者になったそうですが、人文学者のお子さんはどうされるのか。なんとなく、このエロを中和するには、辛酸なめ子の当世女子高事情コラムでも読めばいいんじゃいかと思いました。女子は男子の目を気にしない方がのびのび生きれるが、男子は女子がいないと灰色で、じゃあ女子は男子にとって何なのかという根源的問題。

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女子美から始まって東京女学館が出るので、おお、と思って読みました。でも京都のダム女は勿論、神奈川のフェリスも出ません。その辺はさいたまのなめ子の力強い意志を感じました。が、雙葉は出ます。

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絵は、頁126の一連のウンババだけ、描き慣れてるのか、異様に上手で、かつ教養主義的な文化人類学書籍の挿絵のようでした。巨神兵と、秀吉が出て信長が出て、その二人がともに島津でちぇすと、というふうに、日本の架空戦記はどうしても、元ネタを考えてしまうのですが、最近まだ四十代なのに仕事が覚えられなくて来なくなった人が、オリラジ中田の歴史解説動画が好きでよく見ていたと聞き、私はこれまでもこれからもそれは時間的理由から見ないと思いますが、みなやさしくあれかしと思いました。バルサイニエスタ、メッシ。セスク・ファブレガスは別系統。以上