ブックデザイン 鯉沼恵一(ピュープ) 2023年10月28日刊
帯
帯裏
青竜蛇の支柱であった太上帝が息子の龍興に斬首され、青竜までも死に絶えたことで、青竜蛇内では鶴家に寝返る者も現れる。一方「たか」は、デクの乗り換えを目論むが……。
大学教授と漫画家の二足の草鞋を逆手にとったマサカの描き下ろし単行本ももう七冊、否、六冊。こんなことなら、ウチで引き受けておけばよかったと悔やむ京都の中小出版社が多数あるかといえば、ないんだろうなという。本書がナカニシヤ出版やミネルヴァ書房、法蔵館から出てたらどうだったろうと想像するのは楽しい作業ではありますが。淡交社から出てたらお茶の雑学が盛り込まれてただろうか、とか、かもがわ出版だったら激しくカムイ伝の後継みたいな内容になってただろうか、とか。思文閣だったら、平楽寺書店だったら、臨川書店だったら、松籟社だったら、京大学術出版会だったら、etc.etc.
精華大学マンガ学部の教材に使われていてその分の部数は約束されているということもないだろうし、これを読んでレポートでゴマをすると優がとりやすいということもないでしょう。むしろ歯に衣着せない忌憚なき意見がバシバシ講義で出て、「お前らもう少し忖度せえよ」と悲鳴をあげるとそれがそくTikTokで公開される、ということもないんだろう。竹宮元学長*1って、むかしは第三の目があった気がしたのですが、模造記憶でしょうか。ほくろのある写真がない。
精華大学の思い出というと、前にも書きましたが、学祭にもんきぃ・ぱんち*2が来た時、「どうしたら先生のように面白いキャラクターが作れるんですか」と質問した学生がいて、ルパンはアニメスタッフが優秀なだけでキサマの力で勝ったのではないぞと言いたかったのでしょうが、先生もさるもの、「面白いキャラクターを作るには、よく遊ぶことです。これしかない」と、わては生涯左ウチワでごわす、と暗に言ってるだけの、京都らしい返しを見せてくれたのが印象に残っています。目の見えない学生がふと手を差し出すと、その手をあたりにいたほかの学生や職員が自然に引いて歩く学内風景を見たのは、あとにも先にも精華大だけ。
あとはバー・ミモザ*3に精華大が出て来るのと、烏丸の廃校再利用のマンガミュージアムで諸星大二郎とゴチエイ*4のトークイベントがあった時、ゴチエイが「カーゴ・カルト」は英語でどう書くか*5、スタッフの精華大漫画学部院生に振って、彼が書けないと「こんなのが院生なんですからねえ」とくさし、夜2ちゃんで大荒れに荒れたことくらいでしょうか。これも前に書きました。
都留センセイとしては、友人のバルサ*6みたいに大河ナントカと書いて「サーガ」と読む、がやりたかったのだと思います。個人的に、この人の描くアフリカ黒人は、アフリカでフィールドワークしただけあって、すごくうまいと思ってるので(沖縄県人描くよりうまい)ゾマホン同様北京経由で来日した元学長*7に忖度せずバンバン黒人を描いてほしいです。この漫画の次に。
以上