"කුඩ හොරා"සිබිල් වෙත්තසිංහ ඉනොකුමා යෝකෝ『かさどろぼう』シビル・ウェッタシンハ 作・絵 いのくま ようこ 訳 "The Umbrella Thief" by Sybil Wettasinghe & INOKUMA YŌKO தி அம்ரல்லா திப்(குடா ஹொரா) சிபில் வத்தசிங்க இனோகுமா யோகோ 読了

丹野冨雄『南の島のカレーライス』に出て来る絵本。日本語版と英語版とシンハラ語版でオチの文章が異なる(絵はいっしょ)ということなのですが、それ以前に実に色彩が豊かで、頁毎の演出も巧みなので、圧倒されました。

www.ehonnavi.net

シビル・ウェッタシンハ - Wikipedia

女性で既婚者で、2020年92歳でおなくなりに。

Sybil Wettasinghe - Wikipedia

生まれつき隻眼だったとか。

සිබිල් වෙත්තසිංහ - විකිපීඩියා

南部、ゴール付近の生まれ。

சிபில் வத்தசிங்க - தமிழ் விக்கிப்பீடியா

ジャフナのキリスト教学校で教育を受ける。本人は仏教徒

本書は1956年に発表された彼女の処女作ですが、1982年第3回野間国際絵本原画コンクールで佳作を受賞、原画はちひろ美術館収蔵。1986年に福武書店から邦訳出版。1995年ベネッセ・コーポレーションに版元を移して再版。2007年徳間書店から再再版。

見返しの、シンハラ文字を思わせる、一筆書きのイラスト群にまずやられました。野口忠司さんが幼き日にカタツムリのような字に出会って、その習得を志したというシンハラ文字の特徴を十二分にいかしたイラスト。

シビルサンの利き手がどちらか分からないのですが、モブに関して言えば、右向きの顏が多いです。右利きだと無意識に左向きの顔を描き、左利きだと逆向き(右向き)の顔を描こうとする。隻眼のシビルサンのどちらの目が見えていたかも関係あるかもしれませんが、どちらの目が不自由だったのかは分かりません。

なんだか分かりませんが、シビルサンの描く男性の顏は、ヒゲの剃り残しがきっちり描いてあります。だいたいみんな口ひげは生やしてたり生やしてなかったりですが、アゴヒゲ、ほおヒゲは剃っていて、ムスリムでないことが分かる仕掛けになっています(うがった見方)

主人公キリ・ママおじさん。後頭部で頭髪をまとめて髷をゆっています。そんで口ヒゲ。王冠というかクラウンみたいのを頭にさしてるのですが、その意味が分かりません。

傘屋のオヤジ。ヒゲ剃り跡がまぶしい。

本書は二ヶ所しか文字の書かれているイラストがなく、二ヶ所しかないのだから、グーグルレンズで判別楽勝だい、と思ったのですが、どちらもグーグルが文字と認識してくれませんでした。

車体の文字。スリランカレストランのオヤジはすぐ読んで意味をとってましたので、ちゃんと意味のある単語だと思います。下は私が必死こいで寄せ集めて、こんなんかなあとやってるシンハラ文字。「バス」だけグーグル翻訳に頼りました。

කොස්ගම(コスガマ)
බස්(バス)
ස්මප(ラスマパ)

傘屋を開業する主人公(ほかの絵とまったく似てない)と、茶店の裸族のオヤジ。東條さち子サンマンガのようだ。後ろの女性は農村女性なのでサリー着てません。都会の雑踏の絵の女性はサリーばっかですが、農村はそうでもないという。芸が細かい。

この傘屋の看板も分からない。左の単語は、傘で、「クダ」なのですが、右の単語が分からない。グーグルも文字と認識してくれない。

කුඩ කඩෙි(クダ カデイ)

適当に打ってみたのですが、「傘を壊す」と出ました。もしそうだとするとシュールな場面。

丹野サンの本になぜ出てきたのか、の解のひとつ。ジャックフルーツの木と実が描かれてるから。きれいですね。

夜のジャックフルーツ

コーヒーも熱いので、受け皿でちびちび啜るの図。この左の主人公のかぶってるクラウンの意味が分からないんですね。李朝朝鮮の官僚がカッがずり落ちないように下に留め金を載せてるとか、そういう感じなんでしょうか。

右は、度重なる傘盗難で心が折れかけた主人公の大ゴマ。正直このコマがここに入っている演出がスゲエと思いました。ディズニー見てると、手塚治虫でなくてもそういうコマ割りやりたくなるんでしょうか。ここはうまかった。もうすぐ自殺するのかと思った。ほかのコマで、主人公が竹林の七賢人(スリランカは竹を食べない国ですが)に見えるコマが左。ほかにも別の技法でマンガチックに描かれたコマがあります。

6/19(日)動物園の飼育員さんに聞いてみよう!絵本の動物たちのリアル |世界初の絵本美術館|安曇野ちひろ美術館

けっきょくこのサルの正体は、ちひろ美術館でも「動物園の飼育員さんに聞いてみよう!」とイベント企画にしてしまうくらいなので、よく分からないということなのかと思いました。東條サンのマンガに出て来る手癖の悪いサル、トクマカクではないようです。

スリランカ関係書籍43冊目。以上