『「将軍」と呼ばれた男―戦争報道写真家(ウォー・フォトグラファー)・岡村昭彦の生涯』読了

積ん読シリーズ

岡村昭彦という人の本は、私も読んだことあります。
当時の大ベストセラーだそうで、
今でもベトナム現代史に関心のある人は普通読むんじゃないかな。
てか、下のアンソロジーの半分以上収録元の本で読んでるだろう、興味ある人は。

それ以上岡村昭彦について知らないので、
将軍と呼ばれていたというなら、
彼自身が取材したラオスの山根正人中佐やタイで数十人の奥さんと暮らした日本男性、
(フィクションですが)地獄の黙示録のカーツ大佐のように、
狂気の岡村王国を現地の山奥に築いていたのだろうか、と思い買いました。
そんなことはありませんでした。
開高健がショーグンのあだなで呼んでただけみたいです。

著者は、戦後について不全感を持っており、
傑出した人物である岡村昭彦の足跡を辿ることで、
不全感が払拭出来ると考え、この本を書いたそうです。
全然その思考法が理解出来ないので、この本も分かりませんでした。
現在「岡村昭彦の会*1世話人のひとりですね。

同時代ベトナムを体験した開高健本多勝一との比較で書いてますが、
どうも奥歯にものがはさまってるというか、抽象的な記述ばかりで、
Wikipediaみたくバッサリ書いて*2ませんでした。
この本の十年後に書かれた論文で、
大森実、開高健、岡村昭彦の三人取り上げてたのが検索で引っ掛かったのですが*3
こちらは濃密で鋭かった。
岡村の血縁関係が東南アジアの大使館で受けが良かったなんて記述、鋭いなあ。
論文の著者もヴィェッナ〜ムの専門家みたいですね*4

まあそんな本です。
岡村が後年傾倒したホスピス生命倫理
(この本では注釈抜きで「バイオエシックス」としか書いてないので検索したさ)について、
たくさん書いてくれると現代的にはよかったんでないかい。
老人医療、日本単位で毎年一兆円ずつ余計にかかるべしゃ。

ベトナムについては、KAWAII系の本でも読むのがいいさ。

ふしぎ盆栽ホンノンボ (講談社文庫)

ふしぎ盆栽ホンノンボ (講談社文庫)

気楽でしあわせ。
岡村昭彦はアイルランド、上の黄色い本はスットコランド。