- 作者: 福島香織
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: 新書
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機械は疲れないから、この戦いは人類が不利ですね。
えー、
頁4中国古典の中の悪女は、おそらく私よりずっと詳しい人がおられようとの潔い決意から、
同頁4本書では公式メディアで報道されている内容、香港で出版されている数多くのゴシップ的内幕暴露本、海外紙誌で関係者が証言していることなどを整理した本です。
作者は現地取材、インタビューが本職ですが、
題材と対象の量から、従来の手法は使えず、こういうやり方をとったわけです。
でもこれは全然楽な方法ではないです。
あちらのゴシップ記事から取捨選択するセンスが試されるので、もうドキドキです。
対象の容姿を活写する文章は多いですが、画像は一切ありません。
使用許諾のおカネをかけたくなかったのでしょうか。
むかし、ウェンウーだったか、絶版書の図版を日本の学術書に使わせてもらおうとして、
交渉したら、学術云々全く関係ないボッタ価格提示されたの思い出しました。
作者と文春もそうだったんですかね。中華系以外、APとかUPIとか時事とか共同とか、
そういうのも格安で図版使わしてくれなかったんでしょうか。
ここでネタばれ含みますと言って画像貼ってもよかったけど、
想像力は人間の大切なファクターのひとつですから、文章の引用にとどめます。
即物的な方はご自分で画像検索なさってください。
頁137 湯燦
酒豪の彼女はまず相手に酒を飲ませ、「電眼」と称される、強く訴えかけるようなまなざしでターゲットを撃ち落とす。雪のような肌を見せ、細い腕をからませれば落ちない男はいまい。
頁173 李薇
フランス人の血が入った白皙の肌と大きな目が印象深いが、鼻の頭は丸いアジア人のもので、絶世の美女というわけではない。ただ、なんともいえない柔らかな色気があった。また話し方に中国人らしからぬおっとりした品があり、成熟した大人の女のフェロモンを感じさせた。
頁191 丁書苗
一七〇センチをこえる長身に一〇〇キロ近い体重、肉体労働を経験したがっちりとした広い肩幅で、日焼けし脂ぎった、猛々しいとさえ感じる大きな顔には、女らしさや色気といったものは皆無に見える。
上を写していてふと気がついたのですが、芸能人はピンインのカタカナ表記、
そうでない人は漢字の日本語音読みでルビ振ってますね。チャン・ツィイーみたいなものか。
ネットアイドルひとり、ルビ振られてませんが、どうでもよかったのでしょう。
頁93
中国人は、よく食事をおごってくれたり、相談ごとに懸命にのってくれたりする。建前は善意や友情の証と言うが、それを受けると、こちら側が何か頼みごとをされたとき断ってはならない、という暗黙の了解がある。「貸し」を作って人脈を広げ、自分の保身や発展、蓄財を有利に運ぶ。それは中国人の常識的なやり方であった。馬明哲のケースも、権力の中枢に近い人間に「貸し」をつくり、いざと言う時、情報や便宜を図ってもらう暗黙の了解をとる、というふつうのビジネスマンとしてのセオリーに従ったまでだ。張培莉のような「頼まれたら断れない、面倒見のよい親分肌」的な人間は、強い権力をもったとき、周囲に当たり前のように人が群がってくる。そこで、昔に恩義を受けた人でも、「ダメなものはダメ」と非情になれればいいのだが、普通の中国人ならば、官僚・政治家のモラルより、中国人としての「人情」を重んじる。そして当たり前のように、中国的汚職構造の中に引きこまれてしまう。張培莉はその典型であった。
含蓄がありますね。山が動いた。
頁108
彭麗媛は一九六二年一一月二〇日、山東省渮沢市鄆城県に生まれる。渮沢市は「牡丹の郷」と呼ばれ、五〇〇年以上前、渮沢がまだ曹州と呼ばれていたころから牡丹の栽培や品種改良で知られる。『聊斎志異』には曹州産牡丹の名花「葛巾紫」「玉版白」を題材にした「牡丹の姉妹」という話がある。また鄆城県といえば、『水滸伝』の一〇八人の強者たちのうち七二人を輩出した武術豪傑の里としても知られる。花の美しさと軍人の猛々しさを備えている彭麗媛に、まるであつらえたような出身地である。
歴史を書くならもっと適任者がいると言う作者ですが、勿論知識はあるわけです。
ご当地の旅游局かなんかのホームページ見ただけかもしれないですが。
この本は、上の引用とかはいいのですが、「中国では」「中国では」が多く、
私は、民族の文化の違いより、男と女のジェンダーの違いのほうが大きな要素ちゃうかな、
と思いました。作者も中島みうきの歌に触れてますが、私はマンガも連想したので。
- 作者: 深見じゅん
- 出版社/メーカー: 講談社
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頁262乱暴に一言で言えば、もとは男が悪い。という結論のようです。
頁265
中国人の女友達に聞かれたことがある。「なぜ、日本には専業主婦になりたい女性がいるのですか?」と。「外で働くより料理したり掃除したり子育てする方が楽しいっていう女性もいるでしょう」と答えると、「そういう程度の低い仕事はアイ(阿姨=家政婦)さんの仕事でしょ。学歴のある女性は外で働くものでしょう」と言う。「外で働くほうが疲れるでしょう。給料がそんなに高くなくて、ぜんぶアイさんの賃金に飛んでいくくらいなら、自分で自分の家を自分好みに掃除して自分好みの料理を作り、子供のしつけも勉強も自分で見たほうが安心でしょう? 日本はアイさんの賃金が高いのよ」
すると、夫が裏切ったとき、夫が失脚したとき、いろいろなリスクについてずらずらと語りはじめ、自分のお金があった方がいいでしょう、と言う。要するに、夫の知らない自分だけの資金がないと不安だと言うのだ。
嫁日記のゲツさんもそうなんでしょうか。
まああそこは旦那が日本の規格に嫁を押し込まないだろうから大丈夫か。
ヤンイーもとい楊逸(よういつ)はその辺の日中相互誤解の体験談腐るほど聞いてるだろう。
それでも、日中の違いより、男女の違いに考えを馳せてしまいます。
女性セブンとか女性自身とか週刊女性とか微笑のノリで中国とその隣人を描こう、
という発想は従来なかったし、あったとしても、
そのへんのウォッチャーにそれを遂行する能力はない。