- 作者: 松本仁一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/07/16
- メディア: 単行本
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- 作者: 松本仁一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/07/04
- メディア: 文庫
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『謎の独立国家ソマリランド』*1に出てきた本で、
朝日新聞連載時からまとまったら読もうと注目していながら、
のびのびになっていた本です。読めてよかった。
珍しく、ネトウヨから一目置かれた朝日新聞社の刊行物であり、
それはどれだけブラックホーク・ダウンがネトウヨ界において
語り継がれるべき事柄だったかを如実に表していると思います。
今でも2ちゃん映画板にブラックホーク・ダウンスレあるんじゃないかな。
スレッド数がどこまで行ってるか知りませんが。
ソビエットユニオン崩壊後、あの、アナーキーフォーティーセヴン設計者、
実在リアルカラシニコフに天下のあさっしんぶん始め日本マスコミは
いつでも取材出来るようになったのですが、
筆者がそれに気づくまで誰もそれを試みませんでした。
コロンブスの玉子と青い鳥は似ています。ああ、こんなところにいたんだね。
で、そこから始まってこの本は、カラシニコフが何を生んだか、
自由に翼を広げて思索しています。壊れない、手入れ簡単、
ダブついて価格破壊、氾濫、誰でもランダムシューティング。
毛沢東のセリフではありませんが、カラシニコフから生まれた数々の政権があると作者は断言、
誰でも使える兵器ということで、子どもにも使える兵器なので、
これをもたされて最前線タマよけにされるのは児童、子ども兵士。
誘拐されて簡単に洗脳教育される子ども兵士。まずこれがひとつのポイント。
この本の出版から月日の流れた現在では、途上国のシンプルな子ども兵士に対抗してか、
テレビゲームスマホの発達した先進国の大きなお友だちは、
無人ヒコーキによるゼビウスというかラジコンに夢中(一日三時間まで)
もうひとつのポイントは失敗国家ですが、これは夜警国家の反対で、
夜警もしないのにみかじめ料だけふんだくるという、
ちょっと日本のように、ヤクザでさえもそこは文明化された社会からするとNGになる事柄が
平気で罷り通ってしまう社会のことをさしているようです。
要するに軍人警官教師に給料を払わない国家。誰もがやらずぶったくり。
戦後日本が、あれだけ左翼が盛り上がりながら結局革命にならず、
日本国というもの(国会議事堂とか日銀旧館をイメージしてください)を皆が信じ切れたのも、
軍人恩給だけは欠かさず払ったからだ、という説があり、それを思い出しました。
こんな社会は国を目指してないのだから、
パキスタンのトライバルテリトリーのように部族法の支配する国以外の地域、
と国際的に広言すればいいのに、なぜか大国は地政学とやらで空白地帯を国とみなし、
軍人警官教師に給料を払わない国意識のない連中にODAやら援助して国っぽく扱う、
で、昔の中国で言うところの買弁みたいな人たちが国連で一国分の票をもててしまう。
これはおかしい、という至極まっとうな意見でした。
*2
そういうのを読んで考えたのですが、あと、高野なにがしが好きな例のカートは、
この本では「カット」と書いてあります。
今Wikipediaで検索したら、チャットと書いてありました。
ビルの屋上でギターを弾く人たちの音楽でも聴いて、おしまい。