『新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一)』 (講談社文庫)読了

新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)

新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一) (講談社文庫)

この人のエッセーを読んだので、ひとつ代表作でも読んでやろうと思って。
鬼平森秀樹の『花縄』のイメージがあるし、剣客商売は知らないし…
花縄 上巻 (キングシリーズ)

花縄 上巻 (キングシリーズ)

仕事人とか仕掛け人の原型、第一作ということでこの本を読みました。

<人間はよいことをしながら悪いことをし、悪いことをしながらよいことをしている>

このシリーズの根底を流れる作者の通念だそうです。
藤田まことの仕事人を最初に見た時、ほかの勧善懲悪時代劇はタダで悪を倒すのに、
なぜこの人たちは有料なのか不思議でした。
正義は負けて弱者は涙を呑むのが世の習いなら、
そんな人たちがロクにカネ持ってるわけないじゃないですか。
収益性からみても、ノブレス・オブリージュ的な意味でも、
モラルと営利が矛盾してる〜と思ったものでした。
しかもその前の時間帯にやってるハングマンはタダで仕事するし。

料理は、さして美味そうとも思いませんでしたが、
貴重な鶏卵をかなり自由に入手出来ているのが、独身貴族と云う気がしました。
佐伯泰英の『酔いどれ小籐次』のほうが、
独居中年の食事を微に入り細に入り書き込んでいると思います。
書いた時代が違うから比較するのは乱暴ですが。

読んでいて、例えば、臭いメシをくった人が、
その時イジメられていて、その後CSとかで仕事人なんか毎日視て、
(そういう生活になったのでしょう。地上波は相棒なので、
 たぶんCSが見れるアパートで昼間CSばっか見て暮しているのかと)
ことあるごとに「晴らせぬ恨みを晴らしてほしいよ」なんて言っていて、
でもその人の恨みは、テレビの中の、巻き込まれた善人の恨みとは違うんですよね。
世の中の、怨みを公言する人の九割くらいは逆恨みだと思います。
そんな気がする。公言する連中に限って言うと。
そんなことを思いました。

それで行くと、この本は、最初期なので、
そういう仕掛けもあれば、そうでない仕掛けもあり、
殺伐としたまま終わりました。
読みながら、少し雑駁な考えを纏めることが出来たので、よかったです。以上